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01.16

最寄駅の改札を出て、ドンクの前を通る。

改札に近いミニパン売り場の陳列在庫がほぼなくなりつつあることにやっぱりミニパンは人気だよなと少し嬉しくなり、マスク越しににんまりする。

そして店内を眺めると思いのほか、主要のパンがもりもり残っていることに驚く。

だから、何か買っていこうと思い店内に入ってみたのだけれど夜ご飯の前だし、今食べると食べ過ぎになっちゃうよなと思いとどまり、静かにお店を後にする。

そして、バスを一本乗り遅れた。


パン考②

パンには性格があると思う。

まずパンをつくる人の気分や性格がその時々のパンに形として反映されることがあるのではないかと考えた。

これはその人がすごく幸せなときは、もちもち柔らかな食感になるだろうし、怒り心頭イライラの時はハードよりの食感になるんだろうといえる。

でも、それはパンの性格ではなくて、あくまでパンの作り手の性格や個性が反映されたパンである。

だから、それは僕が考えたパンの性格ではない。

では、僕が考えるパンの性格とはなにか。
それは、

それぞれのパンの名前

が数あるパンの個性をうまく表現しているように思う。


カレーパン

では、僕の好きなカレーパンを例に考えてみる。

カレーパンといえば、そのお店の個性が一番わかるパンであると個人的に自負している。

では、2022年のカレーパングランプリを受賞した栄光あるカレーパン達の名前をみていくことにしてみよう。

まずは①カレーパンフォンデュだ。

とろりとしたチーズフォンデュが中に入っているということ自体がそもそもカレーパンの中では異端児であり風雲児である。
チーズフォンデュってフォンデュする、ディップするものだろうと思っていたのだけれど違うようだ。

だから、このパンの個性は"川越シェフ"だ。
時代の風雲児たる絶対的な自信、ドヤ顔といったものをどこからか感じる。

続いて②コクうまカレーパン。

コクうまという表現だけで、もう絶対カレーで勝負してやるという自信がびしびしと伝わってくるし、コクうまという言葉そのものがもうよだれを誘発する。

だから、このパンの個性はことわざを借りると"能ある鷹そのもの"だ。

では、③バーモントカレーパン

食卓で並ぶあのカレーがパンになったというそれだけで意外性があるが、家庭の味をカレーパンとして手軽に味わえるのはいいところだ。
でも企業と手を組みカレーパンを完成させるとは凄すぎる。

だからこのパンの個性は、"おばあちゃん"だ。
おばあちゃんの知恵袋という言葉があるように、おばあちゃんの知恵にはまったく敵わない。それぐらいの強さや凄みというものをこのパンからは感じる。

④カリカリジューシーカレーパン

もう音だけで美味しい。

だからこのパンの個性は、"音楽家"だ。
カレーの奏でる音をストレートに表現しているあたり、世界で活躍できる音楽家の卵のような気がする。

⑤焼きカレーパン グランヴィアGREEN

名前が、名前が謎すぎる。
GREENが名前に入っていると思ったら、意外や意外パンがグリーンだった。
ほうれん草が一役買っているらしいようだ。

このパンの個性は、"マジシャン"だと思う。
だってマジシャンってびっくりするでしょ?
それくらいびっくりした。ほんとに。

では、⑥ハニートリプルチーズカレーパンはどうだ?

3種のチーズが使われているのにまず驚くが、注目すべきところは実はそこではない。
僕が見てきたカレーパンのそれとはまったく違うカレーパンがそこにある。
カレーパンといえば、パンの中にカレーがあるのが定石と思っていたがどうやら時代はそうではないようだ。

このパンの個性は、"先進国"といいたい。
時代は変わる。カレーパンが変わったように僕らも変わっていかなければいけないなと少しだけそう思った。

⑦ジラッファのカレーパン

このジラッファはどうやらそのパン屋さんの名前らしい。キリンをすっかりイメージしていたけれど、お店もキリンをイラストに営業されているようだ。
いやいや、お店のことではなくてパンについて述べておかないといけない。カリカリ、ふわっ、トロッの食感の変化が楽しいパンとある。
うんうん、もう最高。

このパンの個性は、"グラデーション"だ。
どの色も綺麗、移り変わりも綺麗。

いよいよ大詰め⑧秋川牛キーマカレーパン

秋川牛というブランド牛は東京の地元のブランド牛であるらしい。
地元の牛さんをカレーに使うところは、地産地消の点において評価加点は高くなる。
ほら、耳をすませばどこからか牛の声が聞こえてきそうだ。

だから、このパンの個性は、"ほら貝"かもしれない。
法螺貝に耳を当てれば、かすかに法螺貝が過ごした海の思い出が聞こえてくるようなそんな感じに似ている。
ほら、牛の声が聞こえてきた。
「もぉー」

⑨濃密紅はるか香味旨辛ビーフカレーパン

さつまいもがカレーパンに参戦している!!という意外性もさることながら、このカレーパンそのものの名前のインパクトが強すぎる。
えっ、頼むときはなんと言って頼むんだろうと思ったけれど、パン屋さんは食べたいパンをトレイに運ぶだけだから安心だなと納得する。
けれど、ご近所さんとの世間話で話題に上がるときはなんで呼ばれるんだろうか?

うまからさん?紅はるか?

そう考えるとこのパンの個性は、"大阪のおばちゃん"だ。
インパクトが強すぎるこの感じはこれしか表現できない。

いよいよラスト⑩三元豚ヒレカツビーフカレーパン

ヒレカツがごろっと入ってるビジュアルがまずすごいけれど、それ以上に驚くべきはこのカレーがカツカレーになっていることだ。
盲点だった。カツカレーをカレーパンにしようなんてぼくには思いつかなかったほどの発想の勝利をひしひしと感じる。

だからこのパンの個性は、"伝統工芸品"であると思う。カツカレーをカレーパンへと昇華させた先にあったもの、それはカレーパンだった。
つまり伝統を研ぎ澄ました先にあるもの、それもまた新しい伝統工芸品だったのだ。


結論

パンの個性、性格というより僕の個性が全面にでてしまった。

でも、パンによっては必ず個性、性格というものはあると思う。
ふんわりしたパンであったら、あ、このパン優しそうとか、ガリガリ食感をうりにしてるパンであったら、あ、このパン尖ってるなとか。

こう書いてみてもやっぱりパンを選ぶ人の個性によってパンの見え方というのも違ってくるんだろうなとそう思う。

そう考えるとパン屋さんでパンを選ぶ人たちはどんなことを考えながら選んでいるんだろうかとすごく気になる。

みんなパンを選ぶときに、パンの個性を汲み取っているんだなとここまで書いたいまはそう思える。

パン屋さんってやっぱりすごいぞ!


終わりに

今日の夜ご飯はカレーでした。

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