久松剛/IT百物語の蒐集家

博士(慶應SFC、IT)/合同会社エンジニアリングマネージメント社長←ベンチャー3社エ…

久松剛/IT百物語の蒐集家

博士(慶應SFC、IT)/合同会社エンジニアリングマネージメント社長←ベンチャー3社エンジニア・中間管理職←IT研究職/スタートアップ、ベンチャー、日系大手まで複数でレンタルEM・開発組織コンサル、IT怪談士/サポーターズ エバンジェリスト/アカリク顧問/STARMINE顧問

マガジン

  • 日経COMEMO

    • 13,724本

    日経COMEMOは、様々な分野から厳選した新しい時代のリーダーたちが、社会に思うこと、専門領域の知見などを投稿するサービスです。 【noteで投稿されている方へ】 #COMEMOがついた投稿を日々COMEMOスタッフが巡回し、COMEMOマガジンや日経電子版でご紹介させていただきます。「書けば、つながる」をスローガンに、より多くのビジネスパーソンが発信し、つながり、ビジネスシーンを活性化する世界を創っていきたいと思います。 https://bit.ly/2EbuxaF

  • IT百物語

    トレンドの移り変わりが著しく早く、人の流動性の高いIT業界。個々の事象を点で見るのではなく、繋げて線や面で見ることによって見えてくるものがあります。 構造的なアプローチなくしては中長期的なプランも立てられない状況です。 人、AIといった労働資源を最大化する論理が求められる中、事象を言語化・蒐集・分析しながらお話していきます。

  • 高度人材を巡る学術⇔ビジネス間の深い川と橋渡し

  • 転職透明化マガジン

    • 10本

    「転職透明化マガジン」は、転職活動における企業と個人の情報差を埋めることで、求人企業はよりよい人材とマッチしやすくなり、求職者は自身にとってよりよい企業とマッチしやすくなることを目的としたマガジンです。 自分たちが過去の転職で苦労した経験から、応募側と選考側のすれ違いというのが多くありそうで、まだまだ良くする余地が大きくある領域なのでは、という感覚を持っています。 労働人口の減少、特にエンジニア採用に関しては採用競争の激化の中、個人にとっても企業の採用担当者にとっても転職・選考の質が上がることは個人や組織の幸福につながることだと信じています。 転職をスッケスケにしていきましょう。

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【情報解禁】7/21 初の著書「ITエンジニア採用とマネジメントのすべて」が発売されます

7/21に初の著書となる「ITエンジニア採用とマネジメントのすべて」が発売される運びとなりました。特に下記の方々を想像しながら書き進めました。 ITエンジニア採用を進めたい経営層の方 ITエンジニア採用・定着に悩まれている人事の方 HR界隈の方 採用に関わることになったITエンジニアの方 採用プロセスが気になるITエンジニアの方 採用だけでなく定着・活躍をテーマにしているため、ITエンジニア理解、評価から退職の話まで含まれています。 新規コンテンツの追加、プロに

    • デジタル人材の流動化にブレーキ?企業が直面する『量』と『質』の課題

      『人材の流動化』が叫ばれて久しいです。正直見飽きた感すらありますが、デジタル人材に関しては鈍化しているのではないかというのが私の見解です。 ITエンジニア、もといデジタル人材の文脈で言うと、デジタル人材不足は人材紹介会社の求人倍率が根拠として挙げられます。 求人は出ているものの、実際に積極採用を達成している企業は一部に限られます。派手に採用していたメガベンチャーなどは採用を絞り、今居る人員の開発生産性向上に熱を上げています。SESも待機している人材が多いですし、フリーラン

      • IT業界に迫る若手エンジニア危機—新卒・未経験者採用の行方と未来予測

        新卒採用や第二新卒ITエンジニア採用に関わったり、セミナーやPittaなどでキャリア相談を請ける立場にあるのですが、ここ数ヶ月ほど異変を感じています。人材紹介会社やSES企業などに仮説を話しながらまとめてきた見解と、そこから見えてきた未曾有の若手ITエンジニア不足の予測についてお話をします。 ITエンジニアと言われて就業してエンジニア業務を手掛けていない人がそれなりに居るらしい各所と話をしたり、キャリア相談を受けたりしていて感じることですが、エンジニアとして入社しても一般的

        • フリーランス・ギグワーカーの増加と、非正規雇用形態がセーフティネットの顔をする違和感

          先立ってフリーランスが増加基調というニュースがありました。増加基調とはいえ、グラフでは微増なので、実感しづらいところもあります。ただ、このニュースを見るとギグワーカーを含んでいるという点に注意が必要です。 パートやアルバイトは労働契約ですが、ギグワーカーはフリーランスに区分され、業務委託契約になります。 雇用の創出という観点や制度の充実もあり、これらの働き方が肯定されつつありますが、私自身のワーキングプアの経験や、採用支援を通じて見えてくる第二新卒界隈や就職氷河期世代の雇

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          候補者が求める『裁量』—企業はどう対応すべきか?

          26新卒就活もサマーインターンの時期が終わり、本選考の期間に入りました。新卒や中途の場で企業選びの方向性(就活の軸)を質問する企業は多いですが、その回答の一つに「裁量がある企業」というのがあります。業種を問わず転職理由として待遇とともに数えられることが多いです。 「裁量がある企業が良い」と言われた時に歓迎する企業もあれば、難色を示す企業もあります。そして私が最近観測し始めた真逆の『裁量』を口にする候補者もいます。この『裁量』とは何なのかについて整理していきます。 一般的な

          候補者が求める『裁量』—企業はどう対応すべきか?

          「ゆるブラック」を理由にした転職の罠—転職市場での厳しい現実

          ブラック企業とは異なり、労働環境がホワイトすぎて成長が見込めない企業が『ゆるブラック』企業と呼ばれるようになっています。 この言葉は2019年頃に登場し、OpenWorkなどのサイトでも使用され始めました。 その後、ブラック企業・ホワイト企業に次ぐ『パープル企業』という呼称も広まりました。 ゆるブラックという言葉が誕生した2019年、特にIT業界では、まさにエンジニアバブル(2015年〜2022年11月)の最中でした。当時は「ゆるブラックだから」といって現職を退職しても

          「ゆるブラック」を理由にした転職の罠—転職市場での厳しい現実

          IT開発現場におけるフリーランスNGの増/SES・フリーランスエージェント界隈の再編シナリオ

          6月に下記のような記事を投稿しました。3ヶ月が経過し、IT開発現場の商流においてフリーランスNGや、再委託禁止の案件が増加しています。 「再委託先がフリーランス」という開発体制が制限されることから、SESやフリーランスエージェント業界が大きな転機を迎えています。今回はこの背景について整理していきます。 背景北朝鮮ショックが発端 現在、一部の現場では業務委託人材が入場する際に、次のような動きが見られるようになっています。 入場時の身分確認(保険証、マイナンバーカード)

          IT開発現場におけるフリーランスNGの増/SES・フリーランスエージェント界隈の再編シナリオ

          エンジニアバブル崩壊後に広がる「歪み」 転職市場で経験者が苦戦する理由と対策

          2022年11月に収束したエンジニアバブル。依然としてコンサル業界はバブルのような強気の状況が続いていますが、コロナ禍での資金余剰によって恩恵を受けていた外資系IT企業、SaaS、スタートアップの多くは、採用活動が急速に減速しました。 それから約2年が経ち、エンジニアバブルの影響が転職市場にも現れています。このnoteでもお話してきましたが「企業が求めるのは単にエンジニアの頭数ではなく、実力のあるエンジニア」であるため、未経験・微経験層の転職は非常に難しくなっています。しか

          エンジニアバブル崩壊後に広がる「歪み」 転職市場で経験者が苦戦する理由と対策

          ITエンジニア紹介会社の分岐点—中途採用市場の厳しい現実

          様々なITエンジニア採用企業より採用相談をいただいていますが、リファラルできるような強力な社員やブランディングがないと厳しい状況です。技術力、ブランディング、人脈を兼ね備えたタレント社員の採用が、採用成功の王道となりつつありますが、一般企業では困難です。 次に考えられる打ち手はスカウト媒体です。しかし、スカウト媒体の集客力が鍵を握るものの、返信率が低く、2024年現在では推奨できる媒体は一つしかありません。過去に私が男女マッチングサービスに関わっていた際、男女比を意識しない

          ITエンジニア紹介会社の分岐点—中途採用市場の厳しい現実

          リファラル採用の成功と失敗:組織崩壊を防ぐために知っておきたいリスク

          リファラル採用が活況です。「あの話題企業の中途採用成功のポイント」などのセミナーに行くと、リファラル採用の成功事例がよく話題に上ります。 リファラル採用は、採用コストが低く、社員紹介という特性から素性の明らかなエンジニアを採用できるため、人事界隈では「採用全体の何割がリファラルで決められるか」という話がよく出ます。人材紹介会社やスカウト媒体を通じた即戦力採用がより難しくなっているため、リファラル採用の注目度はさらに高まっています。 一方で、限界も見えてきました。2024年

          リファラル採用の成功と失敗:組織崩壊を防ぐために知っておきたいリスク

          【就職活動・転職活動の現実】ITエンジニアがSESでしか内定をもらえないワケ

          就職活動や転職活動において、内定が得られず苦労している方が増えていると感じます。4月に下記のnoteを書きましたが、さらに具体的な傾向が見えてきたので整理します。 内定が特に決まりにくい人の傾向と着地点全体的に企業が厳選採用を行っており、特に第二新卒の時期を過ぎると、未経験者としての教育対象から外れる傾向があります。年齢としては卒業後+2年以内、かつ1社での経験のみというのが2024年8月現在の状況です。 希望年収の観点では500万円を超えると一つの壁があり、特に550万

          【就職活動・転職活動の現実】ITエンジニアがSESでしか内定をもらえないワケ

          SIer・SESと自社サービス:風潮の変化を読み解く

          最近、X(旧Twitter)でSIer・SES業界の人たちが、自社サービスのWebエンジニアを揶揄する動きが見られました。こうした話題は時折見かけますが、今回は特にWebエンジニア側からの反応がほとんど見られなかった点が印象的でした。 4年前の2020年に、以下のようなnoteを執筆しましたが、当時はフリーランスを頂点に、自社サービス、SIer、SESというヒエラルキーを自身の中に持つ人が少なくありませんでした。今回は、そこから状況が変わってきたという話です。 自社サービ

          SIer・SESと自社サービス:風潮の変化を読み解く

          就活・転職活動の重要ポイント:短期離職を繰り返す人の共通点

          最近、XでブラックSESを渡り歩いた方の投稿が話題になっていました。私も第二新卒採用やキャリア相談に関わる中で、その共通点が見えてきました。 以前、以下のnoteも書きましたが、今回はより踏み込んでお話ししたいと思います。 転職しやすい人の意思決定の傾向と、その対策転職しやすい人の意思決定について分類してお話します。 勘で決めている まず1つ目は「ピンと来た」というものです。うまく行くタイプも稀に見られますが、多くの場合は気のせいです。よく考えましょう。 口説かれた

          就活・転職活動の重要ポイント:短期離職を繰り返す人の共通点

          母集団形成の限界:変わりゆく採用市場に対応するITエンジニア採用の戦略

          近年、多くの企業でITエンジニア採用にマーケティング的なアプローチが導入されています。従来の「母集団形成」に基づく採用方法が一般的でしたが、転職市場の変化により、これらの手法が効果を発揮しづらくなっています。 特に以下の2点が大きな問題となっています。 人材紹介・スカウト媒体の変化 採用要件・ハードルの上昇 本記事ではこれらの背景を整理し、今後の対応策について考察します。 人材紹介・スカウト媒体の異変スカウト媒体の現状と課題 近年、スカウト媒体が母集団形成の手法と

          母集団形成の限界:変わりゆく採用市場に対応するITエンジニア採用の戦略

          フルリモートワークを条件にした転職も採用も難しい

          2024年も折り返しになりました。このnoteでもリモートワーク、特にフルリモートワークについて度々話題にしてきましたが、企業の採用状況の変化も相まって様相が変わってきています。 今回はX(旧Twitter)でも反響を頂いたフルリモートワークと採用についてお話します。 リモートワーク実施状況は横ばい採用のお話に行く前に、リモートワークの実施状況についてまとめておきます。 東京都労働局のテレワーク実施率(6月)を見ると横ばいです。週あたりのテレワーク実施回数を見てもここ数

          フルリモートワークを条件にした転職も採用も難しい

          ITエンジニアの目標設定は無駄なのか?

          先立って「目標管理は技術者にはクソ」というスライドが話題になりました。1枚のスライドが独り歩きした結果(リンク先P92)、「目標管理は不要である」という賛同が非常に多いものでした。あのスライドを見た私の見解は下記ですが、今回はエンジニアと目標・評価についてお話していきます。 目標なき組織運営は難しい目標とそれに対する評価を設定しない組織も存在します。 あるスタートアップでは「半年に一度職務経歴書を更新し、それを人材紹介会社3社に投げ、市場価値の相見積もりをして給与設定をす

          ITエンジニアの目標設定は無駄なのか?