【いちばん大切な曲】Felt - Primitive Painters
こんにちは。
みなさんにとっていちばん大切な曲はなんですか?
それはあなたを励ましてくれる曲だったり、幸せな気持ちにさせてくれる曲だったり、なんだか泣けてくる曲だったり、いろいろあると思います。
今回は僕にとって一番大切な曲について書こうと思います。おそらく、この命が尽きるまでずーっと聴き続けるであろう作品です。
かつてFeltというバンドがいました。イギリスの80年代のバンドです。10枚のアルバムをリリースした彼らは商業的にうまくいったかというとそうではないのですが、実に素晴らしいアルバムをたくさん残してくれました。
僕が特に好きなのは、ギタリストのMaurice Deebankがいた頃(1st〜4thアルバムまで)の作品です。Maurice Deebankの弾くギターはクリーントーンのさらさらと流れるようなアルペジオが特徴です(僕は個人的にギターを弾くのですが、手癖で弾くと彼のようなプレイになってしまいます。それくらい好きなんです)。
Maurice Deebankの「歌うような」ギターフレーズは、ヴォーカリストであるLawrenceの低い声でつぶやくような歌唱スタイルとは対照的で、甘いものに塩をかけるように、お互いを際立たせ、相乗効果で不思議な魅力を醸し出しています。
Felt - Primitive Painters
本題に移ります。
僕はこの曲を聴くと、我々のいる宇宙の神秘さに想いを馳せずにはいられなくなってしまいます。
イントロのリードギターの音色を聴いた途端、眼前の世界の色がガラッと変わります(あざやかで美しいステンドグラスが通した光が、薄暗い教会の床で混ざりあって、淡く色とりどりの模様を描くようなイメージです)。
そして、Martin Duffyの弾く鍵盤の音が入ってくるとその不思議なイメージはさらに強烈な色彩をもって迫ってきます。祭壇の前で斃れて、ゆるやかに天に昇ってゆくような心地がします。
この鍵盤の音、イントロが進むにつれてどんどん厚くなっていくのがいいんですよね。8分で刻んでいたシンバルが16分に切り替わった瞬間から色が濃くなる感じです。
続いて現れるのはLawrenceのぼそぼそとした歌です。これがまた不思議なうつくしさを湛えています。バックの神聖な雰囲気を漂わせる演奏と比べるとLawrenceの声はマットでいびつな質感というかなんというか……アンビバレントな感じが良いです。
曲が進むとCocteau TwinsのElizabeth Fraserによるミステリアスなヴォーカルが現れます。ここが最高に気持ちいいんです。天に向かって昇ってゆき、厚い雲を越えて(この曲は曇り空のイメージがあります)強い太陽の光がカッと視界に飛び込んでくるような強烈な歌声です。
そしてギターソロ……Maurice Deebank節にあふれるプレイです。短い尺ではありますが、非常にドラマチックでうつくしい……ギターソロが終わるとふたたびLawrenceの歌が入ってきます。パッと夢からさめたような心地がします。そしてそのままクライマックスへゆるやかに進んでいきます。フェードアウトで終わるのですが、この曲の場合はこの消えてゆく瞬間が永遠に続くのではないかという感覚がして好きです。
と、感覚的な話になってしまいましたが!
こういうふうに不思議な光景をみせてくれる曲が僕は好きです。
永遠に続くような気がするのはイントロと間奏を除いてコードがE A D Eで循環してるからなんですね。このコード進行、神秘的で好きです。
レコメンド記事というにはあまりに抽象的というか観念的で、読んで聴きたくなるかというとなんとも……ですが、好きで好きで仕方ない曲なので書いてみました。ありがとうございました!
おわり
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