今夜はブギー・バック
【日々はあっちゅーま】
#29,今夜はブギー・バック
その頃のぼくらと言ったら
いつもこんな調子だった
心のベストテン第一位はこんな曲だった
「今夜はブギー・バック」より
親父から誕生日プレゼントで買ってもらった、パナソニック製のスピーカー付きCDプレーヤーにお気に入りの音楽を入れて、いつもご機嫌だったんだ。
CDを入れて持ち歩くクリアファイルは20枚入り。
いつもその時その時の、一番クールなチョイスを選んでた。
レッチリの「カリフォルニケイション」は擦り切れるほど聴いたけど、新譜の「バイザウェイ」はそこまでじゃなかったな。
「ソニックユース」はエッジが効いてて、歪んだ感じもかっこいい。
「ジム・オルーク」の「ユリイカ」は目を閉じると景色が浮かんでくる。
真っ白な雪景色に、ちらほら雪が降り積もっていく感じね。
JR大宮駅の西口には、埼玉県民が愛してやまないラジオ局「NACK5」があって。
学校帰りには、いつも「NACK5」の上の階の「HMV」に寄って、試聴機にへばりついて、お気に入りのバンドの新譜を聴いていたんだ。
といってもCD買う時はもっぱら中古品だけだったけど。
大宮駅東口のロフトの上の階の「WAVE」も、かなりマニアックな品揃えで。
特に、店内の一番隅っこにある、エレクトロニカコーナーで、はじめて「エイフェックス・ツイン」とか、「ボーズ・オブ・カナダ」を聴いた時には、もう天と地がぐわんぐわんに揺れて、脳味噌がシェイクされるような感じがあったね。
僕の通っていた高校はなぜか音楽好きの友達がやたら多くて、誰が持ち込んだのか、いつもロッカーの中にはラジカセが常備されていて。
授業をサボってお気に入りの音楽流しながら、ボケーっとしたり、ギターの練習しながら、お互いのCD流し合って、情報交換してたんだ。
今でも絵本の手伝いをしてくれている、親友のナベちゃんは、マニアックな日本のロックバンドが大好きで、バイト代コツコツ貯めて、栃木県のライブハウスとかに一人でライブを観に行ったり、
いつも我が道を行っててかっこいいなぁ。
といつも思ってた。
かと言えば、ちゃんと節約術も心得ていて。
一度、ラジオ番組の抽選が当たったとか言って、ナベちゃんと一緒に都内にタダでライブを観に行った事もあったっけ。
確か、「怒髪天」と「ファウル」の2マンライブで。
高校生の頃の僕は、怒髪天はちょっと、音楽性がストレートすぎてダサいなって思ってたけど。
大人になってから聴き返してみると、結構いいバンドだったな。って思ったりもしたね。
そうそう、昭和のフォークソングとかは、図書館でも借りれるよって、教えてくれたのもナベちゃんで。
さいたま図書館で借りた、「浅川マキ」の「ダークネス」なんかはCD−Rに焼いて、ずっと聴いてたな。
ナベちゃんは今でも、聴いてる音楽のセンスが良くて。
絵本もいつも直してくれるし、いつまで経っても敵わないなぁ。と思ったりしているんだ。
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大宮に住んでるユカちゃんは、「友部正人」の「にんじん」のような暗いフォークソングを聴いていると思ったら、
「エイジアン・ダブ・ファンデーション」みたいな、キレのいいエスニック&ブレイクビーツを聴いていたりする、オタクっぽい女の子で。
誕生日に「フォレスト・ガンプ」のDVDくれたり。
「スマパン」(スマッシング・パンプキンズ)のDVD貸してくれたり、いつも優しくしてくれてた。
スマパンのDVDに入っている、「トゥナイト・トゥナイト」のミュージッククリップは、まるでジュール・ベルヌの月世界旅行のような映像に仕上がっていて。
今でも思い出すと、ちょっと胸が熱くなってしまうよ。
新所沢に住んでいるイクマは、メタルとかハードコアが好きで、ブラジルのメタルバンド「セパルトゥラ」とかよく聴いてて。
高2の時に、幕張メッセに「スリップノット」の来日ライブ、イクマと一緒に観に行った時は、
前座のバンドにステージ上から唾を吐かれて、それが顔にかかった。って言って喜んでいた。
新所沢のドムドムバーガーで、お好み焼きバーガー食べながら、なんで「ランシド」とか、「ラモーンズ」みたいなパンクバンドは、1分半で曲が終わってしまうのか、について。
熱く、熱く語り合ったっけ。
その頃のぼくらと言ったら
いつもこんな調子だった
心のベストテン第一位はこんな曲だった
とまぁ、音楽の事を書き出すと止まらないんだけれども。
今でもさ、なんの脈絡もなく、頭の中で再生ボタンが押される時があるよ。
玄関ドアを開ける時。
チャリ漕いでる時。
仕事してる時。
絵本描いてる時。
いつでも、どこでも 、どんな時でも。
頭の中で音楽が鳴り響けば、後はそれでオールOK。
何の根拠もないけれど、何かが始まる気がする。
まるで夏休みの始まりみたいにね。
とかいって、
何かが始まった試しは、いつまで待っても、いまだにないんだけどね。
おしまい
【心のベストテン第一位はこんな曲だった】
「レッド・ホット・チリ・ペッパーズ/カリフォルニケイション」1999年
今までの、いわゆるロックバンド路線からの卒業を果たし、新境地へと辿り着いた、レッド・ホット・チリ・ペッパーズ7枚目の傑作アルバム。
アルバム全体に漂う、メロウでセンチメンタルなムードは、日が暮れたあとのバルコニーで、ぬるいビールを飲んでいる時の気持ちにちょっと似ている。
どこか危ういバランスで保ち続ける、削ぎ落とされたサウンドの美しさも聴きのポイント。
おすすめ曲は、Scar Tissue
「ジム・オルーク/ユリイカ」1999
シカゴ音響派としても名高い、ジム・オルークの遊び心溢れるサウンドと、心に染み入る情景世界が見事に融合された良作。
1990年代のベストアルバム24位。
アコースティックギターでシンプルに歌われる、どこか牧歌的なシンガーソングと、
岩清水のように湧き上がってくる、電子音楽の音の洪水が、まるで、つけ麺とつけダレのようにシコシコと絡み合い、お互いを引き立て合う。
また、ジム・オルークは大の親日ミュージシャンとしても有名で、
週末に新宿ピットイン(ライブハウス)に行くと、焼酎で酔っ払ったジム・オルークに会えるという噂が、当時高校生だった僕たちの間で、都市伝説のように駆け巡った時もあった。
おすすめ曲は、ユリイカ
「ランシド/レッツゴー」1998
ポケモンでいうところの、
ゼニガメ ⇨ カメール ⇨ カメックスのように、
ブルーハーツにハマった人間は、大体、ランシドとかラモーンズのような海外パンクスにハマって、その後日本のラウドミュージックに戻ってくるところまでがデフォルト。
旅してても、河原でキャンプしてても、必ず誰かがこのアルバムは持っていて、CDデッキから流して、やっぱこれだよな〜となったりする。
パンクスにとってのシェークスピアの「ハムレット」的なアルバム。
おすすめ曲は、レイディオ
「スチャダラパー/スチャダラ外伝」1994
小沢健二とのコラボ曲「今夜はブギー・バック」他、ポンキッキーズで使われた事でも有名な「Get Up And Dance」などが収録されたミニアルバム。
まだまだバブリーな香りがほんのり残るサウンドと、底抜けなポジティブリリックは、
時代をふたつほど飛び越えたこの令和でも、2周回って、まだ新しい。
陰キャだろうが陽キャだろうが、このアルバム聴いてるだけで、
気分(だけ)は不思議と渋谷系になれる魔法のアルバム。
おすすめ曲は、Get Up And Dance
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