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間詰ちひろ
2018年7月9日 09:48
「クセがないのに、クセになる!」202X年、7月9日。あるインスタト食品が発売された。その商品名は「ななくせ粥」。お湯をそそいで、一分待てばでき上がる。CMで大げさに言っているとおり、味には大きな特徴はない。しかし、ひとくち食べてしまったら、「もっとほしい。もっと食べたい」と脳をぐらぐらと揺すられるほどに、虜になるという。「えー、もう売り切れですか? なんかわたしのシフトのときばっ
2017年10月2日 08:30
「そろそろ、だね」チラリと腕時計に目をやった。夕方の、ちょうどいい時間にさしかかっている。私は戦闘体制に入るべく、キュッと気持ちを引き締めた。シュッと音をたてて、ルアーをポイントに投げる。さあ、今からが勝負時だ。真剣にリールを巻きながら、私は釣り竿の引きに集中した。私が釣りにハマったのは、大学時代に付き合っていた元カレのせいだった。アウトドア好きだった元カレは「見てるだけでもい
2017年7月26日 20:13
「剛くんは、今どんな仕事してるんだっけ?」久しぶりに集まった大学の時のサークル仲間。全部で20人くらいの飲み会になり、みな思い思いに話している。お店もガヤガヤと賑やかで、大きな声を出さないと、お互いに何を話しているのか聞き取りづらい。初めのうちは、頑張って声を出していたけれど、早々に疲れてしまう。そのために私は、となりに座っていた剛くんとばかり話していた。「いろいろ転職したんだけど
2017年7月21日 18:25
「お塩、用意しといてくれる?」夫から送られてきたLINEの内容に、またか、とおもう。OK、とムリやり明るい絵柄のスタンプを私は送り返した。 今月で3度目だよね。なんか、続く時は、続くみたいだよ。ちょっと、怖いね。 夫が帰宅して、ふたりでビールと冷奴をつまみながら、ボソボソと話す。夫の仕事は、高速道路のパトロール業務だ。といっても、警察官というわけじゃあない。高速道路自
2017年7月19日 20:14
「ようやく梅雨明けやってー」知美がスマホを見ながら、ぽつりとつぶやいた。「なんか、いまさらじゃない? 今年ぜーんぜん雨降ってへんやん。水足りひん! とかなりそうやね」私は、7月半ばとはいえ、もうさんざんな暑さにすでに夏バテ気味だった。「試験終わったら、かき氷食べに行かへん? この前テレビでやっててなー。めっちゃおいしそうやってん」ちょっと待って、見せたげる、と言いながら知美はスマホを