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ファンダムマーケティングとは?!

株式会社トライバルメディアハウス内にあるエンターテインメントマーケティングレーベル『Modern Age』の高野修平と申します。どうもみなさま、こんにちは。

Modern Ageはブランドマーケティングとエンターテインメントマーケティングの両方を掛け合わせたマーケティングレーベルです。

これまで『THE GREAT ESCAPE』という名のブログを約9年更新してきました。テーマは音楽マーケティング。そのブログから3冊ほど書籍も出版させていただきました。

Modern Ageは6年目が始まりました。そこで、今回新しいテーマでブログを開設しようと思い、「ファンダムマーケティング」と題して専用のnote で書いていこうと思います。

私の頭の中の整理を含めて書いていくので、音楽が好きな方、マーケティングや広告が好きな方が読んでいただけるといいなあと思っています。よろしくお願いいたします。

さて、このnoteのタイトルでもある「ファンダムマーケティング」ってなんだろう?というのが、今回のnoteの趣旨です。

そもそも「ファンダム」というのは、Wikipediaによると、以下のように記載されています。

ファンダム(fandom)は、趣味・アニメ・漫画・小説・スポーツなどの分野の熱心なファンたち、また熱心なファンによる世界、彼らによって形成された文化である。

ファンダムレボリューション」なる書籍も出ていたり、にわかに使われ始めている言葉かもしれません。

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要は「SNSをはじめとしたこれからの時代、ファンって大事ですよね」ってことだと思うのですが、それって特段目新しくもないし、「そりゃそうですよね」って話だと思います。

私は子供のころから、エンターテインメントが大好きで、とりわけ映画は本当に好きで、好きな俳優さんや監督さんの作品はまさに「ファンダム」な感じで熱狂していました。

そんな私が広告・マーケティング業界で働いているのはある一本のテレビCMがきっかけでした。

日清食品の日清カップヌードルが2006年から2008年まで展開していた『FREEDOM PROJECT』です。

カップヌードル発売35周年を記念して大友克洋氏のアニメーションを中心にテレビCM、OOH、雑誌広告など多面的かつ壮大に展開されたプロジェクトです。

アニメーションはストーリー性がある連続もので、OVAでも発売されています。音楽は宇多田ヒカルが担当し、当時の私は「これは広告なのか、エンターテインメント作品なのか」困惑しながらも、心躍ったのをいまでも鮮明に覚えています。そしてその後、私は広告・マーケティングの世界に足を踏み入れました。

大友克洋や宇多田ヒカルのファンダムは「カップヌードルすげー!サイコー!」となりましたし、これはタイアップを超えたプロジェクトだったなと思っています。

いまも宇多田ヒカルの『This is Love』を聴くと、あっという間に私の記憶はワクワクしながら、テレビに張り付いていた頃を思い出し、同時にすぐさまカップヌードルを想起します。

そして、企業のテレビCMタイアップで売れた音楽がありました。時代を象徴するような音楽が生まれました。それは企業においても大きい価値を生んできました。もちろん、いまだって生まれていますが、その数は減少したと言わざるを得ません。

現代に生きる私たちの時代は、情報が溢れかえり、デバイスは多様になり、ネットは常に常時接続で、ソーシャルメディアは情報の流通経路、ファンとのコミュニケーション、見える化、クチコミによる購買意思決定における影響力など大きく変えてきました。

企業はこの時代において、自社の商品を知ってくれる、興味を持ってくれる、買ってくれる、ファンになってくれる、推奨してくれる、愛してくれることに競合他社含め熾烈な戦いを続けています

いかにユーザーの可処分時間を獲得するか。いかにユーザーの可処分所得を獲得するか。
時間とお金のせめぎあい。いままでのようにスペック売りや価格売りだけでは刺さらない時代に、どうやってファンを作るのかは企業において大事な命題
といえるのではないでしょうか。

そこで、「ファンダム」です。エンターテインメントの「ファンダム」って猛烈な熱量と愛があるのに、企業のほうでそこまでの「ファンダム」ってあまり起きません。(ないことはないと思いますけど、一部の企業かなと)

本noteは企業と音楽の関係について書いていくものです。
なんとなーくではありますが、「自社のブランド力を高めたい」「競合他社と差別化したい」「自社のファンになってほしい」「自社のブランドメッセージを伝えたい」「ブランドのイメージを印象づけたい」「ブランドらしさを作りたい」と思っている方をメインの対象としてお付き合いいただければいいなと思っています。

それはさておき。長いあいだ、企業と音楽はずっと共に歩んできました。
テレビCMタイアップを筆頭に企業と音楽は強く結びついてきました。

企業の広告においてエンターテインメントを活用する手法は目新しいものではありません。ブランデッドエンターテインメントやブランデッドミュージックビデオなどが多く作られた時代もあります。

本note「ファンダムマーケティング」は、企業が強いブランドになるために、この時代を生き抜くためにはどのようにしたらいいのか。企業のブランディングにおいても、プロモーションにおいても、どうすれば新しい顧客を開拓できるのか。ファンを作り出せるのか。企業やブランドのことを愛してくれるのか。その答えのひとつが音楽やエンターテインメントにあるというのが論旨です。

よって、いままで誰も見たことがない革新的なマーケティング手法が登場するわけでもありません。この連載は音楽やエンターテインメントがもたらす価値を今一度見つめなおし、再構築、再解釈して、現代に合わせた企業と音楽の関係について述べていきます

そして、その企業と音楽の再構築、再解釈した関係こそが、この時代において企業が強いブランドとなり、独自性や想起集合を獲得し、ファンを生み出すことにつながる。同時に、音楽やエンターテインメントにおいてもマネタイズポイントの設計、企業とのリレーション構築も含めて、価値を生むと思っています。それが「ファンダムマーケティング」です。

企業と音楽の関係について、ロックバンド『サカナクション』の山口一郎氏(以下、山口氏)はブランドと音楽の関係をデザインすることの可能性について提言し、挑戦しているアーティストのひとりです。
山口氏はAdverTimesのインタビューで次のように述べています。

企業と音楽、商品と音楽が、もっと密接につながる方法がテレビCM以外にあるはずだ。音で企業をデザインできるはずだ

「ファンダムマーケティング」は音楽やエンターテインメントのチカラを活用して企業のファンをつくるもの。そして、このnoteはその可能性を考えていきます。

仮説は仮説でしかないかもしれません。でも、音楽やエンターテインメントは企業を強くすることができるのではないかと思っています。

では、こんな感じで、ゆるりと始めていきたいと思います。よろしくお願いいたします。

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