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#029 コレ読むと、書きたくなる?

拝啓 なかなか「やる気スイッチ」の入らない方へ


コレ、読み終えました。

※以下の記事で、作品内容のネタバレはしていません。ご安心ください。


この作品は、全6話収録の短編集です。
つまり長編作品ではなく、各話ごとにストーリーが完結しています。
なので、短編作品の執筆経験はあるけれど、
まだ長編作品にチャレンジできずにいる方のなかには、
もうこれだけでも、
執筆したくなる「やる気スイッチ」がONになる方もいるかと思います。

また、全6話のこの作品、
各話ごとに語り手(話者わしゃ)が異なるうえ、
それぞれ違うコンセプト(メッセージ)が設定されています。
つまり、6作品収録されている、お得感ある1冊なのです。
しかし全6話に共通していることがあります。
■各話の舞台が滋賀県大津市であること
■各話に主人公(成瀬あかり)が登場する
わたしは、各話の語り手(話者わしゃ)が主人公だと思っています。
そして各話に登場する成瀬あかりの存在は、
いわば、サザエさん(フグ田サザエ)と同じです。
日曜日の18時30分から放送されている「サザエさん」は、毎回3話ずつ。
すべての話(エピソード)にサザエさんは登場しますが、
各話(各エピソード)ごとに主人公が異なります。
カツオくんのとき、ワカメちゃんのとき、タラちゃんのとき、
フネさん、ノリスケさん、超レアですが、タイコさんのときもあります。
シリーズの主人公がサザエさんであることは間違いないのですが、
各話(各エピソード)ごとに主人公が異なるアニメです。
アニメ「サザエさん」や、小説「成瀬は~」のように、
短編をまとめることで、
1冊分(200ページ程度)の長編ができあがるということです。

そもそも長編作品は、短編作品と同じく、
多くのシーン(エピソード)の連続という共通点があります。
長編作品の場合は、始めから終わりまで、
一貫いっかんしたコンセプト(メッセージ)によって、
ストーリー展開していきますが、分解すると、
主人公のエピソード&主人公以外のエピソードの連続で構成されています。
裏を返せば、つまり、
多くのエピソードを考えて、それらをつなげることで、
短編作品と同様、長編作品だって執筆できてしまうということです。
そのように考えれば、
おくすることなく「長編作品に挑戦してみようかな?」と、
前向きな気持ちになれるのではないでしょうか?

また、小説「成瀬は~」の舞台は、滋賀県大津市です。
著者である宮島みやじま実奈みな先生が住まわれている街です。
宮島みやじま先生は、ご自身の居住地を舞台に、この小説を書かれました。
勝手知っている滋賀県大津市を舞台にすることで、
コロナ禍、わざわざ遠方への取材や検証に出かける必要もなく、
普段の買い物ついでに街の様子の検証・再確認ができたはずです。
つまり小説の舞台を、
自分の出身地や、現在の居住地にすれば、執筆しやすいということです。

「本屋大賞受賞作の舞台=著者の居住地なんだ」
「取材に出かける必要もないし、わたしも小説1本書けるかも?」
そんなふうに思えてきませんか?
少しハードルが下がったのではないかと思います。

拙著せっちょのコレも、
メインの舞台は、わたしの生まれ育った街(愛知県稲沢市)です。
また、主人公ユカリの中学時代のエピソードは、
わたしの母の生まれ育った街(三重県津市)が舞台です。
作中の場所などは、
すべて自分が過去に何度も訪れたことのある場所だったりします。
この小説「赤いバトン」は、
コロナ禍に企画し、執筆をスタートさせた作品です。
結果的にどこにも取材に行けず(出かけず)書き上げました。

ちなみに拙著せっちょ「赤いバトン」は、
全20話の構成で、各話ごとに語り手(話者わしゃ)が異なり、
合計9名の主観でストーリーが展開していきます。
ぶんの書き分け、
つまり話者わしゃの口調・リズム・語彙力ごいりょくの書き分けには苦労しましたが、
同じシーンの描写でも、Aさんの視点と、Bさんの視点で書くことで、
いろいろなアイデアも出てきて、
「いっそ、コミカルに書いてみよう」というチャレンジもできました。

はい。
拙著せっちょの紹介は、これくらいにして、話を戻します。

小説「成瀬は~」ですが、
やがて第1話目となる「ありがとう西武大津店 ※」が、
第20回「女による女のためのR-18文学賞」を受賞されたことが、
このシリーズ小説誕生のきっかけのようです。
初出しょしゅつ 『小説新潮』2021年5月号

わたしは「なるほど」と思いました。
受賞後に担当編集者がついて、
「まず続編的なお話をつくりましょう」
「単行本化しましょう」
「単行本化するにあたって、書き下ろしを追加しましょう」
「シリーズ化しましょう」
「成瀬シリーズでガッポリかせぎましょう」
とてもいい流れですが、
著者である宮島みやじま先生は、
このシリーズとは違う作品を書きたいと思っているはずです。
いち読者のわたしも、
この成瀬シリーズとは違う新作を読んでみたいと思っています。

わたしは、上記のようなことを考えているとき、
拙著せっちょ「赤いバトン」の続編を執筆してもいいかも?
なんてことを考えました。
タイトルは「青いバトン」で、2年D組男子の、その後の物語。

まぁ、わたしの話なんてどうでもよくて、
すでに自作を完成させた経験のある方に限りますが、
「自分の書いたあの作品の続編を書いてみようかな?」
そんなふうに思えることができたら、ラッキーです。
試しに、続編の企画をスタートしてみてもいいかもしれません。


さて、小説「成瀬は天下を取りにいく」を読み終えて、

①長編作品も、シーン(エピソード)の連続であることを自覚する
②生まれ育った街・いま住んでいる街を舞台にすれば、書きやすい
③過去の自作の続編を企画してみる

執筆したくなる「やる気スイッチ」がONになるかいなか、
ひとそれぞれだとは思いますが、
上記の①②③が、ONのきっかけになればさいわいです。
特に②は、
初めて小説執筆にチャレンジする方の参考になると思います。


★シリーズの続編も、売上が好調みたいです★
< 映画化するなら、個人的に「成瀬あかり役=河合優実さん」が希望 >
  宮島みやじま 未奈みな 著「成瀬は信じた道をいく」


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