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唐仁原昌子
2024年5月5日 23:52
昨夜、俺は結構酒に酔っていた。 職場の付き合いで行った飲み会で、日頃の仕事の話に始まり、休日の過ごし方へ話題は移行する。 元々プライベートと仕事は分けたいタイプだし、恋人の有無や家族の話になる頃、俺はすっかり疲れていた。 早く帰りたいなあ。 まあ帰ったところで、上司や先輩のようにそこに待つ人がいるわけではないけれども。 それでも俺にとっては、俺の好きなものだけを集めた、唯一無二の
2024年4月7日 22:39
「 ──いや、マジで。本当に私のママうるさくって」「ウケる。それで門限十七時になったの」「そう。ヤバすぎるでしょ。そもそも部活終わったら十八時前なのに、十七時門限とかどういうことなの」「もう時空を超えて帰ってこいってことじゃないの」 何かあったよね、そういう話。何それ、聞いたことないけど。え、知らない?嘘だあ、待って調べるから。 駅構内、チェーン展開されているカフェにて。隣の席の女子
2024年3月17日 20:06
「ねえ」 沈黙を破ったのは、やはりミオだった。「冬のすきなもの、挙げっこしようよ」「…冬の好きなもの?」 あまりに唐突で、聞き返してしまう。「うん。私、石油ストーブが点いたときの匂いが冬っぽくてすきなんだよね」「ふうん」 石油ストーブが身近にないから、そんな匂いはしばらく嗅いでないなと、コンクリートの階段に座り、剥げかけた赤いマニキュアを見ながら思う。「後は…コンビニで買