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#小説

0008⁑検索

ついに開発した。

インターネットで知りたいことを検索をすれば、
すぐに分かりやすく教えてくれるソフトを開発したのだ。
へそのゴマがなぜ臭いのか?
イチゴはなぜ美味しいのか?
好きな人はなぜ自分を好きになってくれないのか?
何でもすぐに分かりやすく教えてくれるのだ。

私は開発して一番に、
ずっと前から気になっていたこと、
ウンチをしてお尻を拭く時に、
前から拭くのが正解か、
後ろから拭くのが正解

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0006⁑ワタシ★チェンジ

2114年、自分の名前を3つまで持てる時代がきた。それは、腕時計型の“ワタシ★チェンジ”を使えば、テレビのチャンネルを変えるように、ワンボタンで顔から体つき、声に至るまですべてを変えることができる商品が国から発売されたからである。一生のうちに、まったく異なった3人分の一生を送ることができるというなんとも欲張りな夢のような代物である。しかも、なんと性別まで変更可能ときた。だから、手術をしなくても、な

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0005⁑なにはともあれ

なんでもない話。

ついに今年、日本に住む人々はバーチャルリアリティー(VR)の世界で生きる時間が現実の世界で生きる時間を上回ってしまったそうだ。というのも、大人たちは朝起きるとすぐにVRの世界にあるさまざまな会社に出勤をする。与えられた仕事をこなし、仮想通貨の給料をもらうのだ。そして、お昼ご飯だけは現実世界で食べる。もっぱらみんな出前をとっているようで、時間を無駄にしないためだそう。その後、夜に

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0004⁑選択

なんでもない話。

ある日の早朝、鳥がなんとなく鳴くことをやめた。すると、牛が代わりに鳴くことにした。ピーヒョロモロロロー。それを見ていたワニが羨ましがって、二足歩行で歩くことにした。世界一胴長短足の小走りである。すると、これはたまらんとシマウマが縦ジマを横ジマに描き変えはじめた。体を大きく見せたいらしい。そのニュースを聞いた犬と猫はついに人間の家を出た。これからは水の中で暮らすことに決めたらしい

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0002⁑春一番星

0002⁑春一番星

ついに博士は人間のあたらしい感覚を発見した。
これは人類にとっての大ニュースである。
朝一番の自分のオナラをもれなく食べれたときにそれは偶然舞い降りた。
ただこの感覚をどう言葉にすれば
みんなに伝わるのか決めかねているところである。

味も、色もない。熱くも、冷たくもない。
イライラも、ソワソワも、ドキドキも、ウキウキもしない。
おもしろくもなんともない。
でもすこし心地よいような気もするよう

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