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ダンテの神曲 西洋美術への影響

今年はダンテ没後700年です。ダンテの神曲は西洋美術に影響を与えてきました。
神曲は、地獄編、煉獄編、天国編の3構成となっていますが、ミケランジェロは「最後の審判」で地獄編の情景のようなものを描いています。

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神曲は、三韻句法という形式の詩で成り立っています。三韻句法とは、「ABA BCB CDC DED.....」のパターンで作られた三行連の詩です。韻の音の美しさと技巧が際だっています。

詩はここから始まります。音読するとその韻の美しさを感じます。
Nel mezzo del cammin di nostra vita
mi ritrovai per una selva oscura
ché la diritta via era smarrita
(人生の道の半ばで 正道を踏み外した私が 目を覚ました時は暗い森の中にいた)
NHKのイタリア語講座では、イタリアでは有名な箇所なのでぜひ覚えたおいたほうがいい、と紹介されていました。

ミケランジェロの他には、神曲にインスピレーションを受けた芸術家が挿画を制作しています。神曲(地獄編、煉獄編、天国編 河出文庫)には、ギュスターヴ・ドレの装画が読み手を詩の中に誘います。

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地獄編から煉獄編、天国編に読み進めていくと、地獄編で衝撃を受け、煉獄編でそれが中和され、天国編で穏やかな気持ちになりました。

地獄編では、予想できない状況が次々に現われダンテが描く世界に引き込まれていきます。聖書を読んでいないので真髄は分かりませんが、それでも詩から感じたものから何かを創作・表現したくなる気がしてきます。

煉獄編は天国編への歩みの中間。第27歌で地上楽園へ到着し、そして天国編に入っていきます。天国編は「歓喜の歌」のような印象です。地獄編と違って、穏やかな天界を描いています。

訳者の平川祐広氏は「西洋美術史で画家・彫刻家の第一の発想源は『聖書』だが、第二はダンテの『神曲』である」と記します。私が地獄編に一番強い印象受けたように、神曲の西洋美術に対する影響については、3編の中で地獄編がもっとも大きいのではないかと思いました。


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「神曲 地獄編、煉獄編、天国編 ダンテ 平川祐広訳 河出文庫」
「ドレの神曲 ダンテ 谷口江里也 宝島」


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