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気になる英語表現 その⑦



動物が登場する表現 日本語&英語

突然ですが、動物を使った日本語の慣用句やことわざといって、思いつくものは何でしょうか?

 夫婦喧嘩はも食わない
 は千年、は万年
 も歩けば棒に当たる
 の耳に念仏
 も木から落ちる
 を被る

などなど、考え出すと結構切りなく出てくるものですね。でも、何でこの動物なんだろう?と思うものも多く、当の動物たちの中にも、納得いかずに首を傾げている子たちがいそうです。動物界には動物界で「分かったふりは人間のはじまり」なんていう格言があったりして。

さて、動物が登場する表現というのは、英語にも然り。動物から受けるありがちな印象というものが異なるせいなのか、英語バージョンは英語バージョンで「へぇ~」と思うことも多いものです。そんな、動物を用いた英語表現に出会うたびに「これは面白い!」と思い、旦那さんに聞いてみるのですが、これがなかなか古い言い回しのことも多いようで「実際に使う人はいるけど、自分は使わない」という返事が返ってくることもだびたび。昔からある言い回しである点は、日本語でも英語でも同じようです。
ということで、今日は、私のアメリカでの日常生活の中で実際に聞いたことがある、動物が登場するちょっと気になる英語表現を紹介します!

① The horse is out of the barn

トップバッターは「The horse is out of the barn」。日本語に直訳すると「馬が納屋から出てきた」でしょうか。よかったら、何を言わんとしているのか、少しだけ考えてみてくださいませ。

🤔🤔🤔🤔🤔🤔🤔🤔 Thinking time 🤔🤔🤔🤔🤔🤔🤔🤔


これは、事は既に起こってしまった後で、今さら過去に戻って何かを変えることは不可能、という意味になります。馬は既に納屋から出てきてしまっているのですから。
その心はというと、今更変えられないことを嘆いても仕方がない、ということ。今、ふと思いましたが、日本語の「覆水盆に返らず」に近い感じかもしれませんね。でも、「覆水盆に返らず」には、「It is no use crying over spilt milk.」という英語がありますねぇ。でも、こぼれてしまった水なりミルクなりは拭き取るぐらいがせいぜいできることなのと比べると、納屋から出てしまった馬は、今からでも手名付けるなり、なんなら調教することだってできるわけで、そういう意味では、過去には戻れないけれど、今からでもやり様はある!という、いくらか前向きな印象なのかも。
あ、これはあくまでも私の解釈です。

② I could eat a horse

続けて、馬の表現をもう一つ。「I could eat a horse」。日本語直訳は「私は馬を食べられる」。馬肉の話ではありませんよ。

🤔🤔🤔🤔🤔🤔🤔🤔 Thinking time 🤔🤔🤔🤔🤔🤔🤔🤔


これ、馬を一頭食べられるくらいおなかがすいているっていう意味になるんです。大きな動物の代表として「馬」が登場しているようですが、何でまた「馬」なんでしょう。というのも、一般的にアメリカ人には馬を食べるという概念が存在しないですからね。同じ家畜でも、豚や牛や鶏は、食べることを目的に育てられている一方、古くから、馬は交通手段や、重い荷車を引く役割を果たす位置付けにあり、アメリカ人にとっては、「馬」を食べるということは、「鯨」を食べるということと同じくらい残酷な、あるいは間違った考えにうつることも多々あるのです。例えば、中国では「犬」を食べるなんて聞くと「え~、あり得ない、かわいそう」と思うのと同じくらい、「馬」や「鯨」を食べることは、アメリカ人にとっては、あり得ないことなのです。

⓷ An elephant is in the room

続いては「象」です。「An elephant is in the room」。日本語直訳は「象が部屋にいる」。これは想像の膨らまし甲斐があるってものでしょうか。
部屋に象。かわいいかも。

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ここで、Elephant (象)が象徴しているものは「明らかに大きな問題や難しいシチュエーション」のこと。そして、その誰もが認識しているにもかかわらず、その問題や困難について触れたり、議論することを避けている状態が「An elephant is in the room」と表現されます。想像してみましょう。
どういう訳か部屋に大きな象がいます。誰の目にも象が部屋にいることは明らかであるにもかかわらず、誰一人として「何でここに象がいるのですか?」とは言ません。部屋にいる象を見て見ぬふりをするのは、なかなか難しいでしょうに。
日本人が得意とする忖度なんてお構いなしに、思ったことを率直に口にするイメージが強いアメリカ社会においても、こんな表現があるんですね。人間社会は日本でもアメリカでも同じってことなのでしょうか。
あ、でも、そんな状況で、誰かが「An elephant is in the room.  みなさんも分かっているでしょ?」と誰かが切り出すところがアメリカっぽいのか…

④ Raining cats and dogs

最後に、親しみ深い「猫」と「犬」をセットでひとつ。
「Raining cats and dogs」。猫と犬の雨が降る…? 

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実はこれで「土砂降りの雨が降っている」という意味になります。これには、諸説あるようで、雷と稲妻が猫と犬に例えられているとか、ギリシャ神話によるのものだとか、大雨が降ると猫や犬が屋根から足を滑らせて落ちるだとか、単純に猫と犬が喧嘩するすさまじい様子が大雨にたとえられているとか。
この表現、ネット上では、実際にはあまり使われていないと書かれていることもあるようですが、私は実際に日常の会話で聞いたことがありますよ。
へぇ、本当に言うんだね~とは思いましたけどね。
おや?今、改めて思いましたが「cats and dogs」なんですね。日本語だと「犬と猫」って言いたくなりますが、英語だと「猫と犬」なんですね。なんでだろう?と思い、日本語もそこそこ分かる日系アメリカ人の旦那さんに「ねぇねぇ、犬と猫って英語で何て言うの?」と聞いてみました。
すると、迷いなく帰ってきたのは「Cats and dogs」!
なんでなんで?dogs and catsとは言わないの?と聞くと「全く…」という表情で首を横にふられて終了。考えるまでもない、そこに疑問を持つではない、ということのようですね。もしくは、理由はないけどそういうものってことか。
言葉っておもしろい。



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