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●ショートショート●

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これまでに書いた短編小説、ショートショートをまとめたものたち。
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#秋だからやってみた

【ショートショート】 一つのみかん〜あちら側の話〜

【ショートショート】 一つのみかん〜あちら側の話〜

 その日、わしは膝が痛かった。それでも数日前から体調を崩して寝込んでいる婆さんが、昨日の夜から「みかんが食べたい。」と言い続けていたし、実際問題として、買い物には出ないといけないくらい、冷蔵庫には何もなかったので、仕方がなく出かけることにしたのだった。

 年を取るということは、残酷なことだ。かつて何も「意識することなくできていたこと」が、一つ、また一つと「意識しないとできないこと」になっていく。

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【ショートショート】 一つのみかん

【ショートショート】 一つのみかん

 ある日の昼下がり、学校から帰る途中に見知らぬおじいさんと出会った。
 出会ったというか…見かけたというか…、僕が彼を見たとき、彼は地べたに膝をついていた。どうやら転んだらしく、足元には持っていたのであろう買い物袋が口を広げて落ちていて、中身が散らばっている。そんな彼を大人たちは横目で一瞥して、いかにも「自分は今とても急いでいて助けられないんです。」という顔で通り過ぎて行った。何なら彼の存在に気が

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【ショートショート】 とある女子高校生の悩み

【ショートショート】 とある女子高校生の悩み

 植物を育てるとき、優しい言葉をかけたり良い音楽を聞かせたりすると、そうしなかったものよりも綺麗な花が咲くらしい。それが嘘か本当か、私はよく知らないけど、「言葉を使わない生き物」ですら、言葉の影響を受けるのかと衝撃を受けたものである。
 それなら、人間みたいに「言葉を使う生き物」が誰かの些細な一言で、傷ついたり喜んだりするのは当たり前だよなあとも思った。

 「いいね、あんたは。何も悩みなさそうだ

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【ショートショート】 朝だから

【ショートショート】 朝だから

 まる1日、俺はひどい気分だった。

 午前中が締め切りだったレポートの提出期限に間に合わず、少なくとも1講義の単位を落とすことは確定した(これは俺の計画性の無さが悪い)。
 昼間には久しぶりに彼女にランチを誘われたと思ったら、いろんな人が見ている食堂で散々泣かれ、よくわからない理由でこっぴどくフラれた。

 そんな地獄みたいなランチの前、バイト先から人が足りないからと連絡がきていて、引き受けてし

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【ショートショート】 ある不思議な夜のこと

【ショートショート】 ある不思議な夜のこと

 ふと何かの物音で目を覚まし、寝ぼけ眼で時間を確認すると、時計はちょうど午前3時を回った頃だった。
 寝返りを打つのも億劫なくらい体中は重く、燃えるように熱い。昼間に感じた倦怠感は、見事にひどい頭痛と発熱を連れてやってきた。

 (明日からの連休は引きこもって終わりかな……。)

 ため息をついて改めて布団に潜ろうとした瞬間、妙なことに気がつく。消したはずのキッチンの電気がついているのだ。1Kのこ

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【ショートショート】 雨の匂い

【ショートショート】 雨の匂い

 友達と喧嘩をした。実際のところ、喧嘩というよりも私が一方的に呆れられてしまったという方が正しいかもしれない。
「・・・はあ。」
 こういう気分のまま帰宅すると、眠る直前まで悶々としてしまうから良くない。一体何がまずかったのか、彼女とのやり取りを反芻しながら電車に揺られる。

 あれは確か、彼女が私を褒めてくれたときのことだった。屈託なく思ったことを述べることのできる子で、私はそういうところがとて

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