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ファンダムマーケティング-「選ばれるブランドが持つ”マインドシェア”の価値とは?」 -

『ファンダムマーケティング』と題して始めたこのブログも早3回目。これまでに2回記事を執筆してきました。

ファンダムマーケティングとは?!

ファンダムマーケティング-「企業の差別化ってどこにある?」-

さて、本日は音楽やエンターテインメントのチカラを活用して企業のファンをつくる『ファンダムマーケティング』の必要性を説くには、まず企業が現代において直面している課題について整理しなくてはなりません。

ありとあらゆる課題がある中で、兎にも角にも重要なのは、「マインドシェア」です。マインドシェアは消費者の企業や商材の心の占有率です。どれだけ消費者の中に根付いているかいるか。記憶されているかです。

エッジーな広告を次から次へ投入する企業である日清食品の社長、安藤徳隆氏は、インタビュー、Forbes:なんなんだこのCMは? 反響を生みドライブさせる日清食品の「すごい会議」によると以下のように述べています。

お客さまとブランドの間に文脈を生み出し、
“マインドシェア”を上げていくことを最も重視しています」

日清食品はこれまでずっと消費者のマインドシェアをあげるような広告を展開しています。カップヌードルをはじめ、ありとあらゆる商材においても非常に消費者の心を占有するような施策を展開しています。

例えば、カップヌードルであれば、ワンピースがもしも高校生だったらという設定で、「HUNGRY DAYS」というキャンペーンを実施しています。(これもファンダムマーケティングのひとつですが、今回はここには深く触れません)

この「マインドシェア」を図る指標として、一般的なのが「想起率」です。特に「純粋想起」と呼ばれる「〇〇と聞かれて思い出し、答える企業ならびに商品」、さらにその中から「最初に想起される企業ならびに商品」である「第一位選択」は今後市場でのシェア、競合優位性を獲得するためにも必要不可欠です。

厳密にいえば、さらにいくつかのブランド名や商品を並べて回答してもらう「助成想起」もあります。この「純粋想起」と「助成想起」どちらを重要視するかはブランドや商材によって異なります。車などの場合は、「純粋想起」の中に含まれなければ、購入選択の土台にも上がりません。一方、飲料などのコンビニ商材は「助成想起」でもOKという場合があります。(必ずしも高価格帯が純粋想起、低価格帯が助成想起というわけではありません)

さて、第一位選択のブランドがなぜ、強いのか。それは弊社代表の池田のnoteを引用します。

第一位選択(一番最初に思い出してもらえるブランド)は、

・確実に検討してもらえる
・一番最初に検討してもらえる
・検討後に買ってもらえる可能性が一番高い
・リピート購入であれば一番買い続けてもらえる可能性が高い
・特にオンライン購入の場合、第一位想起がそのまま購入される

確率が高いからです。

もうひとつ、この図です。

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これはある製品カテゴリーに含まれるブランドの全体を、消費者の情報、意図、態度などにより幾つかの下位集合へと分類することを、ブランドカテゴライゼーションと呼び、この図は先人の研究者たちが構築してくれた構造図です。

これはまさに「選ばれるブランドの天下一武道会」みたいなもので、激しいトーナメント戦が消費者の頭の中で行われています。ここでいかに競合他社から勝ち上がるか、です。

この中にある右上の「想起集合」(Evoked Set)はなにがすごいのか。それは池田の言葉を借りると「購入における好意的な選択肢の集合体」つまり、「脳のショートカット」が行われます。

その中での優勝者は「第一位選択」となります。加えて、「第一位選択」されているブランドは強いブランドの定義ともいえる「ブランド・エクイティ」を掌握していることが多いです。

「ブランド・エクイティ」とは、(ブランドの資産)は、ブランド認知、ブランド連想、知覚品質、ブランドロイヤルティなるもので、「第一位選択」のブランドはえてして、ブランド・エクイティの総和は強いのです。

ここまで「想起の重要性」や「第一位選択」の話しをしてきましたが、なぜこの「想起」が重要なのでしょうか。それはひとえに「覚えてもらうのがすさまじく困難である」からです。

現代に生きる私たちは日々、膨大な情報を浴びています。リアル、マス、デジタル含めそれはもう処理できないレベルでの情報量です。朝起きて、就寝するまでその数は数千~数万と言われています。

その中で、私たちが覚えている企業の広告はいくつあるでしょうか。当然人によっては異なりますが、その数は決して多いとは言えないのではないでしょうか。

そう、企業の認知や興味喚起、はたまた購買に至る以前に、「覚えてもらえてない」のです。これは多くの企業が直面している課題です。

ファンダムマーケティング-「企業の差別化ってどこにある?」-でどこの企業もファンを作りたいと思っているし、この時代においてファンづくりが必要と述べていますが、ファン以前に「覚えてもらえてない」というのが大きな課題なのです。

だからこそ、ファンを生み出すためにも、まず「覚えてもらう」「記憶してもらうこと」が重要なのです。

「マインドシェア」をあげないことには、「想起」は生み出せません。「マインドシェア」は消費者の心の占有率です。それは単にテレビCMを大量投下すれば達成されるわけでもありません。機能的価値だけではファンは生み出せないのと同様に、「マインドシェア」も同じです。

特に「マインドシェア」は機能的価値だけでは不可能です。心の占有率なのですから、消費者の心になにか深く「刺す」必要があります。選ばれるブランドは、「マインドシェア」が高いのです。

そして、もうひとつ重要なのは、認知はお金で買うことができます。しかし、興味はお金では買えません。多額のコストを使ってテレビCM、OOH、デジタルなど縦横無尽に広告爆撃をすれば、認知はしてもらえます。

そういう意味では、「覚えてもらう」ことはできます。しかし、それができる企業は資金が潤沢にある企業だけです。しかし、あくまで「マインドシェア」は情緒的価値を含まないと、すぐさま忘れられていきます。裏を返せば、マインドシェアの高いブランドは「情緒的価値」を備えているともいえます。

瞬間的に「覚えてもらう」ではなくて、長期的に「覚えてもらう」ことが求められます。先の日清食品などは資金が潤沢にある企業ですし、カップヌードルなどの認知度はほぼ日本国民100%レベルでしょう。

しかし、その日清食品ですら、展開される広告にはきちんと「マインドシェア」を高める施策を入れています。ただ人気コンテンツをはめているのではなく、長期的に「覚えてもらう」ように工夫されています。

ここまでのまとめです。

1.企業の大きな課題のひとつが、「マインドシェア」=心の占有率
2.「マインドシェア」を図る指標は「想起率」
3.「想起率」の中でも、「第一位選択」が重要
4.「第一位選択」されたブランドは購買確率が高い
5.「第一位選択」ブランドは「ブランド・エクイティ」の総和である
6.「想起」が重要なのは、膨大な情報量によってほとんどの広告は覚えてもらえていない
7.消費者の「記憶に刻む」ことが、ファンを作る第一歩
8.「マインドシェア」を上げるためには、情緒的価値が必要
9.「認知はお金で買えるが、興味はお金では買えない」


「マインドシェア」の争い。それが現代に直面している企業の大きな課題です。売上を増やす。競合他社と差別化する。自社のファンをつくる。そのどれにも「マインドシェア」はキーポイントになります。

第三回もお読みいただきありがとうございました。

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