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短編小説集!

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生きるということ

 何もかもすべてが嫌になった。
 僕には生きる意味があるのだろうか。

 あの日僕は一人だけ助かった。僕以外の家族はあの交通事故で死んでしまった。僕は一人だけ生き残った。なんで僕は助かってしまったのだろうか……。
 血の繋がった家族は僕にはもういない。お金だけはたくさんあった。僕の心を満たせるものはお金ではないということを僕は知った。どれだけ好きなものを買っても、どれだけ好きなものを食べても僕の心

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楽しむこと

楽しむこと

僕は人生において楽しむことを最も大切にして生きている。どうしてかって、理由はない。ただ、人生はいつも笑顔の方がキラキラしていて素敵に見えるから。つまり、笑顔になるってことは楽しんでるってことだ。だから、僕は楽しむことを大切にしている。
 今日もまた、僕は人生を楽しんでいた。
「お疲れ様で~す」
今日のバイトが終わった。
「ちょといいかな」
僕が着替えて帰ろうと思ったら、いきなり店長に呼ばれた。

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短編小説『家族』

短編小説『家族』

彼女と再開して四年の時が経った。俺と彼女は社会人となり、結婚した。
 俺が彼女と付き合うことになったのは、再開してから、一カ月が経った時だった。付き合おうと言いだしたのは俺の方からだった。あの時の彼女の顔は今でも忘れられない。彼女ははちきれんばかりの笑顔をで俺の告白を受けてくれた。そして、俺に抱きついてきて嬉しいと言った。私も信之助君のことが好きと言ってくれた。
 そして、俺たちは恋人同士となった

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短編小説『居場所』

短編小説『居場所』

彼と再び巡り合ったあの日から一カ月が経った。
 休日には彼といろんなとこに二人で遊びに行った。
 ショッピング。映画。カフェ。遊園地。図書館。
 二人でいろんなところに行った。まるでデートだった。彼はそんなこと思っていないかもしれないけど、私はそう思っていた。この時間がずっと続けばいいのにと思った。だけど永遠なんて存在しないことを私は知っていた。あの日、彼が転校した日。私はもう彼に出会えないと思っ

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短編小説『繋がり』

短編小説『繋がり』

あの日、彼女と別れた僕は地元のおばあちゃんの家にお引っ越しをすることになった。なんでも、おばあちゃんの容態がよくないとかで、一緒に住むことになったのだ。
僕は、おばあちゃんが心配だったし好きだったのでおばあちゃんの家に行くことにした。
今の学校の友達と離れるのは寂しいけど、お母さんから、もうおばあちゃんに会えなくなるかもしれないと聞かされて、そっちの方が嫌だと思った。彼女と離れるのも心痛かった。 

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短編小説『笑顔』

短編小説『笑顔』

心が豊かな人は笑顔も素敵。
 僕はそう思っている。
 ということは、逆を言えば、笑顔が素敵な人は心が豊かということだ。
 
 私は、その人に変えられた。何を変えられたのか。それは、私の心かもしれないし、性格かもしれない、もしかしたら、人生すべてを変えてもらったかもしれない。

「ほらやっぱり、その顔のほうがいいよ。君にはその方が似合ってる。僕は君の笑顔が好きだ」

 私が彼に出会ったのは小学四年生

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ヒトハコ&知のカフェ

 僕が足を踏み入れたのは本を通して人々が笑顔でコミュニケーションを取っている空間だった。その空間は、いつもなら人はあまりいないような場所だった。そこにいるのは、餌を求めた無数のアリたちだけだ。
 しかし、今日は違う。その餌を求めた無数のアリしかいない空間が
たくさんの人と本で溢れていたのだ。
 その場所は県立図書館の横にある。いわゆるオープンスペースと言われている広場だ。広場と言っても広さは半径三

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