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ひやっこいストーリー

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【小説】ななくせ粥

【小説】ななくせ粥

「クセがないのに、クセになる!」

202X年、7月9日。あるインスタト食品が発売された。

その商品名は「ななくせ粥」。お湯をそそいで、一分待てばでき上がる。

CMで大げさに言っているとおり、味には大きな特徴はない。しかし、ひとくち食べてしまったら、「もっとほしい。もっと食べたい」と脳をぐらぐらと揺すられるほどに、虜になるという。

「えー、もう売り切れですか? なんかわたしのシフトのときばっ

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さかなつり

「そろそろ、だね」

チラリと腕時計に目をやった。夕方の、ちょうどいい時間にさしかかっている。私は戦闘体制に入るべく、キュッと気持ちを引き締めた。

シュッと音をたてて、ルアーをポイントに投げる。

さあ、今からが勝負時だ。真剣にリールを巻きながら、私は釣り竿の引きに集中した。

私が釣りにハマったのは、大学時代に付き合っていた元カレのせいだった。

アウトドア好きだった元カレは「見てるだけでもい

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業務用の冷蔵庫

「剛くんは、今どんな仕事してるんだっけ?」

久しぶりに集まった大学の時のサークル仲間。
全部で20人くらいの飲み会になり、みな思い思いに話している。

お店もガヤガヤと賑やかで、大きな声を出さないと、お互いに何を話しているのか聞き取りづらい。初めのうちは、頑張って声を出していたけれど、早々に疲れてしまう。
そのために私は、となりに座っていた剛くんとばかり話していた。

「いろいろ転職したんだけど

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そのカーブを曲がった先に

「お塩、用意しといてくれる?」

夫から送られてきたLINEの内容に、またか、とおもう。
OK、とムリやり明るい絵柄のスタンプを私は送り返した。

今月で3度目だよね。
なんか、続く時は、続くみたいだよ。
ちょっと、怖いね。

夫が帰宅して、ふたりでビールと冷奴をつまみながら、ボソボソと話す。

夫の仕事は、高速道路のパトロール業務だ。
といっても、警察官というわけじゃあない。
高速道路自

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飴、食べる?

「ようやく梅雨明けやってー」
知美がスマホを見ながら、ぽつりとつぶやいた。

「なんか、いまさらじゃない? 今年ぜーんぜん雨降ってへんやん。水足りひん! とかなりそうやね」
私は、7月半ばとはいえ、もうさんざんな暑さにすでに夏バテ気味だった。

「試験終わったら、かき氷食べに行かへん? この前テレビでやっててなー。めっちゃおいしそうやってん」
ちょっと待って、見せたげる、と言いながら知美はスマホを

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