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燃えるブルー


「ルリボシカミキリの青」、この本の一部が国語の教科書に載っていた。確か一番初めの課題で選ばれたのもこの文章だ。ということは、初めて読んだのは高校一年の五月頃だろうか。

今日はコメダ珈琲で国語の勉強をしていた。疲れを感じてきた頃、私はパラパラと教科書をめくっていた。あ。目に止まったページがあった。見ると、題名に「ルリボシカミキリの青」とある。なんだか懐かしい、確かこの文章良かったよなと思い、私は読み始める。

読めば読むほど惹かれていった。心臓がドクドク震えてる。だってこんなにも私の気持ちとリンクしてるから。うずうず待ち構えていた想いがここで弾けたみたいだ。それだけじゃなくて、この文章は作者自身がそこで話しているみたいに、肩を叩いてもらっているみたいに、じんわり広がる安心感があった。単に巧みな文章で私は感動しているのかもしれない、でも、そうだとしても、この文章は本当に素晴らしいと思う。人に証明できるような根拠はない、ただ私の中で完結された結論だから。私の中に根拠があって、結論があるの。もし誰かにこの道全て伝えられたら、どんなに素晴らしいことだろう。この感情が伝染して、今日は世界で一番暖かい日になっていたかもしれない。でも素敵なものほど上手く言えないのだ。繊細なんだ。そしてきっと、見えないセンサーが似ていないと伝わらないと思う。感情表現って、つい「凄い」に全てを頼りたくなる。その一言で思考をやめたくなるほど言葉にするのは難しいのだ。難しいからこそ、あっ、私の想いはこれなんだよと首が痛くなるほど頷けるものには、信じられないほど感動する。それくらい言葉にできることは貴重なんだろう。
私はひとり喫茶店の中、赤外線カメラで見たら太陽みたいに燃えていたかもしれないね。メラメラ燃えていた、見えないspritが。赤じゃないよ、赤よりも熱い青色でね。
じーんと我に返って、本当にこの人の感性が素敵だと思った。また時間を置いて読み返したい。



みなさんは、そんな風に一生大切にしたいと思う文章はありますか。


一生大切にしたいとは違うけど、一生かけて解読したいと思う本なら私はある。それは、又吉直樹著の「劇場」だ。

おばあちゃんにもらったお金を握りしめて買った本。ただ話題だからという理由で選んだ。
確か、それは小学生の頃だったと思う。あの時私は読了後どう思ったのだろう。多分全く意味不明だと思った気がする。筋が通ってるようで通ってなくて、終わり方も微妙、なんだこの本と思っていたと思う。すっきりしない終わりなのに、こうも人気な理由はなんだろう?ボヤけているからこそ、私のように意味不明に思う人が理由もなく絶賛して人気なのだろうか?分からない。分からないから、とりあえず本棚に置いておいた。

それから中学生になって、もう一度読んだ。それでもまだよく分からない、何が言いたいんだ。ただ小学生の時と変わったのは、あの時は浮かばなかった情景が、感情が浮かんできたということ。中学生になって経験した感情も、見た景色の数も圧倒的に増えた。だからこそ共感できる、想像できる部分も増えたのだ。
が、まだ筋が見えない。著者は何が言いたいんだろう。

そうだ、私はもう高校生になったのだ。高校生になって読む「劇場」は、どう見えるだろうか。ある意味でこれは、自分の成長を確かめる方法のひとつなのかもしれない。もし中学の時よりも深く読めたなら、きっとまた私が成長したのだということだろう。
今も本棚に置いてある。私は基本一度読んだら読み返さないので、大体古本屋に売り飛ばしてしまう。けれどこの本だけは、ずっと自分の元に置いておきたいと思うのだ。最後の感想が中学生の時のままずっと更新されていないから、今も「よく分からない話」止まりである。そんな感想を抱いているのにこうも手放せない理由、それは本の感触が好きだからだと思う。ストーリーから紙の話で急に話が飛ぶけれど、何故だかページの感触も紙の色もよく馴染むのだ。いつも読み始める時は少しは怖さがあるのに、「来てくれてありがとう」と歓迎するみたいに手の感触でそう教えてくれる。だからもう少し粘ったら、きっと物語も私のことを歓迎して、その秘密を教えてくれるかもしれない。




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