日常に疲れたときこそ農業体験を。「農」からつながる出会いで今を楽しむ【大阪府・農〜labo'泉州】
仕事、副業。S N Sを開けば、友人たちのキラキラした日常。
私も強くあらねばと、虚勢をはって生きてきた。
もしかしたら、現代を生きるオトナな私たちって、みんなそうじゃない?
朝までの雨でぬかるんだ畑の中、「そんなに無理しなくていいのだ」と、ふわり思う。
自然の循環が、ただ、今を楽しむことの大切さを教えてくれる。
大阪中心部から電車で30時間ほどの泉佐野市には、「農~labo’泉州(以下、農labo)」という体験農園があります。
私が訪れたのは、雨上がりの、虹がかかりそうな梅雨の晴れ間。
農laboオーナーの奥修宏さんにお話しを伺いながら、農作業体験をさせてもらいました。
ひとりの高校生との出会いから始まった農labo
奥修宏(以下、奥) 地域活性に興味があって、『水ナス愛』の強い高校生がおってな、その子が「水なすの作り方教えてほしい」って連絡をくれたのが、農laboを始めたきっかけなんです。
その高校生と一緒に、水ナス栽培を中心にした地域活性をやっていたんだけど、その活動がすごく盛り上がって、賞をもらったりもした。それを続けていたら、ちょっとずつ声がかかるようになって、別の団体と繋がって…。
続けることで、どんどん輪が広がって、収穫体験を始めたり、みんなで畑を作ったり…っていう、今の「農labo」の形になったんです。
それまでは特定の学校からの受け入れだけだったものを、2020年に一般社団法人として法人化してからは、一般の人も受け入れるようになりました。
最初は、どういう人が来るかもわからないし、一般の人を受け入れるって怖かったんです。でも、「今日はどんな人が来るんやろう?」「どんな話をしよう?」って、今は毎日が楽しいです。
農業を知ってこそ、いちばん美味しい野菜に出会える。農laboを通して伝えたい想い
奥 スーパーで買う野菜って、土がついていることさえもわからない。「いつも美味しくて当たり前」で、美味しくないと「なんで?」ってなっちゃうでしょ?でも実際は、例えば、水ナスだったら、最初はちょっと硬くて、だんだんと美味しいものになって、またちょっと味が落ちる。それに、年によっても、雨が多い年、少ない年で味が変わるよね。”有名ブランドの野菜だから美味しい!”とかは、ないんです。時期によっても、土の状態によっても変わってくる。
だから、農laboでの活動を通して、みんなに体験してもらって、
「今は、この野菜が旬なのか。」「野菜っていうのは、全部が美味しいわけじゃないんだ。」って知ってもらいたいんですよ。農業を知ってもらうっていうかさ。
いつだって、誰だって。いつでも受け止めてくれる場所
―― 毎日のように、援農ボランティアの方が来ると、対応するのも大変ですよね?
奥 大変って思ったことはないですね。
「明日仕事するの嫌やな」とか、「明日はしんどいから、もう寝ておこうかな」とか、ここ20年思ったことないですね。「明日、何しようかな!」みたいな。
やることが次から次にある状態を、「楽しい」と思うのか。「しんどい」と思うのか。結局は、捉え方、考え方だと思う。
「明日はどんなことしよう」「今日はどんな人が来るんかな?」「どんな話をきこうかな?」って思うから、毎日が楽しみなんです。
援農ボランティアさんを受け入れるってなると、作業を片付けてもらわないといけないから、「これだけの仕事をしてもらおう」っていう目線になりがちだなと思います。
でも、僕の場合は、ボランティアさんに「作業をたくさんしてもらう」ということを求めてない。僕が1日でできる仕事の量に、援農さんが来てくれて、少しでもプラスになったら「今日はここまでできたんやな」って。
作業のスピードって人によって違いますやん。テキパキ動く人もいれば、ゆっくりな人もいる。でもそれは、みんな手を抜いているわけではないんです。その人のペースで頑張ってくれている。
だから、みんなそれぞれ、来たい時にきて、楽しんで帰ってほしいんです。
出会いが未来につながれば
―― 農laboのこれからの展望はありますか?
奥 「来てくれる人を増やしたい」とか、そういうのないんですよね。1回だけでも、リピーターになってくれてもいい。
1回来て、僕と話して、もし何か感じたことがあれば。それが先の人生に何か影響を与えることがあるかもしれませんやん。それってめっちゃ楽しいなって思うんです。
農業だけしてたらそんなことってないですよ。農業だけじゃなくて、手間もかかるし、収入もちょっと減るけど、こんな人生もおもしろいです。
自分の肩に重くのしかかったプレッシャーに、押しつぶされそうになりながら、見えない何かと戦っていたんだなと思う。
大阪の町の中。すくすくと育った野菜を収穫しながら、土を踏みしめ、風を感じる。
自然を味わいながら、必然か奇跡かもわからない出会いを、一つひとつ大切にして生きていけばいいのだと、教えてくれた。
せわしなく生きる毎日に疲れたら、また遊びにいかせてください。
今回、農laboと出会えたのは、「あなたの旅を、誰かの助けに」がコンセプトの体験型ヘルププラットフォーム「Herip」を利用したからでした!
農業体験だけではなく、キャンプ場作りのお手伝いや、SNSでの発信のお手伝いなど、幅広い募集があります。
旅行するだけではなく、「旅行先の文化や食生活を知りたい!」「将来の移住を考えて現地の情報を収集したい!」という方にぴったりです!
ぜひ一緒に、「新しい旅」を体験しましょうね!