【本屋イベントレポ】日記文学について、吉本ばななさんと宮崎智之さんが語る
先日、「日記文学の魅力を語ろう」というイベントにオンライン参加してきた。
このイベントは、吉本ばななさんと宮崎智之さんという二人の作家が、日記文学について語るトークイベント。
会場は下北沢の本屋B&Bで、お二人の新著エッセイの出版に合わせて開催され、現地は多くのお客さんで賑わっている様子だった。
このイベントに参加したきっかけ
何を隠そう、吉本ばななさんの大大大ファンだからだ。
高校時代に初めて『キッチン』を読んだ時、その独特の空気感にすっかり取り憑かれてしまった。
こんなに心に染み込む物語があるとは……驚きだった。
深夜にカツ丼届けるシーンの素敵さはいつまでも忘れられない。
以来、図書館でばななさんの文庫を借りては読み漁る日々が続いた。
多感な高校時代に触れた彼女の作品は、間違いなく私の血肉となり、今でも心の中に深く根付いている。
自由なばななさんと、初めましての宮崎さん
イベントはトークショー形式で進行した。
ラクダのTシャツを着たばななさんの自由な語り口が楽しくて、あっという間に引き込まれた。
トーク相手の宮崎智之さんは、作家であり文学研究者でもあるそう。
実は、宮崎さんについては存じ上げていなかったが、その話の面白さには驚いた。
決して滑らかに話す人ではないが、話の引き出しが深く、聞く者を惹き込む魅力があった。
宮崎さんの著作ももっと読んでみたい!と自然に思うようになった。
こんな風に新たな作家さんとの面白い出会いがあるから、本のイベントは楽しい。
「瀬戸内海の凪の無風状態では、すべての音がよく聞こえる」
宮崎さんのお話で、最も心に残ったのがこちら。
日記文学で描かれる「何も事件が起こらない凪のような日常」では、ある意味何もかもが起こっているのかもしれない。
これは、面白い発見だった。
日記文学の本質が、この一言に全て詰まっているのかもしれないな……
「人は本質的には変わらない」
繰り返し、ばななさんはこうおっしゃっていた。
ばななさんが幼い頃、すでにオリジナルの新聞を創作していたそう。
いろんな動物の出てくるその新聞のエピソードはほっこりと印象に残ったし、創作の源泉はそんな幼い頃まで遡るのね……!と感嘆した。
三つ子の魂100までとよくいうけれど、クリエイティビティの本質は、小さい時にやりたかったことや夢中で作っていたものの中にあるのかもしれない。
参加してよかった!
もともと自分も日記を書くし、エッセイを読むのも好きだ。
このイベントを通じて、日記文学の魅力を再確認すると同時に、新たな気づきを得ることができた。
参加してよかったと心から思える、とても有意義なイベントだった。
今から、吉本ばななさんの新著「724の世界」を読むのがとても楽しみでしかたない。
楽しいこともちょっとしんどいことも何もかもが起こる大切な日常を、私も自分の言葉で綴れるようになりたいものです……!
《おわり》