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家庭教育 #とは ~「先取り学習」と「先行体験」との違いに迫る~

「#とは だけで30本書くチャレンジ」
~No.5~

「家庭教育」という言葉を、ここでは仮に、
「家庭内での、大人から子どもへの、何らかの教育的意図をもった働きかけ」と、定義しておきましょう。

で、その、「教育的意図をもった働きかけ」は、「先取り学習」「先行体験」の2種類に分類できると思います。

結論を先に言いますと、子どものためになるのは、「先取り学習」よりも、断然、「先行体験」です。

「先行体験」が豊かな子の方が、「先取り学習」を詰め込まれた子よりも、伸びしろがあります。
これまでにかなりの人数の幼児~小学生を見てきた実感。

なので、「先行体験」の方を、お家ではしっかりさせてあげましょ♪

終わり。

……って、書き終わりたいのですが。

困ったことに、親からすると、
「どういうことするのが先取り学習?」
「どういうことするのが先行体験?」

という、そのあたりの判断が、難しいように思うのです。

例えば、かけ算の九九。
小学2年生になれば、誰もがみんな覚えるアレ。

さて、ここで問題。
小1以下の子どもを子育て中だとして。
以下のもののうち、どれが「先取り学習」で、どれが「先行体験」でしょう?

①かけ算九九の問題集を買ってきて解かせる。
②かけ算九九を「1日○個」と決めて少しずつ覚えさせる。
③「かけ算九九の歌」のCDを買ってきて、繰り返し家の中で流して聞かせる。
④「かけ算とはこういう計算だよ」という説明を、ことあるごとに言って聞かせる。
⑤おやつにお団子を食べる前に、「1本の串に、お団子3個ずつだね。あなたのと、パパのとママの、3本あったら、お団子は、全部で何個あるんだろう?」と聞いてみる。
⑥折り紙に十字に折り目をつけて4分の1サイズの小さな正方形に切り分けながら、「大きな1枚を切って分けると、小さな折り紙4枚になるね。赤・青・黄色の3枚分を切ると、全部で何枚の小さい折り紙ができるかな?」と聞きながら折り紙を楽しむ。
⑦飼っているカブトムシを眺めながら、「カブトムシって、足が6本なんだね。2匹いるから、足は全部で何本なんだろう?」と、ジタバタするカブトムシを両手に持って、足がよく見える腹側を子どもに見せつつ聞いてみる。

ハイ。こう書くと、わかりやす過ぎるんですが。
①~④が「先取り学習」。
⑤~⑦が「先行体験」です。

もちろん、ジタバタするカブトムシの足を、子どもが「い~ち、に~ぃ……」と、普通に数えて「12本!」って言っても、全然良いのですよ。
そこで「6×2=12だから、12本だね、『ろくに、じゅうに』だね」とか、大人側からも言う必要は、全くありません。

ただ単に子どもがカブトムシの足を数えながら、「同じ数ずつなんだな」「それが2匹だな」って、何とな~く感じ取る、その程度の話。で、十分。

でもなぜか、近所の同い年の子が九九を唱えてたら、焦る親の心理(笑)
ついつい②とか③とかゴリゴリやりたくなっちゃったりして……

いやいや絶対、カブトムシの足を数えたり折り紙を切りまくってたりする方がいいって。
ミニカーのタイヤの数を台数ふやしつつ確認するとか、おままごとの皿に同じ数ずつ野菜置くとか。そういうこといっぱいやってる方が絶対いいから。
(まぁ、九九の歌のCDを聞き流すのはありかな……無理に覚えさせようとしなければ……)

……それでもまぁ、
「いやいや九九を唱えて覚えてみるのも『先行体験』じゃない?」
「問題集を解いてみるのだって、『先行体験』じゃない?」
「前もって学校で習うことを『体験』しておくのが『先行体験』じゃない?」
と、考える人もいるわけで……

そこを何とかうまく説明できないかな~と、ずっと考えあぐねておりました。

端的に言えば、
「いずれ学校でやること」と、ほぼ同じことを家でも先にやっちゃうのが、「先取り学習」。

学校ではわざわざやらないかもね、なことを体験するのが「先行体験」。

……かな?と思うのですが~~~
……まだわかりにくいですよね。

例えば……ここでちょっと飛躍した感じのたとえ話をしますが……

あなたは、映画「ボヘミアン・ラプソディ」を観に行くことにした、とします。

これね。

あなたが、クイーンやフレディ・マーキュリーについて、全く知らない人間だったとして。
映画を観に行く前に、あなたが取る行動とは?

A:すでにこの映画を観てきた友人に、あらすじや見所を一通り聞いて、映画の内容をしっかり理解しておく。

B:クイーンの名曲のミュージックビデオをYouTubeで検索して、一通り見て楽しんでおく。

ハイ、どっち??

……いやいや、友人から話を聞いてしまったら、映画ちっとも楽しくないやん!!ネタバレされたらガッカリやん!……と、考える人が大多数ですよね(たぶん)。

映画の内容、そのまんまではなくて、映画の内容をより楽しめるような、土台となる経験をしておく  、そっちを取ると思うのですよ。

言うまでもなく、
Aが、「先取り学習」。
Bが、「先行体験」です。

学校でやることを、家で先にやってしまったら、学校ちっとも楽しくないやん!!ネタバレされたらガッカリやん!
……そう考えられる大人が、真に価値ある家庭教育の実践者となれるのです。

「学校で習う内容を楽しむ手がかりにはなる、しかし学校でやることと、全く同じではない」というようなことが、「先行体験」です。そちらをぜひ、家庭教育で。

う~~~~ん。伝わったかしら………

いやいや、理屈はわかっても、そんな高度な先行体験、我が家ではできないし……という気持ちになってしまった方に、補足なのですが。

先日、とあるオンライン講演会で、プロ家庭教師の先生のお話を聞きまして。

食塩水の濃度の問題で、子どもがいまいちピンと来てない様子だったので、「お味噌汁、うっかりグツグツ煮詰めちゃったら、味はどうなる?」と尋ねたそうです。

そしたら子どもは、「興味ないからわからない」と答えたそうで……

先生としては、「お味噌汁、しょっぱくなっちゃう!」という答えを期待していて、そこから水の量と食塩の濃度の関係について話したかったのに……生活実感が乏しいために、これではどうにもなりません。

つまり、煮詰めてしょっぱくなっちゃった味噌汁を飲んでみるのも、後々につながる「先行体験」になるというお話。

私自身も、現役塾講師だった頃に、買い物に関する算数の文章題を一緒にやろうとして、「おつり」を全く知らない小2の子に手こずったことがあります。お金持ちの家の子で、お使いの経験もなく、親が買い物するのを横で見ることもないそうで……

つまり、親が買い物に行く時に連れてって、横でお金のやり取りを見せることも、「先行体験」になるってこと。

あんまり難しく考えなくていいと思うのです。学校の内容のネタバレさえしなければいいんじゃないでしょうか(笑)

*****

物事を多角的に捉えて言語化することを目的とした「文章筋トレ」=「#とは だけで30本書くチャレンジ」。自分自身の「なんとなくの感覚」を言葉で説明するって、難しいですねぇ…

明日は、またちょっと趣向を変えて、シリーズ「我が子育ての現場から」で何かしら書きたいと思います。

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