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ヒモ乃輔ヒモ太郎からの学び


街でヒモ男とバッタリ!


先日銀座を歩いていると、学生時代からの知り合いにバッタリ。
久しぶりの再会でお互いに時間もあったので、カフェに行くことにしました。

その知人は20代の頃から女の人に頼って生きる、いわゆる「ヒモ男」。
今はどんな仕事をしているのかな、と聞いてみると
今も現役の「ヒモ男」をやっているそう!
20年以上も「ヒモ男」を続けられるなんて、もう完全にプロ。
ある意味すごくないですか?

「ヒモ男」と呼ばれる男


女性に頼って自力で生活をしない男性のことは、一般的に「ヒモ男」と呼ばれています。
どうして「ヒモ」と呼ぶのかググってみると……

海女さんは沖合で体に重りをつけて潜り、息の続き限りウニやサザエなどを捕り続けます。
息が限界になると腰につけているヒモを引いて、船の上にいる男性に合図をするのです。
そうすると船の上の男性がヒモを手繰り寄せて、海女さんを引き上げます。
そのことから船の上で待っているだけの男性のことを「ヒモ」と呼ぶようになった……
と書かれていました。

確かに海に潜るというハードな仕事を女性にさせて、自分は船の上で待っているだけ。
現代では女性に労働をさせて自分は何もしないで待っている……
楽して生きている男性はやはり「ヒモ男」だと言えます。

実はすごい「ヒモ男」


そんな「ヒモ男」ってどれだけのイケメンなの?って思いますよね。
でも、その知人、いわゆる普通なのです。
背が高いわけでも、甘いマスクでも、イケメンでもない。(あっ、失礼!)
一緒のお茶をしながら、彼の良さを観察してみることにしました。

「できない!」
「わからない!」
「教えて!」
「お願い!」
これは少し話しただけで、彼の口から出てきた言葉です。

まるで小動物がお腹を見せて寝そべっているようで、会話のすべてで降参をしているというのか、戦うことなく、人の話は全面的に肯定。
わからないことは素直に「わからない」と言えて、私の話を楽しそうに聞いてくれました。

私と全然違う……。
これが彼に対しての一番の感想です。

弱みを見せられない性格の私


私は25年間フリーランスのライターとして働いてきました。
人に頼ること、弱みを見せることは「負け」だと思ってきたし、
できないことも「できます!」と言って、無理にでも仕事を取ってきたタイプです。
だからこそ、彼の何事にも『全面負け』のスタンスに正直あっけにとられてしまいました。

知らないことがあれば、自分で調べる。
できないことがあれば、なんとしてでもできる方法を考える。
自分に厳しく、鼓舞しながらなんとかやってきた。

そのおかげでフリーランスとして仕事に困ることもなかったし、多くの人から頼られてきたと思う。でも、その分、プッシャーと常に戦っていたし、そういう働き方に疑問を感じて、今年の夏にスッパリと仕事を辞めてしまった。

きっと彼だったら、同じ立場だとしても、みんなに助けてもらいながらもやり遂げられていたんだろうな……。

今までは「働かない男なんて!」と思っていたけど、
彼との会話の中で「ヒモ男」を肯定する気持ちさえ芽生え始めてしまいました。

ヒモ男の彼女は……


40代の男性一人養えるということは、かなりの稼ぎがないと難しいですよね。いったい「ヒモ男」はどんな女性と付き合っているのでしょうか。

案の定、外資系で働くバリキャリ系。
外ではしっかり者だけど、家に帰れば彼に甘えっぱなしなのだとか。

きっと周りの人から
「働かない男なんて」
「もっと素敵な男性はいるよ」
なんていうセリフは、何万回も言われているんだろうな。
でも、彼女はそれも分かったうえで彼を選んでいるのだから、私が口を出すようなことでもありません。

「甘えたい人」、「甘えさせてくれる人」。
その需要と供給がベストな割合で成り立っている関係なのだから。

無意味だった無駄な戦い


家に帰ってからも、「ヒモ男」の『全面負け』のスタンスが頭の中をグルグルと回っていました。

私は勝手に
「しっかりしなくちゃ仕事は貰えない」
「人に頼ったら負け」
というように、常に周りに虚勢を張り、一人で無駄な戦いばかりしていたんだろうな……。

私は性格的には「ヒモ体質」とか「ヒモ男」を養うとかは、無理だけど
今日会った「ヒモ男」みたいに、これからはもう少し人に頼ってみてもいいのかなと思う。

自分を大きく見せなくても誰からもバカになんてされないし、
周りに頼ったりお願いしたら、きっと力を貸してくれると思うから。
そうしたらもっと生きやすくなるって信じてやってみよう。

「ヒモ男」から大切なことを学んだ気がします。
ヒモ乃輔ヒモ太郎、ありがとう。

では、また明日お会いしましょう。

西村真紀


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