新社会人になった年の4月、初めてのマイカーが納車されたのは、晴れた日だった。 トヨタの初代シエンタ。 発売になってから、2、3回目のマイナーチェンジを経ていたあたり…
鷺の夫はふと空を見上げた。 狩の休憩中だった。 空を見上げることなど、普段はほとんどない。 その時は、ただ、何となしに空を見上げた。 初夏の田畑の東、冬に遠く夏に近…
赤いカーネーションも、花柄のハンカチも、好みの柄のエプロンも、 子どもの頃、母はどの贈り物もちゃんと喜んでくれた。 でも、ある程度の年齢になってくると、自分の母…
町屋ゆみ
2021年6月18日 22:51
新社会人になった年の4月、初めてのマイカーが納車されたのは、晴れた日だった。トヨタの初代シエンタ。発売になってから、2、3回目のマイナーチェンジを経ていたあたりのモデルだ。自分にとって最初の車だから、新車にしても軽自動車を考えていたこともあったし、日産ラシーンや発売当初のワゴンR、RAV4が好きだったので中古車も考えていた。でも、我が家では祖父の代から同じ「トヨタのお店」で車を購入し
2021年6月11日 22:33
鷺の夫はふと空を見上げた。狩の休憩中だった。空を見上げることなど、普段はほとんどない。その時は、ただ、何となしに空を見上げた。初夏の田畑の東、冬に遠く夏に近い雲が山の端から広がっていた。あのこはどうしているかしらすぐ隣、妻がポツリと呟いた。最近あまり、元気のない妻の言葉に、元気でやっているさ夫はそうとだけ答えた。巣立っていった息子がどこを狩場として生きているかを、夫婦は
2021年5月9日 10:11
赤いカーネーションも、花柄のハンカチも、好みの柄のエプロンも、子どもの頃、母はどの贈り物もちゃんと喜んでくれた。でも、ある程度の年齢になってくると、自分の母は花束や鉢植えを喜ぶようなタイプじゃないってことを理解したし、使う物は割と吟味して好みの物を揃えてるって気がついた。子どもからの贈りものだから無碍に扱うようなことは無かったけど、やっぱりお気に入りになるにはちょっと違うんだろう。