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予測不可能な時代における「直感力」

勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし。
これは江戸時代の武芸家である松浦静山の言葉です。

負け、あるいは失敗には、何かの原因があり、因数分解のように原因を追及していくことができます。試験の失敗、仕事の失敗、製品の失敗、などは、何故、何故、何故、と原因を分析していくことで、その真因が何だったのか解明し、次回に活かせることができます。

成功についても、私たちは、ある意志決定において、論理的であること、客観的であること、を重視します。数字で裏付けられたものをもとに意志決定する、それはビジネスでは当たりまえの行動様式です。

一方、直感とか、感性とかによって成功することもあります。しかし、このような成功は、偶然とか、ラッキーだった、とかという言葉で片付けられてしまいます。成功しても、「データに基づく客観的な判断が欠如していた」などと反省を求められることもあります。

しかし、数字は客観性があるような空気をかもしだし、主観的判断を排除しているような印象を与えている、とも言えます。数字は「確実」とみなされ、自分の判断に自信がない人にとっては失敗のない賭けとなります。

「定量化」とは便利なものです。知識を整理して単純化してくれますが、往々にして測定しやいものを測定して「定量化」しているだけのことがあります。

今は、VUCAの時代です。Volatality(不安定)、Uncertainty(不確実)、Complexity(複雑)、Ambiguity(曖昧)。
このような時代においては、過去を「定量化」し、過去の数値に基づいて将来を判断することには限界があります。

Jerry Z. Mullerは著書「The Tyranny of Metrics(測りすぎ)」で次のように述べます。
「予測不能な変化が特徴である経済界では継続的なイノベーションが大なり小なり必要で、それはたったひとつの測定目標に簡単に落とし込めるものではない。実績指標はたしかに役に立つだろうが、経営の主要な機能である先読み、判断、そして意志決定の代わりには到底なり得ない

このような時代にこそ、「直感」「カン」「感性」という、ー客観的とは言えませんがー、が求められると思います。

では、どのようにして「直感」「カン」「感性」が身につく、あるいは鍛えることができるのでしょうか。わたしは、「直感」は筋肉と同じように鍛えられることができる能力だと思っています。剣豪が修行するようなものだと思っています。座禅、瞑想なども方法かもしれません。

私の場合には、思想・哲学を学んで思索し、音楽を聴いて心を震わせ、アートを見て美しさを感じることをしています。時には神社に行って何かのインスピレーションを感じることも。
もちろん、すべてを直感に頼っているわけではありませんから、定量的な分析力も併せて鍛練しています。
今は、いろんなエリアで、直感力、感性が求められている時代だと思います。

2021年元旦の所感

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