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『その裁きは死』を読んで。

こんにちは。
『その裁きは死』を読んだので、感想を記しておきます。

ある離婚を担当した弁護士が殺害された。
しかも裁判の相手方が口走った方法で。
壁には「182」というダイイングメッセージ。
被害者が殺害される前に言い残した「もう遅いのに」という言葉。
元刑事のホーソンと共にこの奇妙な事件を捜査することになる。

以上があらすじです。
僕はこの時点ですでに興味を惹かれていました。
事件の手がかりがすでにいくつか提示されているのに、未解決事件として物語が進んでいくのが、とても面白いと思いました。

実は、このホーソンシリーズは第2弾となっていて、前作の「メインテーマは殺人」の続編となっています。
ワトソン役は、この物語の主人公でもある作者であるアンソニー・ホロヴィッツです。
今作は事件の謎だけではなくホーソン自身の謎にも触れ始めていてかなり引き込まれました。

事件が進むにつれ、徐々に出てくる手がかり。
それに比例して、事件の謎も深まるばかりで「次はどうなるんだろう」と気になって仕方がなかったです。

そして、物語の途中でのこのセリフ。

この時点で、わたしはすでに手がかりを三つ見逃し、二つ読み違えていた。

「その裁きは死」より

え。そんなに手がかりがあったの?
もしかして自分も見逃してるのでは…?

そう思ってページを遡って読み直してしまいました。
主人公目線で描かれているからこそのセリフで、読者を飽きさせない工夫がすごいと思いました。
解決パートではこの手がかりも鮮やかに回収していくので見事でした。

伏線の張り方と隠し方が秀逸で読んでいて面白かったです。

海外文学ということもあり、言い回しにクセがありますが、全体的にサクサク読めました。

また、「比喩表現」が感動しました。
例えばこれです。

丘のふもとに腰をおろした老人のようなたたずまいの家

「その裁きは死」より

古く、くたびれている家を表現するための語彙が凄すぎます。
その光景が目に浮かぶような一節でした。

すごく面白いミステリー小説でした。
第3弾も楽しみです。

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