町屋ゆみ

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町屋ゆみ

読み書き睡眠。Twitterでは真雉屋(まちや)さんです。興味本位で調べたりまとめたり書いたり描いたりしています。

最近の記事

さらば、シエンタ

新社会人になった年の4月、初めてのマイカーが納車されたのは、晴れた日だった。 トヨタの初代シエンタ。 発売になってから、2、3回目のマイナーチェンジを経ていたあたりのモデルだ。 自分にとって最初の車だから、新車にしても軽自動車を考えていたこともあったし、日産ラシーンや発売当初のワゴンR、RAV4が好きだったので中古車も考えていた。 でも、我が家では祖父の代から同じ「トヨタのお店」で車を購入しており、いつの間にか、私もそこで選ぶ流れが出来ていた。 長年雪国の車社会で生活

    • 鳥獣戯譚ー鷺の夫婦

      鷺の夫はふと空を見上げた。 狩の休憩中だった。 空を見上げることなど、普段はほとんどない。 その時は、ただ、何となしに空を見上げた。 初夏の田畑の東、冬に遠く夏に近い雲が山の端から広がっていた。 あのこはどうしているかしら すぐ隣、妻がポツリと呟いた。 最近あまり、元気のない妻の言葉に、 元気でやっているさ 夫はそうとだけ答えた。 巣立っていった息子がどこを狩場として生きているかを、夫婦は知らない。 知らなくて当たり前だった。 自分達もまた、そうして巣立ってきたからだ

      • 初めての母の日

        赤いカーネーションも、花柄のハンカチも、好みの柄のエプロンも、 子どもの頃、母はどの贈り物もちゃんと喜んでくれた。 でも、ある程度の年齢になってくると、自分の母は花束や鉢植えを喜ぶようなタイプじゃないってことを理解したし、 使う物は割と吟味して好みの物を揃えてるって気がついた。 子どもからの贈りものだから無碍に扱うようなことは無かったけど、やっぱりお気に入りになるにはちょっと違うんだろう。 そうでなくても毎年のことだから、贈り物はどんどんネタ切れになっていたし、 自

      さらば、シエンタ