ミラクルにチューニングを合わせる

タイ旅！
#8, ラプラーオ③

【前回までのあらすじ】出版に向けた作戦会議をしました！

ラプラーオの大型ショッピングモール。
セントラルラプラーオのスターバックスコーヒーはいつも賑わっている。

馴染みの店員さんにラテを頼み、空いている席を探し、コツコツと絵本のページを仕上げるのがここ最近の日課だ。

今描いている絵本のテーマはずばり、「性教育」
バンコクで性教育を教えている、「バンコクこころ保健室」のメンバー、「みなさん」から依頼を受けて描いているのだ。

え？
なんでいきなり性教育の絵本の依頼が出てくるのかって？

タイにやってくる前。
日本で私が密かにやっていた事。
それは、タイ行きの計画を皆に言いふらす事。

友達に話をするのはもちろん。
ＳＮＳで旅の準備の様子を４コマ漫画でアップし、タイに詳しそうな人がいれば会いに行き、せっせと旅の助っ人作りに励んでいた。

そんな中、高校時代の恩師から、タイに住んでいる友達を紹介してあげる。と言われて繋がったのが、みなさん。

みなさんは、海外赴任の多い旦那さんと共にバンコクで暮らしていて。
同じように異国の地で暮らす奥様（駐在妻と呼ぶらしい）の為に、イベントや催し物を企画している方なのだそうだ。

旅立ち前のオンライン打ち合わせの最中、みなさんから
「性教育をテーマにした絵本を作りたい」と相談され、絵本作家の端くれとして、喜んで絵本制作を手伝う事にした。

今日は、そんなみなさんと、バンコクで顔合わせの日なのだ。

バンコク中心地の南側。
チャオプラヤー川のほとりに建つ高級ホテル、ペニンシュラホテル。

一階のロビーでは昼間からピアノの生演奏が調べを奏で、淹れたてのコーヒーがくつろぎを誘う。

やってきたみなさんは、肩まで伸びた黒髪とにこやかな笑顔が素敵な、はつらつとした女性の方で、動きやすそうな黒のロングのスカートと、シンプルな白いシャツが常夏の国タイによく似合っていた。

顔合わせの挨拶もそこそこに、出来上がったサンプルの絵を見ながら早速打ち合わせを行う。

「幅広い人に受け入れてもらえる内容になっているか」「メッセージ性はちゃんと伝わっているか」言葉の言い回しや表現など、細かい所を確認していく。

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【絵本づくりについて】

「絵本づくり」と一口に言っても、絵本が出来上がるまでには大きく分けていくつかのステップがある。

1. まずは思いつくままに絵本のアイデアを出していく、アイデア出し。
   

2. 出てきたアイデアを膨らませて簡単なストーリーを作る、プロット作り。
   

3. 良いストーリーが出来上がったら、下絵をつけてラフな絵本に仕上げる、ラフ作り
   

4. ラフを元にブラッシュアップを重ねて、清書に近い形まで仕上げる、下書き。
   

5. 実際に絵を描き、色を塗り、絵本にしていく、清書。

大体、一冊の絵本が出来上がるのに、一線の絵本作家さんでも、半年から１年ぐらいかかる。
（大御所になってくると、数年に一冊という例もある）

頑張って出版した絵本。気になる印税だが、相場は７～１０％。
（１０％はかなり良い方）

ざっくり、一冊売れて１００円入ってくる感覚だ。　

新人の絵本作家さんが出版を決めた場合、イニシャル（初刷）は大体２千～３千部だから、最初に貰える原稿料（印税）は３０万円前後といった所だろうか。

頑張ってお話考えて、売り込みして、出版決めて３０万円。

絵本で食っていくという事がいかに難しいか痛感させられる数字である。
（印税、初版数などは出版社によってかなり違いがあります。あらかじめご承知おき下さい）

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はてさて、話がずいぶん逸れたが、私たちの性教育絵本も、ちゃんと印刷して形にしないといけない。

今回はみなさんの知り合いで、バンコクでフリーペーパーを発行する社長さんがいるという事で、製本をお願いする事にした。

製本
フリーペーパー
社長

思い切ってみなさんに相談してみた。

「みなさん。自分、タイの子どもたちに自分の絵本を配りたくて、製本出来る所を探しているんだけれども、フリーペーパーの社長さん、紹介してもらえないかな？」　

「ゆうきさん。もちろん良いわよ。なんなら最初からそのつもりだったわよ。ちょっと待って、今、ラインのＩＤ教えるわね」

まさかのまさか、友達を紹介してもらうような軽いノリで、みなさんから社長さんのラインＩＤをゲット。

早速社長さんに挨拶のメッセージを送って、絵本の製本の打ち合わせの日取りを決めた。

思いもよらぬ方向から、旅の目的が近づいた瞬間である。

旅。
旅の醍醐味は人との出会い。

ほとんど勢いで決めた絵本作りのお手伝いだったが、こうやって人から人へ、導かれるように旅は続いていく。

明日はどんな出会いがあるのだろうか。
明日はどこに通じているのだろうか。

そんなミラクルを信じさせる空気が、旅はいつも満ち溢れている。

　

→次回からはエモさ180%アップの日本編スタートです！！

【タイ旅！】#9,日本編①はこちら！

【タイ旅！】#7,ラプラーオ②はこちら！

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絵本作家まえだゆうきがタイで絵本を出版するまでの、１００％リアルなドキュメンタリー紀行文。

タイ旅！
毎週日曜日、連載中！

応援よろしくお願い致します！！

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