小寺 諒(Ryo Kodera)

音楽プロジェクト・既踏峰 主宰。 バンドアカウント https://twitter.c…

小寺 諒(Ryo Kodera)

音楽プロジェクト・既踏峰 主宰。 バンドアカウント https://twitter.com/houhoukito バンドキャンプ https://bandcamp.com/maakeetaa

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既踏峰ファーストスタジオアルバム「既踏峰」について

小寺諒(Ryo Kodera)が主宰しているバンドである既踏峰のファーストスタジオアルバム「既踏峰」のリリースに先駆けて、このアルバムが生まれるに至った経緯などを語っていこうと思います。曲自体のネタばらしみたいなものはありませんので、安心してお読みいただけると思います。 スタジオ録音を行うに至ったきっかけ そもそも、既踏峰は私の宅録ソロプロジェクトで、社会人として働きながら趣味で曲を作っていこうというものでした。自分が聴いてみたい曲を作って発表する。それだけのものになるは

    • 人生を捻じ曲げた41枚+1枚について

      こんにちは。 自分の人生を変えたといえるような作品を紹介していきます。 なるべくバンド/アーティストが被らないように選出しました(少し被ってしまいましたが)。 右下の作品から紹介していきます(ラストに番外編あり)。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 41.The Carpenters - Singles 1969-1981 メロディのうつくしさや、そのうつくしさを際立たせる編曲の妙が光る楽曲が並んだ一枚。とにかくカレン・カーペンターの歌声が素

      • 2023年 年間マイベスト この9枚

        あけましておめでとうございます。 2023年のお気に入りアルバムについて書いていきます。 関西のバンド。自分がやっている音楽プロジェクトを通じて偶然知ったんですが、どっぷりハマってしまいました。シンプルながら奥行のあるギターワークが好きで『自由のショート』『ナイーブ女の子』あたりはかなり聴きました!! また、録音がすごく好きなんですよね……ライブを拝見した際にCDを買ったんですが、クレジットを見たらダッチママスタジオetc…で録っており(ダッチママはミツメが『VI』を録った

        • はなまるをあげたい曲 Vol.1 TOPS - I Feel Alive

          はなまるをあげたい曲/アルバム シリーズ第1弾として、 TOPSの楽曲I Feel Aliveを紹介したいと思います。 モントリオールで活動しているTOPSは、どこか懐かしい、 80'sなムードをまとった音楽を演っているバンドです。 2020年に発表されたこの楽曲は個人的・人生ベストソングトップ10に入ってもおかしくないほど気に入っておりまして、Last.fmを見たところ3年間で300回ほど再生していました。 ★この曲のここが好き! まず、再生時間が2:34ととても短い

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        既踏峰ファーストスタジオアルバム「既踏峰」について

          既踏峰 - ぼくら/青い影にまつわるエトセトラ

          2023年9月16日、わたしが主宰している音楽プロジェクトである既踏峰のシングル「ぼくら/青い影」がリリースされました。 毎度なにを思って作ったか忘れてしまうので今回は書き残しておこうと思います。 今回も録音/ミックスはスタジオクルーソーの西村さんに、マスタリングはオレンジの小泉由香さんにお願いしました。 今までで最も理想的なサウンドを得られたと思っています。とくにドラムの音が凄まじいです! わたしも立ち会って、とにかく時間をかけチューニングしました。 ……………… ぼく

          既踏峰 - ぼくら/青い影にまつわるエトセトラ

          バーゲンのおもいで

          「明後日バーゲンだから!」 明るすぎる夏の昼間、神田駅付近の交差点を歩いていたら、ふいにフラッシュバックしたこどもの頃の記憶。 リビングから見えるキッチンにむかって、忙しそうに皿を洗う母から聞こえてきた「ばあげん」という謎の言葉。なにかが始まるらしい。嬉しそうな様子から察するに、きっとなにか楽しいイベントなのだろう。 …… 記憶を深く掘り起こそうとするたび、白く光る煙があふれ、めまいを誘う。 …… どうやってここまで辿り着いたのか、まるで見当がつかない。母と手をつな

          バーゲンのおもいで

          竹をとりに行った日

          小学生のころのこと。 リビングでTVゲームをしていると、急に祖父が現れて、ついてこいと言う。 しぶしぶゲーム機の電源を落とし、言われるがままに車に乗せられる。 古い日産のセダンの車内はなんだか埃っぽい空気感で、 ぼくはすぐに酔ってしまった。 後部座席で目を閉じて横になっていると、祖父が言う。 「諒の魂が空を飛んでいる。ふらふら」 鳥の目線で俯瞰した街を想像した。 いまどこを走っているのか分からなかったが、 いつも通っている小学校が見えた。校庭には誰もいない。 古ぼけた灰色の校

          竹をとりに行った日

          【アルバム感想】ネオアコの神髄・キテレツささくれポップミュージック!  Orange Juice - You Can't Hide Your Love Forever

          こんにちは。 今回はネオアコの代表作ともいえる、オレンジジュースの1stアルバムを取り上げたいと思います。 みなさんはネオアコと聞いてどういう音楽を想像しますか? 清涼感のあるポップミュージック? 都会的でオシャレなサウンド?…… 個人の感覚ですが、一般的にはそんな感じの音をイメージすると思います。僕もネオアコと言われたら、まずは爽やかなギターポップを思い浮かべます。 …… 初めてこの作品を聴いたとき、僕は正直かなりびっくりしました。 「えっ? これってネオアコなの?」

          【アルバム感想】ネオアコの神髄・キテレツささくれポップミュージック!  Orange Juice - You Can't Hide Your Love Forever

          2022年・年間マイベストアルバムこの3枚

          今年リリースの作品の中で特によく聴いた作品について書いていきます。 左上  Mitch Davis - The Haunt 右上  Marci - Marci 中央下 John Moods - The Great Design カナダのマルチ奏者による、70年代のポップミュージックへの憧れが詰まった、やわらかな音楽です。クレジットをみたところ、すべての楽器をMitch Davis本人が演奏している(歌はもちろん、ドラム、ベース、ギター、ピアノ、サックス、など……)ようです

          2022年・年間マイベストアルバムこの3枚

          日記:採血の風景ぐるぐる

          健康診断で採血を受けた。 看護師に、以前具合が悪くなったことがあると伝えると、奥の部屋に通され、台の上で仰向けになっての採血となった。 待合室の騒がしさが伝わってくる通常の採血室とは異なり、ここはあたたかな水の中にいるみたいに静かだ。天井のライトは見上げた太陽のように光をきらきらさせている。台を囲む黄色いカーテンのやわらかな雰囲気に誘われて、すぐに眠気がやってくる。 「チクッとしますよ」ぼやぼやしているうちに採血が始まっていたようだ。膨らみきった風船に針を刺したみたいに

          日記:採血の風景ぐるぐる

          2022年上半期 素敵なアルバム4選

          はじめに 2022年の上半期にリリースされた、私の個人的なお気に入りアルバムたちを紹介してみようと思います。 今回は「2021年年間マイベスト」のときよりも幅広く聴けたのもあって、4枚とも異なる方向性の作品となっております。 Combo Chimbita -IRE 一聴して一気に大好きになったこのアルバム。一言で言い表すなら「サイケデリック・トライバル・トランスミュージック」といったところでしょうか。 アフロなリズムパターンのドラムと、ミニマルかつヘヴィなベース、サイケ

          2022年上半期 素敵なアルバム4選

          2022年3,4月によく聴いた音楽アルバム4作紹介

          昨年、気に入った新譜まとめ記事を書いた際に、漫然と音楽を聴いているだけではいけないと感じたので、今年からは聴いた作品のなかで特に気に入ったものを紹介していこうと思います(再聴作品の感想がメインになります)。 はじめに・2022年3,4月の自分 ジャズ熱は収まらず、聴いたことのない作品をたくさん聴きました。知らないプレイヤーの名演を発見したりして、収穫の多い二ヶ月だったと思います。今回記事にするのはすでに聴き慣れた作品ですが、いつかこの二ヶ月で知った作品も紹介したいところです

          2022年3,4月によく聴いた音楽アルバム4作紹介

          4月あたまのスケッチ

          4月あたまのスケッチ ・図書館にいる。ずらっと並ぶ現代詩文庫の中から、最も現在の脳の凹みにフィットしそうな川田絢音の詩集を手に取る。空の時間という作品を読む。90篇に及ぶ短いことばの連なり。冬の晴れた河川敷、野球クラブ、球を跳ね返す金属バットのたてる音。そういうイメージ。 ・「なんとなく」で、ものを捉えているなと思う。伝わりやすく言うなら、日本語しか話せない人間が見た「Hello」あるいは「Hallo」だったりもしくは「สวัสดี」とか。ネイティブじゃないから、細部まで

          4月あたまのスケッチ

          【アルバム感想】今、夏を生きているんだ! 槇原敬之 - Cicada

          槇原敬之の9thアルバム。これはもうものすごい傑作です。 今回はアルバムの流れがどう、とかではなく全曲紹介したいと思います。 なお、「待ってたぜBABY」はDisc2収録のボーナストラックであるため割愛しています。 1.~introduction for Cicada~ ピアノの流麗なフレーズから始まり、思い出が無数にフラッシュバックするようなシンセフレーズが入ってきて、完全にやられてこのアルバムの世界に連れて行かれてしまう素晴らしいイントロダクションです。 2.po

          【アルバム感想】今、夏を生きているんだ! 槇原敬之 - Cicada

          【アルバム感想】サーフロック? シューゲイズ? ……いや、まるで即興のスリル Beach Fossils - Beach Fossils

          Mac DeMarco、Wild Nothing、DIIVらとともにCaptured Tracksの代表格として君臨していたBeach Fossilsのファーストアルバム。 ローファイかつドリーミーなネオサイケ、あるいはポスト・パンク的なサウンドのバンド・アーティストを数多く輩出したレーベルからのリリースであるためその音楽性についてやれサーフだのなんだのと誤解されていることが多いように思います(あくまで個人の感覚です)が、彼らの演っていることはちょっと特殊なんです。今回はその

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          【アルバム感想】今にも瓦解しそうな青春の煌き……Felt/Crumbling The Antiseptic Beauty

          好きなアルバムについて時々記事を書いていこうと思います。 大好きなバンドであるFeltの記念すべきファーストアルバムです。 このアルバムは Lawrence(Vo・Gt) Maurice Deebank(Gt) Nick Gilbert(Ba) Gary Ainge(Dr) とシンプルなツインギターのバンド編成で録音されています。ベース・ドラムが入っていない曲もありますが、全曲に共通するムードがあり、違和感はありません。統一感でいったら彼らの作品の中でNo.1なのではない

          【アルバム感想】今にも瓦解しそうな青春の煌き……Felt/Crumbling The Antiseptic Beauty