採卵で命の危機に直面した件
子供を産める可能性というのは、とっても大切だと思う。
だから、背景がなんであれ、採卵には強く賛同する。
だからこそ、その採卵の際に何が起きようと、早期発見早期治療でことなきを終えられる人を増やしたい。
今や不妊症は国民病。
高齢出産は選択??
キャリアを優先する生活の中で、採卵して出産の年齢制限を一部取っ払おうとするのも一般化しつつある昨今。
あなたは、リスクを知って対策をしていますか?
実は、採卵の際の合併症にOHSSというものがある。
英語で、ovarian hyperstimulation syndrome、日本語で卵巣刺激症候群。
今や、これは発現するリスクを最大限抑えており、頻度はかなり減少した。
何故これはほとんど発症しなくなったのか。
健康な女性にホルモンを投与する採卵では、採卵できないことで本人の健康被害はない。
採卵しないことでの身体的な健康被害が存在しないからこそ、命を脅かす合併症は許されない。
だから、OHSSのリスクは、採卵の可能性が若干減ろうとも、回避したい合併症なのだ。
即ち、ホルモン投与量はかなり慎重を期すのである。
しかし、私はOHSSになった。
経緯から話すと、抗がん剤治療しか治療法がない‼️ という状態に陥った。
当時住んでいた国では、妊孕性の温存(子供を産める状態の保持)は全員に与えられた当然の権利だと考えられている。
だから、抗がん剤治療を開始する全ての人が保険適応(完全無料)で治療開始前に採卵するオプションを与えてもらえる。
当然、私もその一人だった。
全てが順調に行き、採卵できた😄
(その後、移植ということで、卵巣も保存したいとお願いした......)
しかし、採卵後まもなく、腹痛が出現した。
腹部を圧迫し、パッと離すと痛みが増した。
腹膜炎などの重症感染症などで出現する、腹膜刺激症状の一つだ。
嘔気もあったかは覚えていない。(嘔吐なし)
幸い、まだ外来がやってる時間帯だったので、急いで病院に直行した。
予約外(救急扱い)での来院だったので、随分と待つことが予想されたが、順番は予想外に早く来た。
度々外来でお世話になっていた先生に事情と症状を説明すると、即刻緊急入院になった。
目まぐるしく色々起こった。
病棟では、問答無用で尿道カテーテルが挿入された。
尿道を通して膀胱に管を入れて、尿が体外のバッグに出て、正確に尿量の測定が行われた。
産婦人科の教授が採卵をしてくれたのだが、彼が自ら私のところに駆けつけて、「僕が全身管理をするから、絶対に大丈夫」と心強い言葉をかけてくれた。(ここでは、訴訟リスクを懸念して「大丈夫は絶対禁句」ということはない。)
当時、そこでは超きめ細かい利尿剤(フロセミド・オシッコを出す薬)と大量の輸液の絶妙なバランスでインとアウトを実に正確にコントロールした。
そして、結構すぐにコントロールがついた。
結論から言うと、超初期に発見したから、身体の水の出し入れを物凄く正確にコントロールするだけで完治した。
おそらく、採卵している方々は全員インフォームド・コンセントでOHSSの可能性は聞かされていると思う。
ここでは、早期発見の方法として、「グッとお腹を指4本で強く押し、パッと離すだけ」という身体診察を伝授したい。
誰でも、どこでも簡単にでき、この症状があると伝えるだけで、医師はきっとことの深刻さを瞬時に理解するだろう。
正確なやり方は、ぜひ米国医学部や医師らのYouTubeビデオを参照されたし。
子供を産める可能性というのは、とっても大切だと思う。
だから、背景がなんであれ、採卵には強く賛同する。
だからこそ、その選択を選んだ時、自分や家族が可及的速やかに診断を受け、治療を受けられるように備えておこう!
きっと大丈夫!
今はより一層OHSSが起こらないように、最善の策が講じられてる。
それでも、万が一の時に状況を的確に伝えられることで、早期治療が開始できることは全てやろう!
何事も、事態が軽いうちに対応しておけば、重篤になってから介入するよりも治療反応性も改善速度も、必要な治療の量や値段もずっと良い。
今を大切に生きよう!