0003⁑「テテムとタタム」のお話

画像1 テテムとタタムは友達です。いつもふたりでいる時はケラケラケラと笑いあっています。なにがそんなにおもしろいの?っていうくらいに。ふたりは小さな楽しみを見つけることが得意でした。ちなみに今日は夜ふかしをして、ワインを飲みながら、どちらの足がくさいのかを勝負する予定です。ふたりはいつもこんな調子で、毎日をおもしろおかしく過ごしていました。
画像2 ただ、テテムは村の人たちを信じることが苦手でした。僕のいないところでは、僕の悪口をいっぱい言っているんじゃないかな。知らないうちに僕だけ仲間はずれにされてるんじゃないかな。僕のことをだまして、僕の宝物を盗もうとしてるんじゃないかな。いつも心の中では、心配で、心配で、心配でした。だからテテムはどうしても村の人たちと仲良くできませんでした。テテムは悲しい思いをしたくないのです。
画像3 タタムはというと、村の人の言うことはなんでも信じます。あの人が言うんだからまちがいないわ。あの人達はほんとうに私のことを信じて信頼してくれている。あの人だったら私の宝物を貸してあげよう。タタムは絶対に疑いません。タタムは泥棒への用心なんてしません。テテムだけでなく、村の人たちみんなが自分のことを大切に想っていてくれていると信じていました。ただ、タタムは村の人たちに嘘をつかれたり、騙されたりして、悲しい思いをすることもありました。
画像4 そんな正反対なふたりでしたが、ふたりでいる時はいつも幸せでした。なぜなら、楽しいことだけを考えていたらよかったからです。ふたりにはそれだけで十分でした。さぁ、つぎはどんな楽しみをふたりで見つけようか。生きているといろんなことがあるけれど、テテムにとってのタタム、タタムにとってのテテムがみんなにも見つかればいいのにな。
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