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将来の夢はなに?

#子どもに教えられたこと

当時よく保健室に来室していた女子生徒から、唐突に質問された。

「先生の将来の夢は何?」

「うーん、私の夢はもう叶っちゃったからなぁ」

「ふーん」

生徒との会話はそこで終わったが、私の中では終わらなかった。

答えてからじわじわと後悔のような、自分にガッカリするような感情が染みていく。
夢がない状態を自覚していなかった。
そんな大人になっているなんて、学生の頃の私は思いも寄らなかっただろう。


夢を叶えたら夢はなくなる?

小学生のときの自分の将来の夢は、看護師か教師だった。
中学生のときゲームデザイナーに心惹かれた時もあったが、心理に強い興味をもちカウンセラーが目標になった。
欲張りな私は全部の夢を叶えたかった。
そしてよく遊びに行っていた保健室で、先生と話していて繋がったのだ。

全部叶えられる仕事があった!

そして高校、大学、いろいろあって今に至る。
仕事の責任は重くて大変なときも辛いときもあるけど、誇りをもって楽しく働けている。

養護教諭になりたいと自覚してから、それを叶えるまでに14年かかった。
私にとっては大きな目標だったし、成果にもなった。
子どもの時の夢を叶えられたのだから、これ以上は望むまいと思っていたところも少しある。

養護教諭としてもっと力をつけたい、努力したい気持ちは質問された当時もあったが、「夢」とは違う気がした。

私には夢がない。
それは悪いことではないのだけれど、生徒から質問されて初めて「夢をもちたい」と思った。


当時の私の夢

生徒と会話後、「こうなりたい自分」を思い描いてみた。
その時は「困っている人の味方になりたい」だった。
保健室に来るのは、けがや病気で辛い思いをしている人、相談事がある人、その他たくさんの困っている人がくる。
来室した1人ひとりの気持ちを聞きたい。
退室するときは笑顔になってほしい。
頼り甲斐があって、安心感がある人になりたい。
イメージばかりだったが数年間はその夢を抱いていた。

しかし異動してから夢が合わなくなってきた。

当時は延べ来室者数が年3000人を超える学校にいたのだが、異動先はほとんど来室者がいない学校だった。
健康な子が多く、困っている子は少ない。

また、子どもと接していると自分が助けられていることも多い。
子どもの成長の早さや、変化に対応できる柔軟性は私自身が本当に学ぶことが多い。
一方的に子どもを「困っている」と決めつけた見方でいることに疑問が出てきた。


今の私の夢

今は「自分を好きになる」ことが私の夢だ。

一応書いておくと、自己肯定感は低くはないと思っている。「嫌いでも好きでもない」
そんな今の状態から「大好き」にしたい。

好き、というか赦すに近い感覚なのかも。
今も大半なことは赦しているけど、実は引きずっていたり、周りの空気読んで赦せざるを得なかったり、本心ではないときも多々ある。
赦したい自分になりたいし、どうしてもできないときはちゃんと「できない」と言いたい。

結局のところ、子どものためと言いながら自分の成長が一番の目的になっていることに気づいてしまった。

心が成長すると、心の器が大きくなる。
自分や他者の弱みを認めたり、思い通りにいかないことを楽しめるくらいの器があったら、今よりももっと自分を好きになれるかなと思っている。

成長している、変化がある自分が好きだ。
それを自覚したいから、note を続けていきたい。

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