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「考える力」をつける方法②

以前、
「考える力」をつけるためには筋トレと同じで負荷をかける必要がある
ということを記事に書きました。

そして前回、そのための方法①を紹介しました。

今回は方法②です。
それは、具体化/抽象化です。

具体化と抽象化

我々は、常時無意識にこの具体と抽象を行き来しています。

仕事のメールが複数届いていれば(具体)、今日は忙しいなと思うし(抽象)、
目の前に車がたくさん並んでいれば(具体)、渋滞しているなと思うし(抽象)、
一万円札をたくさん所持していれば(具体)、金持ちだと実感できる(抽象)。

畢竟、我々の人生は、
幸福になるために(抽象)働いて金を稼ぐもの(具体)とも言えます。

こうした日常の営みに即し、何かを思考する際にも、この具体と抽象を意識することで、思考は深まり、加速します

たとえば、作品を鑑賞するときにも、この思考方法は有用です。
作品の理解には、具体的理解と抽象的理解が欠かせません。

作品の具体的理解とは、要約を意味します。
一方、抽象的理解とは、主題(テーマ)解釈を意味します。

これを桃太郎で実践すると、
具体化→桃太郎が鬼退治する話。
抽象化→正義は必ず勝つという話。または、悪は必ず滅びるという話。もしくはその他。

具体⇄抽象

別のパターンとして、抽象的な物事を具体的に、具体的な物事を抽象的に捉えるトレーニングがあります。
前者は「比喩」を、後者は「共通点」を考えるとわかりやすいです。

具体化は、たとえば「正義のヒーロー」という抽象的な表現に対して、
「たとえば?」と自問します。
アンパンマン、ウルトラマン、仮面ライダー……桃太郎もギリギリ?入りそうです。

これを逆転させると、抽象化になります。
上記のキャラクターの共通点は何か。「正義のヒーロー」です。

抽象概念は難しい

高校生を相手にしていてよく悩まされるのが、
抽象概念を理解してもらうことの難しさ。

もちろん、これは年齢が下がるほどより難しいことだとは思います。

小学生一年生に、足し算の概念を伝えること。
中学一年生に、マイナスの概念を伝えること。
学校での躓きは、いつもこの抽象概念によって引き起こされますが、
高校生も例外ではありません。

たとえば、高校の国語で通過すべき事柄として「象徴」というものがあります。
これが、わからない人にはとことんわからない。
もしかすると、大人でも難しいと感じる人はいるかもしれません。

それは、「象徴」という言葉それ自体が、「抽象」とかなり似た意味を持っているからです。

こういう困難に出逢ったときは、具体⇄抽象のトレーニングを思い出してください。
わかりにくい概念に出くわしたときは、とりあえず「たとえば?」です。

「象徴」といえば、たとえばどんなものが思いつく?
……天皇。
天皇は何の象徴?
……日本の象徴。
つまり、天皇という具体的な人物が、日本という抽象的な概念を代表するシンボルであるということ。
または、
たとえば「平和の象徴」という言葉を思いついた。
平和の象徴といったら、たとえば何?
……ハト。
つまり、ハトという具体的な鳥が、平和という抽象的な概念を代表するシンボルであるということ。

こうした具体化/抽象化のトレーニングが、
現実世界に生きる我々の思考を鍛えてくれます。
素材は何だっていいのです。

文章を読んだとき。
映画を観たとき。
ハトを見かけたとき。
何か得体の知れない不安に悩むとき。

具体化する技術、抽象化する技術が、
考え、生きる力を鍛えてくれるのです。

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