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妊活日記―生きている私と生きれなかった命

2023/4/10(月):夫婦の妊活日記㉕
※このページは過去の妊娠・流産を思い起こして書いたものです。この記事を書いている現在、私は40歳、まだまだ不妊治療をがんばっており、子どもはいません。
 が!悲しかった経験もひっくるめて、今は幸せな気持ちで夫婦仲良く妊活に取り組んでおります。

 今日も流産当時に記録していた日記(流産が分かった当日)を振り返っていきたいと思います。
 前日からの出血に、不安なままクリニックを受診し、流産を告げられたこの日。約束していたとおり、夫の実家にお邪魔しました。その目的は義姉の元に生まれた甥っ子に会うため…
 ちょっと辛い時間になりました。


2020/3/14(後半の記録)
 Tちゃんは「今日はやめとこう」って言ってくれたけど、家に帰ったらもっと取り乱しそうで、当初の予定通り義実家へ。今日の目的は誕生した甥っ子に会いに行くもの。
 義実家に着いて早々にお義母さんに体調を聞かれ、Tちゃんから流産を報告。お義母さんから出た言葉は
「やっぱり育美ちゃん、あかんのやなぁ」
と言う不意な本音だった。
 義姉の母としての姿を見ながら
「この人は母になれて、私にはなれない理由はなんだろう」
と、沢山うらやましさを感じた。
 私も赤ちゃんを抱っこして、寝不足になりたかった。

 義実家では何とか取り乱さずに済み、帰路の車内では涙が止められなかった。Tちゃんが、「よく我慢した!」と義実家での私の我慢を褒めてくれた時、我慢していた涙があふれて仕方がなかった。
 涙を抑えて、帰りの車でお母さん(私の実母)に電話で報告。
 何とか泣かずに伝えられた。
 お母さんも冷静に受け入れて、私の身体を心配してくれた。
「流産は悲しいけど、自分たち夫婦にも赤ちゃんが来てくれる可能性があったってことが嬉しい」
とTちゃんが話してくれた。
 正直、「次、妊娠できるように…」と望むことはお腹の赤ちゃんに申し訳ない気持ちもあるけど、前を向いて歩けますように…

 家に帰って2人でおしゃべりをして…
 大丈夫かな?って自分では思っていたけれど、Tちゃんにハグされると、途端に我慢できずに、また声をあげて泣いてしまった。
 Tちゃんは弱音を吐かないのに、ごめん。


 夫の実家の人たちは「自分の家系は不妊ではない」と思い込んでいて、しかも「不妊=女」のイメージを強く持っているところがあるので、義母から不意に出た「やっぱり…」という言葉にも驚きはなく、密かに諦めに似た気持ちを感じていました。
「この家では子どもができないのは、やっぱり全部私のせいなんだ」
そう思いました。
 今まで不妊で悩んでいた時には「夫も検査受けてないし!」と強気でいられたけれど、自分のお腹に芽生えた赤ちゃんの命が尽きた後には、義母の本音は分かっているつもりでも、本当に耐えがたい言葉でした。
 義母は優しい人なので、特に私たちに子どものことで何か言われた…ということもなかったし、本気で心配してくれていることも分かっているけれど、だからこそ見えた本音が私自身の本音や後悔と合わさると、とてつもない悲しみでした。
 きっと不妊に悩んだ経験がない高齢の方の認識なんてそんなものなのだろう…そんな諦念の気持ちと義姉をうらやむ気持ち…この時の経験したことのない居心地の悪さといたたまれなさ、背骨の中をスウッと冷たい水が通り続けているような、心の冷たさとこわばりをきっと私は忘れないだろうと思います。

 誰もきっと悪くない…だけどこの時の私は「自分が赤ちゃんを殺した」と思い、義母の無意識に、義姉の当たり前に、夫の困り顔に、勝手に責められたような気持ちになって…
 「赤ちゃんは死んでしまったのに、私のお腹で命尽きたのに、どうして私だけが生きているのだろう」
と本気で罪悪感を抱いていました。
 いかに「染色体が…」との説明を受けても、この後何カ月も後ろめたさと罪悪感はなくなることはありませんでした。

 でも、夫が口にした「自分たちにもあかちゃんができる可能性が…」という思いが私の中にあったことも本音でした。
 
 「私が殺した」も本音。
 「私達にも可能性が…」も本音。
 とっても苦しい本音でした。

 身体から出てくると言われた赤ちゃんの組織も、出てきてなんて欲しくなかった。
 ずっとお腹の中に一緒にいて欲しかった。
 変わらず話しかけていたかった。
 生きている自分が、お腹が空く自分が恨めしかった。

今日はここまで!
苦しい日々の回想を、最後まで読んでくださってありがとうございます。
もし今、こんな気持ちの方がいたら、読んでくれたら嬉しいです。
これを書いている私は、少なくとも「生きててよかった」と思えているから。
妊活中の皆さん!がんばろうね!お互いに!
図太く生きてやろうね!

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