東証の取引時間30分延長されることで、市場はどう変わる?(Morning satellite Oct,2024)
2024年11月5日から、東京証券取引の取引時間が、15:00から15:30に延長される。終了時間が変わるのは1954年以来70年ぶりの出来事となる。
理由は、2020年に起きた大規模なシステム障害であり、障害が起きたときに少しでも取引時間を確保できるようにという考えである。
投資家にとって注意すべき点が2つある。
⑴ クロージングオークション
従来の取引の流れは、15:00にザラバでの取引が終了、その後は注文が入り次第、都度取引を成立させると言う方法。
これに対し、新たに導入されるクロージングオークションは、まず取引が終了する前、午後3時25分から5分間売買が成立しない注文受付時間を作られる。そして、午後3時30分に注文を締め切ると同時に、板寄せをして終わり値を決めると言う流れとなる。
つまり、注文受付中の5分間は値段がつかないことになる。ただ、注文状況を可視化する板の動きは見ることができるため、終わり値の目処を予測し、注文を変更することも可能となる。
そのため、市場関係者からはこの5分間で注文状況が変わって、大きく株価が変化する可能性もあると警戒する声が出ている。
⑵ 場中の決算発表の増加
これまで多くの企業が、取引終了後の15:00に決算を発表していたが、東証から上場企業への指示で、”取引時間の終了が30分遅くなるからといって、決算発表30分遅らせないでください。午前9時の取引開始前や前場と後場の間のお昼休みの時間に出すやり方もあります”と呼びかけた。
それにより、ホンダやIHIの決算は、15:00から13:00に、住友ゴム工業は、13:00から取引が始まる8:30に発表する運びとなった。
この影響により、これまで引け後に発表した決算に対する反応は、翌日相場開始前の寄り付きで消化されてたが、15:00に発表されると、取引終了までの30分間に反応が集約され、短時間で株価が大きく動く可能性がある。また、クロージングオークション導入されることもあり、株価が跳ねやすくなることも考えられる。
世界を見渡すと、投資マネーの取り合いが起きており、ニューヨーク証券取引所では、時間外取引を含めた取引時間を1日16時間から22時間に延長する計画を発表した。そのため、今後も日本の取引時間も再度検討されることになるだろう。