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放課後まほらbo第四話「動機付け」の志向性

【第四話】
■はじまりは自己肯定感
■意欲もいろいろ
■望ましい動機付けとは
放課後まほらboでは、自己調整学習の力をつけるため、その3つの要素の一つ「動機付け」を意識して指導します。学習に対する「意欲」が、大切だと考えるからです。


■はじまりは自己肯定感
なにごとにも意欲は大切です。嫌々勉強して効果が高まることはないでしょう。ではその意欲は、どこから生まれるのでしょうか。まず考えられるのは、自信や自分への信頼です。初めてのことには誰しも不安がつきまとい、自信など持てないと思います。宅急便の創始者で実業家の小倉昌男さんは、生前よく「やればわかる、やればできる」といわれていました。自分への信頼があれば、やってみようと挑戦する意欲がわくものです。そしてやってみることで色々なことがわかります。結果、やればできるということでしょう。自分への信頼とは、こういった体験を積んで育まれる自己肯定感や自己効力感といったものです。自己肯定感は、「できた」や「わかった」という経験の積み重ね、また失敗や間違いを責められるのではなく、活かしていくことをすすめられたりした経験で強化されると考えられます。やみくもに褒められるのではなく、根拠をもって正統に評価される経験、失敗から学ぼうとする価値観などが、自己肯定感を高めるといえるでしょう。

■意欲もいろいろ
 また意欲について考える時、東京大学名誉教授の市川伸一先生が提唱された学習動機の二要因モデルは役に立つでしょう。「人はなぜ勉強するのか」という、そもそもの疑問から研究をはじめ、導き出されたものです。これを見てもわかるように、人間の心はとても複雑です。意欲ひとつとっても色々なタイプがあります。タイプ別に分類されるだけではなく、学習の功利性や内容の重要度にも関連付け、外発的、内発的というこれまでの枠組みでも、説明が可能なかたちで動機付けの構造化をされました。こんな複雑な処理を人間は意欲という一言でしているのですね。
自分で学習を安定してすすめていくためにも、この複雑な「意欲」をコントロールしなければなりませんが、それにはまず自分の傾向を知ることが大切なのです。自分の動機付けには、どんな傾向があるか振り返ってみましょう。
① 充実志向(学習自体が楽しい)
② 訓練志向(知力を鍛えるため)
③ 実用志向(仕事や生活にいかす)
④ 関係志向(ともだちにつられて)
⑤ 自尊志向(プライドや競争心)
⑥ 報酬志向(報酬を得る手段として)
画像:web-CREO

二要因モデル

■望ましい動機とは
学習動機の二要因モデルをみると、どれも心当たりのあるものです。しかしよく見ると、欲しいゲームが買ってもらえるから頑張っていたり(報酬思考)、好きな友だちと一緒だから勉強していたり(関係志向)すると、それがない時にはやる気が落ちるかもしれません。学ぶこと自体が楽しいと感じていたら、環境に左右されずに済むでしょう。もちろん親友と一緒だともっと力が出るし、テストで良い点を取れると励みにもなります。コロナ禍で休校になった期間も意欲を落とさないためには、二要因モデルで自分の考え方や傾向を知っておくことが大切なのです。心理学の知識をつかって自分の学習状況を科学しながらコントロールすることが出来るのは面白いと思いませんか。それはアスリートが、自己管理しながら技術を磨き、身体能力を高め、最高のパフォーマンスを自ら引き出そうとするのに似ています。
 放課後まほらboでは、自己調整学習の3つの要素を育む取り組みのなか「意欲」を育むことに拘るのです。
次回は、学習方略をとりあげます。
ではまた。
(みやけ もとゆき/もっちゃん)


ありがとうございます!
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一般社団法人 東京学芸大Explayground推進機構のlabの一つ。「まほら」とは、「素晴らしい場所」「住みやすい場所」という意味の日本の古語です。子どもにとって、親にとって、地域にとっても素敵な「放課後のまほら」を探究します。