見出し画像

2022年IT人材動向振り返り/トレンド予測の答え合わせ

早いもので2022年も残り少なくなってきました。年末らしく振り返りをしたいと思いますが、一つ試みとして年初に実施したトレンド予測がどうだったのかという話もしたいと思います。年末のお手隙な際にお読み頂くのも一興かと存じます。

2022年年初のトレンド予測 答え合わせ

年初に寄稿した上記記事ですが、いくつか興味深いポイントをピックアップしたいと思います。

スタートアップ

スタートアップ界隈は非常に激動だった一年でした。2022年末に振り返ってみると年内に資金調達ができ、着金できたかどうかで顔色が違う印象です。

千葉道場ファンドの石井さんの記事は資金調達の観点から書かれております。ぜひご一読頂ければと思います。後編も期待しています。

人材の流動化

人材の流動化は今年も随分と進みました。中間管理職の人達と話していても「2年居てくれたら良い方」「3年居てくれたらよく頑張ってくれた」という風潮を感じます。

従業員を生涯雇用する考え方に耐えられる企業も減っている印象があります。創業社長が諸般の事情により居なくなるケースもよく見かけるので、終身の契約を従業員に求めることもおかしくなっているように感じています。

新卒採用・育成への回帰

新卒採用への回帰が起きています。政情不安や円高などのブレーキとなる要素はありますが、求人倍率は上昇しています。2019年までの派手な採用は減っていますが、待遇合戦も含めて意欲が感じられます。

背景として考えられることとして、下記のようなものがあります。

  • デジタル人材の需要増

  • 少子高齢化

  • 為替の不安定さによる海外人材の壁の高さ

  • 既存社員の外国語対応コストの高さ

この波は高専にも来ており、就職課が忙しくなるほど企業の問い合わせがあるとのことです。

海外人材

オフショアを検討する企業が増えるのではないかという点と、安いから発注するのではなく適切な金額で発注することが重要だという点をお話しました。

年始に予想できなかったのは円高と人件費の高騰です。インド・東南アジアであっても日本人と同等の金額が主流になってきているというのは予測していたより早い事象でした。日本での開発組織拡大が難しいので、「適切な金額で海外人材とコラボレーションをするという意識へのシフト」が予定よりも早く求められています。

副業人材

景気悪化と共に「副業」という言葉に「小銭を稼いで生活費の足しにする」という色合いが強くなっている傾向にあります。ギグワーク的なものの台頭だけではありません。テレビの副業特集などにもポイ活(ポイント収集活動)が含まれることが多く、もはや仕事ではないものが副業に含まれています。貯めるのはなかなか苦痛なので業(ゴウ)ではあるかも知れません。

IT業界に関して分析をすると自身のスキルアップやスキル幅を拡げるための副業が目につきます。こちらの記事は大手メディアでも多く取り上げて頂けたのですが、どうやら非IT業界の方からするとこうした側面があることはかなり意外なようです。副業という言葉自体が多様化し過ぎているため、呼び替えも含めて考える必要がありそうです。

2022年 振り返り

私のnoteも毎週更新していることもあり、様々な確度からIT業界の人材の流れを言語化して来ました。この1年を振り返り、アクセス数が多い記事をカウントダウン形式でご紹介します。

4位、5位 未経験エンジニアを取り巻く地獄絵図

4位は2020年の記事なのですが2022年もしっかりと読んでいただいております。対象となる未経験エンジニアは移り変わるものの、情報商材を始めとする周辺ビジネスの動きは手口は変わっても大筋では変わらない状態です。情報が多すぎる故に「それっぽいもの」「短期間での自称成功者」に騙されてしまうというのは分からなくはありません。

こうした事象について「彼ら(未経験層)が目指して居るのは異世界転生である」と称されていた方が居られました。短期的に今の自分が生まれ変わることを期待するという点で腹落ち感があります。

エンジニア初学者が搾取されないように、この記事には引き続き頑張っていただきたいものです。

5位も同じく未経験エンジニアの話題です。収まりそうにない物価上昇が続きますが、「年収200万円台・300万円台でも楽しく生きる」的な言説を信じた人たちには暫く試練となりそうです。

ここのところは転職スカウト媒体で転職先ではなく案件を探すフリーランスも増えており、人事界隈ではため息が聞こえてきています。

3位 Web3.0がきな臭い

挑戦的な内容だったので反響が心配でしたが、多くの共感を頂くことができました。11月からの不況で技術投資は大きく萎む傾向にあります。AIのトレンドはある程度目が出てきたので継続投資が予想されますが、Web3.0については需要よりも先に技術が先に来ているので苦戦が予想されます。

2位 就職活動の傾向と対策

新卒採用に関わっていても時折、就活中の方から「読みました!」とお声がけ頂けるのがこのコンテンツです。2022年末に振り返ってみても、「新卒」と一言でまとめてもそのスキル差は大きくなっています。特にITエンジニアについては学生時代の身の振り方によって年収が(おそらくは生涯年収も)大きく変わるようになっています。

1位 エンジニア採用シーンの高騰

1位はこちら。ITエンジニア採用コストは非常に上がりました。勢いのあるスタートアップ界隈を見ていても(前職からのつながりを中心とした)リファラルか、50%の人材紹介かの2極化が進んでいるような感覚があります。

今後、実際の人の流れに影響が出てくる11月からの不況がどう作用していくかは注意が必要です。特に予算が変わる来年度が注意ですね。

2023年に向けて

本年の更新は今回が最後となります。今年はnoteをきっかけに書籍を出すこともできました。引き続きお読みいただけますと幸いです。次回は2023年人材動向予測を予定しております。皆様、良いお年を。2023年も生き抜きましょう。

noteやTwitterには書けないことや個別相談、質問回答などを週一のウェビナーとテキストで展開しています。経験者エンジニア、人材紹介、人事の方などにご参加いただいています。参加者の属性としてはかなり珍しいコミュニティだと思っています。ウェビナーアーカイブの限定公開なども実施しています。

執筆の励みになりますので、記事を気に入って頂けましたらAmazonウィッシュリストをクリックして頂ければ幸いです。


頂いたサポートは執筆・業務を支えるガジェット類に昇華されます!