韓国のハワイ?チェジュ島探検紀!
チベット・インド旅行記
#6,「チェジュ島」
旅先でのささやかな楽しみのひとつに、Eメールのチェックがある。
旅を長く続けていると、世間から遠く離れ、一人ぼっちで過ごす事が多いので、友達とのちょっとしたやり取りが心の安らぎになるのだ。
どんなに旅先で疲れていたとしても、友達からの新着メッセージが届いていないか気になって、ついついネットカフェにだけは寄ってしまう、そんなEメール中毒の旅人、それが私。
2004年当時、韓国ではネットカフェ(PCバン)が大流行していて、どの街に行ってもPCバンの看板が溢れていた。
薄暗い店内に入ると、ずらりと並んだパソコンで若者たちがオンラインゲームに興じている。
パソコンを起動しホットメールを開くと、来てます来てます、ソウルに通う大学生ルーシーからメッセージ。
「ハロー☆ユーキー元気?、韓国来たんだね〜。ソウルで待ってるよ〜。
PS、チェジュ島は絶対行くべしだぞっ!」
『チェジュ島』
韓国本土より南西に浮かぶ、韓国随一のリゾートアイランド。港町モクポからフェリーで3時間。別名韓国のハワイとも呼ばれている。
なるほどリゾートか、ここ数日、旅の疲れが溜まって体も肩もバキバキだったので、たまには海を見ながらのんびり過ごすのもアリかもしれない。
早速近くのバス停から、港町モクポ行きのバスに乗り込んだ。
モクポの街に着き、フェリー乗り場でチケットを買ってから街をぶらぶらした。
町の外れの北港というところでは、水揚げしたばかりの海産物を売っている市場が立っていて。
海水を満たした発泡スチロールの容器には、貝や蟹がひしめき合っていたり、水槽の中には元気いっぱい魚たちが泳いでいたり、ずらりお店が並び、活気が溢れていた。
水槽の前にはパイプ椅子と、アウトドア用のプラスチックテーブルが置いてあって、その場で魚が食べられるようになっている。
せっかくだからと4万ウォン(4千円)払って魚を食べさせてもらう。
長靴履いてエプロンつけたおばちゃんが網でざぶんと魚をすくって、ピチピチと暴れる魚をその場で刺身にしてくれるのだ。
刺身のお味はまぁまぁだったが、その後にサンナッチという、「タコの踊り食い」も食べさせてくれた。
銀色のボウルの中に3センチくらいの小さなタコがウニョウニョしていて、それを箸で突き刺してタレをつけて食べるのだ。タコは弾力があってなかなか突き刺さらない。
そうのこうのしているうちに足を伸ばしてボウルから脱出しようとするタコ。慌てて箸でつまんで口に放り込んだ。
口に入れたはいいが、タコが必死で抵抗してなかなか食べられない。
なんとか生きのびようと、吸い付く吸盤の感触が生々しい。
南無三!、と噛み切って飲み込んだ。
確かに、味はコリコリしていて美味しかったのかもしれないが、正直それどころではなかった。というのが食べてみての感想。
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そうこうしている内にフェリーの時間がきたので、大型船に乗って一路チェジュ島へ。
ザバーンと白波を立てて海原を進む。
チェジュ島は、想像していたエメラルドグリーンとココナッツ色のリゾートとは違い、熱海と伊豆がそのまま島になったような、割と地味な島だった。
(緯度は福岡と同じくらいなので、あまり南の島という感じはしない。)
防風林が並ぶ殺風景な海岸線の風景。
島の外周をぐるっと囲むように、のどかな海岸道路が続いている。
砂浜では、地元民らしき人たちが海水浴を楽しんでいた。
私は少し離れたところに荷物を下ろして一休み。
しばらく休んでいると、背後から「アンニョハセヨ〜」の声。
振り返ると、水着にTシャツを羽織った可愛らしい女の子が立っている。
ふっ、やはり遠くからでも孤独な旅人の魅力は伝わってしまうものかよ…。
内心ドキドキしながら挨拶を返すと、どうやら近くの海の家の呼び込みらしい。
「おにーさん、シャワー1回100円で浴びれますよ〜。どうですか〜?」
そうね、そうそうシャワー浴びたかったのよ。
最近野宿続きだったからね。
数日分の汗と垢をゴシゴシ落として、浜辺に寝袋を敷いた。
どや!浜辺で波の音を聴きながら寝る俺って、旅人みたいでカッコええやろ!
と一人で悦に浸っていると、あっという間に海風で寝袋が湿ってしまった。
慌てて近くの公園に移ると、今度は蚊の大群に襲われる。
まったくもってのんびりするどころではない。
チェジュ島初日は散々に終わった。
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翌日、
海岸道路でヒッチハイクをする事小1時間、20代くらいの若いにーちゃんの乗った白いヒュンダイが止まった。
「おー、日本から来たんだって!すごいね!チェジュ島は気に入った?」
にーちゃんは英語が堪能なので、カタコトの英語と、ハングル語でやり取りをする。
聞くところによると、普段はチェジュの市役所に勤めているらしい。
カーステレオからはKBSラジオのポップソング。
助手席の窓を開けると気持ちいい風。
海岸線には白波が立ってキラキラと輝いている。
話の中で、私がチェジュ島の事を何一つ知らない事が分かると、にーちゃんは張り切って観光スポットを案内してくれた。
【チェジュ島観光スポット】
島の南側にある火山活動で出来た、不思議な六角形の岩。
「大浦形状節理帯(テポチュサンチョルリデ)」
チェジュ島の山の上に残る古刹。
「天王寺(チョンワンサ)」
チェジュ島の昔の暮らしを忠実に再現。
「チェジュ民俗村」
旅に出てから1ヶ月半、そういえば観光をするのなんて初めてかもしれない。
逆に新鮮な気持ちになった。
そうして日が暮れる頃、にーちゃんは最後にとっておきの場所に連れて行ってくれた。
一体どこに行くんだろう?
ワクワクしながら車から降りると、目の前にはライトアップされた朝鮮王朝風の建物。
看板にはデカデカと「SPA」と書かれている。
熱々の温泉と、韓国式サウナ「汗蒸幕(ハンジュンマク)」が完備されたスーパー銭湯。
「チムジルバン 」である。
「ここで旅の疲れを落としていくと良いよ!」
にーちゃんは私をチムジルバンに残して去っていった。
受付で声をかけ入浴料を払うと、ロッカーの鍵がついたゴム製のリストバンドとタオルセットを貸してくれた。
スーパー銭湯感にテンションが上がる。
思えば風呂に入るのも1ヶ月以上ぶりである。
きゃっほう!と湯船に浸かり、サウナに入り、風呂上りにシッケ(お米のジュース)を一気飲みした。
正直、今日行った観光スポットの中で、断トツの面白さ。
風呂から上がったら食堂で冷麺食べて、(米ぬか風のごまタレが絶品)
休憩室にマットを敷いてうたた寝。
リゾートアイランドらしいかどうかは別として、久しぶりに体力ゲージが回復して、旅のやる気が湧いてくるのを感じた。
さすがスーパー銭湯。
アイラブスーパー銭湯。
初日は散々だったチェジュ島も、こうやって慣れてくると段々と好きな所が見えてくる。
結局の所、その土地、その街を好きになれるかどうかは、人との出会い次第かもしれないな。
そんな風に思った。
韓国編③へ続く
【チベット・インド旅行記】#5,釜山編はこちら!
【チベット・インド旅行記】#7,ソウル編はこちら!
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