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唐仁原昌子
2022年12月15日 22:10
私が彼女を見かけたのは、ある仕事終わりの電車の中だった。その日は寒い日で、私は仕事の疲れもあり、座席のヒーターの温もりにとろけながら座っていた。 それなりに人がいる車内で、彼女は向かい側のドア付近に立っていた。特段代わり映えのしない、見慣れた日常の風景だったのだが、どうしても彼女に目がいってしまったのは、彼女が泣いていることに気がついたからだった。 彼女は声を出さず静かに窓の外を見て、ただ
2022年12月3日 22:30
「宇宙人って、いると思う?」 「…また突然だな、何の話だよ」 「いいから。いると思う?」 「…俺はいないと思う」 「そっか」 「お前は?いると思うの?」 「うん。僕は、いると思う」 「ふうん。…なんで?」 「いないって、言い切れないから」 「…何だそれ」 「だって、宇宙広いしいるかもしれないじゃん」 「それがアリなら、逆にいねえかもしんねーじゃん」 「“いないかも”しれな
2022年12月1日 23:06
ーー大切なものは、その腕に抱きしめられる分だけしか、持ち続けることはできません。新しい「大切なもの」ができたときは、何か一つ、これまで抱きしめていた「大切なもの」を手放すときなのです。どれだけ惜しくても、欲張りは禁物です。それが、今あなたの腕の中にある大切なものを、できるだけ長く大切にするための秘訣かもしれませんーー。 おみくじの内容を見て、思わずドキッとした。 その日、私はどうしても仕