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建築事務所のいろいろ_乗り越える

コペンハーゲン、ロンドン、バルセロナ、ニューヨーク、BIG全事務所がシャットダウン、そしてテレワーク/引きこもり生活に突入して2週間半が経った。ニューヨークの状況は誰もがニュースで知るように、すさまじい状況である。家から出るのは毎朝の犬の散歩と週1回のスーパーへの買い出しのみ。外出の時は、すれ違う人達と2メートルの距離を開ける「Social Distancing」が欠かせない。

近所に総合病院があり、そこに向かう救急車のサイレンが一日何度も聞こえる。その度に、そんな中で仕事をしている医療関係の人達には頭が下がる思いである。

それに比べると建築家としての私の今の生活はそれ程悪くない。全然悪くない。通勤時間がなくなった。同僚の中には3時間の通勤時間がなくなり、世界が変わったという人もいる。化粧もしなくていいから、その時間も省けて肌の調子も悪くない。愛犬がいつもそばに居てくれて、私をサポートしてくれる。食料だってワインだってちゃんとあるから、時間に余裕の出来た家族がおいしい料理を作ってくれる。先日は、人と会わない事を良いことに、ニンニクを山ほど入れた餃子を作った。

そして何と言っても、ちゃんと仕事ができている

BIGニューヨーク事務所のシャットダウンは、感染者の急増で予定より前倒しで急きょ決定された。誰も仕事道具一つ持ち帰る暇さえなかった。にもかかわらず、ITチームの素早い対応で2日目にはほぼ全員が個人のコンピューターからテレワークができる環境が整った。レンダリングやREVITなど、どうしても大きな画面が必要という所員のために、数日後にはCEO自らが車を運転して、事務所のコンピューターを必要な所員に届けてくれたりもした。

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チームともインターネットを通じていくらでも繋がれる。BIGでは以前から所員が自分の得意とすることを講義する「BIG SCHOOL」というのをやっているが、シャットダウンして1週間後にはテレワークのコツを教えあうBIG SCHOOLがあった。
そして週に1度は事務所全体ビデオミーティングがあり、プロジェクトの状況や、所員の安否を確認する。事務所一丸となってここを乗り切ろう!という意思が伝わってくる。もちろんBIGに欠かせないパーティーもバーチャルワールドで一度行われた。これはメンタルの健康にも重要なのだ。

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ただ、いつまでこの状況が続くのか。。。医療現場は崩壊寸前だし、今月に入りたくさんの失業者がでている。もちろん建築業界にも影響はでている。感染するのではと言う不安で、精神的疲れだってある。ヨーロッパやアメリカの多くの人が日本に向けてメッセージを送っている様に、私も言いたい。日本もこうならないために、今すべき事を皆で真摯にやってほしい。社会が健康であれば、テレワークや外出制限の生活もさほど悪くはない。そうしなければ、ニューヨークがそうであったように、状況はものすごい勢いで変わってしまうのだから。

今はとにかく出来ることをしよう。そう、出来ること。事務所自体は閉鎖されてしまったが、忙しく働いているものがある。それは模型室の10台の3Dプリンターだ。普段はプロジェクトの模型作成に忙しいプリンターが、不足している医療用フェイスマスクを製作している。1週間に約1000個がマンハッタンの2つの病院に届けられるそうだ。

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私に出来る事、それは感染者数を増やさない様、引き続きするべき事をする!、そしてここを健康に乗り越える、だ。

つづく


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