Part 2:新型コロナ感染確定 definitive COVID

さすがに、これ... 

急変したら挿管リスクあるタイプの状況じゃない?

クループ症候群とかepiglotitis 喉頭蓋炎とか... 軌道閉塞すると、早急に挿管しないとだよね?

これ... 

マジで咳直後... っつうか、普通に息吸いづらい。

ヒューーーッ

吸気時に首や胸郭に相当な陰圧かかってるのが分かる。

というか、首凹んでるゾ (手で軽く触れると、吸気時に首が吸い込まれるのが分かる。)

そして、咳のクラスターが吸気できていなくとも、2連続とか3連続とかで襲ってくる。

さすがに酸欠。

ナースコールが苦手な私でも、これは押してスタッフに知らせるべきなのは分かる。

ゲホゲホゲホゲホ...... ヒュッ、ゲホゲホゲホゲホ...ゲホゲホゲホゲホ...

苦しい!!!!

ナースコール一回押す。

さらに、咳クラスターがたたみかける。

この感じSpO2絶対下がってる!

え、何、声帯の攣縮? 咽頭浮腫ってる? 

止まれ!

咳待って!

ゲホゲホゲホゲホ、(息吸う間なく)次のゲホゲホゲホゲホ、ゲボッ... オエッ、ゲホゲホゲホゲホ...

いや、だから咳待って! 無理!

息吸えてない!

2度目のナースコール。

ヒュッ、ヒュッ (少し吸えた!命綱!)

ゲホゲホゲホゲホ、オエッ

ゲホゲホゲホゲホ、オエッ、

ヒューッ

ゲホゲホゲホゲホ、ゲホゲホゲホゲホ、ヒュッ、ゲホゲホゲホゲホ...

苦しいー!

もはや、考えられていない。

3回目のナースコール。

外から声が聞こえる。

「着替えているから。もう直ぐ入れるからね!」と。

そうだ。

当たり前だ。

新型コロナ疑いの発熱患者なんだった。

これが隔離の現実か。

あ、なるほどね。

向こうも急ぐ、こちらも頭では分かってる。

事態は人間の事情などお構いなしだ。

ゲホゲホゲホゲホ、ヒュッ、ゲホゲホゲホゲホ、オエッ、ゲホゲホゲホゲホ、オエッ...

モニターが鳴り響く。

頻脈アラームはさっきからずっと高鳴りだが、聞き覚えがあるSpO2低下のあのアラーム音。

ピローン⤵︎
ピローン⤴︎

二つのアラーム音と咳と嗚咽、喘音が気色悪い不協和音を奏でる部屋で、

むしろ、咳の頻度も強さも増していく。

急変の進行が速いと、外から全身装備を纏うって入る分数が危険な状況もあるんだろうな、と他者の状況を想像して思う。

しかし、医療サイドが防護服なしに飛び込んで、感染するなど、あり得ない。

そんなことをしても、助ける側の人員を減らしてしまうし、苦しまずに済んだ救助者が危険に晒される。

ゲホゲホゲホゲホ、ヒュッヒュッ、ゲホゲホゲホゲホ、オエッ、ヒュッヒュッ、ゲホゲホゲホゲホ、

ピローン!
ピローン!

「もう直ぐ薬来るからね!」

「苦しいね」

自分の命を脅かすかもしれないウィルスを大量に排出する咳を続ける患者の側で、優しく背中をさすって、声をかけ続ける看護師に...

これほど癒され、感服したのは初めてだった。

いや、いつも感謝しているよ...!

けど、人の手って温かい。

当直医も、気転が効いて、その場でインフルの迅速検査みたいなのをしてくれた。

PCR検査の結果が出る明日まで待てない、との判断だったのだろう。

インフルエンザが陰性なら、ほぼコロナになるのかと解釈した。

時間差で医師が来て、「陽性でした。」

と告げられた。

私は、インフルエンザの迅速検査だと思い、「あー、やっぱりそうか。インフルですか。強い感染症なんだ。」と納得したが。

コロナの抗原陽性。

コロナの迅速検査キットで!

頭の回転の悪さは... 熱と咳... のせいということにしておこう。

こうして、救急外来の陰圧室から、陰圧隔離病棟の陰圧&陽圧対応部屋での隔離開始。

私は感染経路不明の新型コロナ陽性患者となった。(前日までの約1ヶ月は入院していた……)

同日、吸入治療に加えて、抗ウィルス薬の投与を開始できたのは、この先生の勇気ある行動のおかげだ。

飛沫を浴びてでも、PCR検査をしてくれて、
飛沫を再び浴びてまで迅速検査をしてくれた。

ぜひサポートよろしくお願いします。 ・治療費 ・学費 等 に使用し、より良い未来の構築に全力で取り組みます。