3つの小学校と2つの中学校を経て出会った「あそび」と「居場所」《団長インタビュー・前編》

こんにちは、まちのこ団です。

いきなりですが、ご報告です。
この度、弊団体は2022年4月1日付で一般社団法人化しました!

そこで今回は、まちのこ団についてより深く知っていただくために、まちのこ団の団長である増田大和に、これまでのことや今後についてインタビューをしました。(※団長=まちこの団では、代表のことを「団長」と呼んでいます)

なぜ、「あそび」なのか。どのような想いで活動しているのか。まちのこ団が夢見る世界とは。

すでにまちのこ団や団長を知っている方はもちろん、まちのこ団って何?どんな活動をしているの?という方も、お読みいただけたら嬉しいです。そして、いいね!素敵だね!と感じていただけて、さらにまちのこ団の一員になってくださったら、もっと嬉しいです。

想いが溢れて止まらなくなってしまったので、今回は前編と後編に分けてお送りしたいと思います。

こちらは前編です。後編はぜひこちらからご覧ください。


まちのこ団・団長の略歴

増田大和(ますだやまと)
1991年4月21日生まれ、O型。
2歳上の兄、5歳下の弟の3人兄弟。
幼少期は父親の転勤に伴い、茨城(土浦)→千葉→新潟→茨城(ひたちなか)と過ごし、3つの小学校と2つの中学校を経験する。
大学入学を機に上京し、法学部にて政治哲学を学ぶ。大学在学中に「まちのこ団」のきっかけとなるNPO法人と出会い、あそびの可能性を感じ、卒業後カナダに語学留学。
帰国後、幼児教育会社や貿易会社勤務を経て、2019年茨城県にUターン。移動式あそび場での起業を目指し、ローカルベンチャースクールにて事業のつくりかたを学ぶ。最終ビジネスプレゼンで優秀賞を受賞し、「まちのこ団」を設立。
2020年1月24日、プレイバス事業でのクラウドファンディング達成。2022年に法人化し代表理事に就任。2023年に「Business Challenge Program (県北BCP)」にて「優秀賞」&「審査員特別賞」 のダブル受賞。
「団長」という名で親しまれ、年間10,000人以上の子ども・若者たちと出会い、活動をしている。

【私が団長の増田大和です】

《ーーまずは簡単に、「まちのこ団」について教えてください。》

「まちのこ団」は2019年に設立しました。子どもたちの“原体験”を豊かにするをミッションとして掲げ、主に移動式あそび場づくり(コミュニティプレイバス事業)、拠点式場づくり事業(通称:まちのこベース)、企画運営まちづくり事業などを行っています。プレイバス(プレイカー)とは、様々なあそび道具・自然素材、あそびの仕掛けを載せた車両で依頼先に向かい、プレイワーカーがその場所で即席のあそび場・居場所をつくるというものです。

【ある日の活動の様子】

企画運営事業は、直近では2022年4月2日・3日に茨城県日立市で開催したイベントがあります。「Living Street Hitachi」と「こどものまち・ひたち」という2本立てのイベントを企画・運営いたしました。

「Living Street Hitachi」は、日立駅前商店街のにぎわい創出を目的とした企画で、リビングのような居心地のいい空間をつくろうというものでした。「こどものまち・ひたち」は、子どもたちにあそびを通した学びの機会を提供するもので、子どもたちだけで”理想のまち”をつくるというものでした。どちらにも共通する想いは、あそびを通した居場所をつくるというところにあります。イベントの詳細は下記リンクよりぜひご覧ください。

大学をサボった日に出会った、運命の「あそび」

《ーーあそびを通した居場所づくり。大きく分けて「あそび」と「居場所」がまちのこ団のキーワードになると思いますが、まずは「あそび」について教えてください。》

「あそび」というものの魅力を知ったのは、大学1年生の頃です。それまでは、「あそび」というものは日常生活の一部、朝起きて学校に行って、帰ってきて遊んで、ごはんを食べて寝る、という生活の一部に組み込まれているもの、くらいの認識で、「あそび」を切り取って見たことがありませんでした。その認識が変わったのが、あるNPO法人との出会いでした。

大学1年生のある日、今日は学校行きたくないなあと思った日があって、いつもなら駅を出て左に進む道を、まっすぐ行きました。

でもただ帰るのもつまらないしなと思いながら歩いていたら、近くにボランティアセンターがあることを思い出しました。大学では応援部と他にもサークルに所属していましたが、学校以外でも何か活動をやりたいなという思いがあって、行ってみることにしました。

その日にちょうど、地域活動をしている団体の紹介講座がありました。そこで出会ったのが、「NPO法人コドモ・ワカモノまちing」(以下:まちing)です。今まちのこ団がやっているコミュニティプレイバス事業ような移動式あそび場づくりをやっていて、「まちのこ団」の原点のような団体です。

【「NPO法人コドモ・ワカモノまちing」のスタッフと(右から3人目が団長)】

「あそぶことは、学ぶこと」あそびのすごさを知った体験

今のまちのこ団があるのはここでの出会いのおかげなのですが、最初に説明会で話を聞いたときは、実は正直、あまりピンときていなくて、活動には参加していませんでした。

NPOの説明会の後、少し経った頃に東日本震災が起きて、震災のボランティアで被災地に行きました。ボランティアから戻ってきたら、まちingの方から「防災パークっていうものをやるから、一緒にやらないか」と声をかけてもらいました。

防災パークは、会場は渋谷のNHK放送センターで、渋谷区や警察署、防災関連の活動をしているNPOなどが連携して開催するイベントです。子どもたちが防災について楽しみながら学ぶにはどんなコンテンツがよいのか、スタッフの皆で考え、つくっていきました。

まちingの方からは、「子どもたちにとっては、遊ぶこと=学ぶこと。遊ぶことで自然と様々なことを学んでいく、それがあそびの魅力」という話を聞いていましたが、つくっている最中は、そうなのか、程度にしか感じていませんでした。

それが、イベント当日、用意した体験ブースで実際に子どもたちが体験をしている様子を見たときに、なるほど、そういうことか!と腑に落ちました。

【防災パークの様子(写真参照:まちingブログ)】

例えば、防災じゃんけんというゲームがあります。これはじゃんけんのグーチョキパーを模した身を守るためのポーズを、遊びながら自然と身につけていくというものです。グーは縮こまって頭を隠して自分の身を守るためのダンゴムシのポーズ、パーは火事のとき煙が口に入らないように手で押さえるポーズ、チョキは揺れているものを支えるポーズ。

火事だからこうしなきゃいけないよと言葉で伝えることはできますが、いざというときはパニックになってとっさに出てこない。でも、いつでも使うようなグーチョキパーで遊びながら、実は自分の身を守る術を学んでいる。遊びって楽しいだけじゃないんだなって、すごいなって思いました。

その後に移動式あそび場のボランティアにも参加して、防災パークで体験したことを常に実践しているのが道あそびの場だということを知りました。この経験が、「あそび」との出会い、魅力を知ったきっかけです。

もうひとつの「あそび」の魅力と、自身の原体験

移動式あそび場での活動を通して、「あそび」のもうひとつの魅力を知りました。それは、子どもだけではなく、大人にとってもあそびが「居場所」になるということです。

移動式あそび場では、子どもはもちろん、お母さんお父さん、近所のおじさんおばさん、通りすがりの人なども立ち寄って一緒に遊ぶ光景をよく目にしていました。そこには年齢も性別も所属もどんな違いも、あそびが受け入れていました。

【ある日のあそび場の様子】

そんなあそびの魅力に惹かれた理由は、自身の幼少期の体験にあります。父親の仕事の関係で引っ越すことが多く、小学校を3つ中学校を2つ経験しました。転校生という自分たちとは異なるものを、理解しようとするのではなく、拒否したり排除したりしようとする現状を体感しました。

幼い頃なのであまり記憶はないのですが、親や親戚の話では、転校生活が始まる前は、目立ちたがり屋で下の子たちの面倒を見るのが好きな、下の子たちから頼られるような子どもでした。それが転校を経るにしたがって、だんだんと暗くなっていったそうです。

どうして人と違っちゃいけないんだろう、違うというだけでこんなに嫌な思いをしなくちゃいけないんだろう。どのように振る舞えばいいのかわからず、自分に対する自信がなくなっていく。

もしあの頃、移動式あそび場のような場所があったら。学校・家以外の場所があったら。学校では「違うこと」がダメなことのように思わされていたけど、ここでは「違うこと」はあまり重要なことではないと思える。そのままでいいよ、と言ってくれる人が近くにいたら、自分への自信を取り戻し、自己肯定感を高く持つことができたのかもしれないと感じました。

まちのこ団では、あそびを通した居場所づくりを行っていますが、原点の想いは上記の部分にあるような気がしています。そして、「違うこと」が気にならない、それぞれが思い思いにいられるような居場所が「まちのこ団」であってほしい、ありたい、という想いがあります。

あそびとの出会いがくれた「居場所」。まちのこ団の原点

《ーーまちのこ団のキーワード「居場所」に対する想いは、増田さん自身の幼少期の体験からきているということがわかりました。ある意味、「まちのこ団」は増田さんにとっての居場所でもあるかと思うのですが、「まちのこ団」はどのように始まったのでしょうか。》

「まちのこ団」の名前の由来は、学生時代にまちingで出会った仲間たちと立ち上げた学生団体にあります。

当時、私は東京・神田にある大学に通っていました。神田淡路町の再開発プロジェクトがあり、まちingも参画していました。そこに私も参加し、一緒に参加していた学生たちと立ち上げた団体が「まちのこ」、「まちのこ団」の前身ともいえる団体です。

参加した動機としては、幼少期の転校に次ぐ転校で自分が宙ぶらりんになっているという体験から、ホームタウンと呼べる場所、ただいまと言える場所、学校と家以外のサードプレイスのような場所がほしいという思いがあり、その気持ちがまちづくりへの興味に繋がっていたように思います。

【学生団体「まちのこ」のメンバーと】

「まちのこ」では、神田の方々にインタビューをしてフリーペーパーをつくるなどの活動を通して交流を深め、神田祭でお神輿を担がせていただくまでになりました。

学生団体「まちのこ」、そして神田の町は私にとって初めてできた居場所でした。ここでの出会いや活動が自分の自己肯定感や自信につながり、今の活動や私自身の大きなきっかけになっています。「あそび」と出会って魅力を知って、「まちのこ」を立ち上げた2011年は私にとって大きなターニングポイントの年でした。

(後編につづく)


ーー幼少期の原体験と、大学時代の出会い。大学卒業後は学びを深めるためカナダに留学します。帰国して一般企業に就職、転職し、茨城にUターンして起業をするのですが、会社員時代は社内のトラブルに巻き込まれたり、ストレスで入院をしたり、波乱万丈の時期でした。そんな時期を乗り越えた、今の話とこれからの話。後編もぜひご覧ください。


まちのこ団では仲間を募集しています

公式LINEアカウントInstagramでは日々の活動の様子、あそび場の情報などをご覧いただけます。あそび場でお待ちしています。

お問い合わせはインスタのメッセージ、もしくはこちらからお願いいたします。また、下記リンクではボランティア内容などを載せています。ぜひ、こちらも覧ください。


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