“地元だからできることを考える” 本屋さん
鹿児島へ帰省したら、ぜひとも訪ねたい場所があったのです。
それは……「米永書店」という創業90年の本屋さん。
「地元だから出来ること考えます」。公民館の車でもない。市役所の車でもない。
米永書店の駐車場に置かれた車に書かれた言葉です。
もうすでに、ハッとさせられる。
モダンな外観から、ほんとに創業90年?と思うかもしれません。実は今年の夏、移転に伴い、店舗を新築。店名やサインなどディテイルにもこだわりが感じられる本屋さんが出来上がったのです。当然、店内も気になりますよね。
本と人・モノ・コトが出会う場所
奥の本棚は、高さ5メートルのノッポさん。天井近くまで埋め尽くされた絵本、事典、ムック本、単行本……本棚全体が語りかけてくるよう。それに対して、答えるように背表紙を目で追います。
「あー、あの事典、小さい頃うちの本棚にもあったな」なんて思いながら眺めていく。ところどころにテーマ別の本が並んでいたりして。ゆったりと、温もりの感じられる空間です。
お店の周辺には子育て世帯や新築のお宅が多いそう。この町、この地域に暮らす人のための本が選ばれているのでしょうね。
こんなコーナーや、旅の本のコーナー、食の本、旅の本……クリスマスのコーナーもありました。ていねいなPOPを読んでいると、本棚自体がまるで本のソムリエみたい。
何だか、宝物探しをしている気分。ここへ来ると、ああ、そうだったと誰もが思い出すのではないでしょうか。本屋さんって、「本と出会う場所」なのだという、とても本質的なことを。
もちろん、本を予約したり、買ったりする場所でもあります。でもそれ以前に、知らない本、思いがけない本……驚きや発見が手に入る場所なのだと。
今ほど情報が多くなかった時代から今まで、本屋さんはずっとずっと「本との出会い」を創り出す場所であり続けている。
そのことが、まっすぐに感じられる空間なのです。
“地元だからできることを考える”米永書店の取り組み
こちらの壁面には「こばこ」と名付けられた棚があります。ここはシェア型の本棚。一つ一つの棚は「棚主」さんがどう使おうと自由。本だけでなく、雑貨やクラフト……異なる世界観がありながらも不思議と調和していて、ワクワクします。
コワーキングペースもあります。棚主になるとこのスペースで月に1度イベントを開く権利を持てるそうです。楽しい。まさに、「地元だからできること」ですよね。本と人だけでなく、人と人、人とコト、人とモノが出会う場所。
実はここを知ったのは、今年の9月に発売された『その敬語、盛りすぎです!』を、指宿市の方とのひょんなご縁で置いてくださったからでした。
こんな素敵な空間で過ごせて、私の本も幸せそうにしていましたよ。
うかがったとき、店主で代表の米永貞嗣さんはご不在でしたが、ここに来ることができただけで、大満足。連れてきてくれた姉の車に乗ろうとしていたときのことです。後ろから「前田さーん」と声がして……何と!ちょうど帰ってこられたみたいで、追いかけてきてくださったのです。まさか、お目にかかれるなんて。
「せっかくなら、店内で」と言ってくださり、写真もご一緒することができました。「次作も楽しみにしています」との温かいお言葉にじんわり。
うれしい!がんばります。ほんわかと、励まされました。米永さん、本当にありがとうございます。
この本です↓
地域をつなぐ、人をつなぐ。それが「本のある場所」だということに、意味と意義を感じます。
もし鹿児島を訪れることがあれば、ぜひ指宿まで足を伸ばしてみてくださいね。宝物を探す気分で、本との出会いを楽しめる空間。本好きにはたまりません!
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米永書店/メディア掲載
地元の南日本新聞や鹿児島テレビでも取り上げられています。