芦田 成人

木の家に住まうこと、可能な限り自然に近い素材が継続的に利用されることが、住まいづくりの…

芦田 成人

木の家に住まうこと、可能な限り自然に近い素材が継続的に利用されることが、住まいづくりのスタンダードであって欲しい。誠実に丁寧に、そして楽しく、これからの木の住まいづくりに向き合う芦田成人建築設計事務所の住まいづくりへの想いです。

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ごめいわくをおかけします

マンションの工事中に これは、とあるマンションの一室でのリノベーション工事中の出来事です。このマンションは階段室型と呼ぶ構造で、階段の両側に部屋が1室ずつある形式でした。工事をしていた部屋は1階のため、上の階に行くには工事中の、この部屋の前を通らざるを得ません。 ドアプレート 室内の工事ですが、職人さんの出入りや騒音などで他の住戸の方々に全く迷惑を掛けていない訳ではないため、この部屋の玄関戸のドアノブにかわいいキツネのキャラクターが黄色いヘルメットを被り「ごめいわくをお

    • セミ男 片道15分のハラハラ

      夏の日の車内 どんどん気温が上がってくると思い出す、 過去の記憶があります。 普段、電車に乗る機会の少ない田舎の生活では 電車での移動は稀です。 確か、その日は講習だったか、 仕事だったかは記憶が定かではありませんが、 電車で神戸へ向かっていた時のことです。 JRから阪急に乗り換え 片道15分の乗り継ぎ区間 丁度皆が半袖になり、む~とした外の空気と ゆらゆらと湧き上がりそうな熱気の時期でした。 通勤ラッシュを少し過ぎた頃、 しかし椅子席は全て埋まっていたため 私は降り

      • ミドル世代の家づくり2

        前回、リバースモゲージの話や中古マンションの選択の話をさせて頂きました。未だお読みで無い方は、是非前回の投稿「ミドル世代の家づくり」をご覧いただけましたら幸いです。 田舎暮らしがしたいので、田舎で安く土地が買えたらなら一戸建ての可能性も見えてくるのですが、そうでないなら40歳代後半から50歳代の方の選択肢は自ずと中古マンションか中古住宅と言うことになるのでは無いか?と私は思うのです。 で、今回から数回は既にマンションをお持ちの方にも、これからマンションを入手しようと思われ

        • ミドル世代の家づくり

          一生賃貸に住み続けるのか?年齢も50歳を過ぎ、ずっと賃貸住まいで来たけれど今からでも家を持てるのか?ふと、こんな疑問を持たれた方もいらっしゃると思いますし、実際に問い合わがあったこともあります。 リバースモゲージと言う商品はあるけれど そのような方に向けた金融商品もあって、リバースモゲージと呼ぶものですが都市銀行であれば扱っていることも多いのではないでしょうか? 只、このシステムはその方が亡くなった時点でローンが残っていれば家も同時に無くなるので、お子さんに残したいと言う

        ごめいわくをおかけします

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        • ゆるばな
          2本
        • ミドル世代の家づくり
          2本
        • 木の家に住まう
          15本

        記事

          木の家にすまう 16(大黒柱は、なぜ太い?)

          「大黒柱」ってご存知ですか? 一家の長を大黒柱と形容することもありますね。 最近では大黒柱がない家も増えているので、もしかしたらご存知ない方が いらっしゃるかもしれませんね。 大黒柱は家の中心付近にあって、他の柱よりも一回り以上太い柱なんですね。では、なぜ大黒柱は他の柱よりも太いのでしょうか? 家の中心にあるので、象徴的な意味で意図的に太くしている? もちろん、そのような意味合いもあると思いますが 私が考えるには、構造的な意味合いも大きいと思っています。 大黒柱は、家

          木の家にすまう 16(大黒柱は、なぜ太い?)

          木の家に住まう 15(木の家の構造)

          少し間が空いてしまいました、続けることの難しさもありますが、投稿しないことは容易にできます。 構造についてさて、今回は構造についてお話したいと思います。 私が事務所を開設した約20年ほど前、地元には幾つかの製材所があったのですが、それらの多くは主に米松(ベイマツ)と呼ぶいわゆる外材を挽いていました。 それが今では残っている殆どの製材所は杉やヒノキなどの国産材を挽いています。この間に何があったのでしょう? 杉をヨコモノに使う話は変わり、同じように私が事務所を開設した約20

          木の家に住まう 15(木の家の構造)

          木の家の住まう 14(風呂に木を使う)

          ■ 風呂に木を使うこと 「風呂に木」と聞いて、温泉や旅館の浴槽を イメージされるかもしれませんね? あるいは、「木が傷む」ことを心配される方も 多くいらっしゃると思います。 そして、私どもの住まい手の皆様の中にも それを要求される方がいらっしゃって、 実際に風呂に木をつかったこともあります。 ■ 木のお風呂 今日の写真は、風呂に木を使った実例です。 写真の浴室には、ヒバと呼ぶ木を使ったのですが 板を張った直後は、香り立つと言うよりも ニオイにむせかえると表現する方が相応し

          木の家の住まう 14(風呂に木を使う)

          木の家にすまう 13

          今回の「木の家にすまう」は2年前に京都に建築の師匠のお墓参りに行かせて頂いた際に立ち寄った社寺などの写真を使用させて頂いています。 ◆木は噛み合わせて粘りを発揮する この時は折角、京都まで行ったのだから、色んな社寺を見学せずに帰るのは勿体ない、ということで清水寺は勿論のこと、三十三間堂など、建築的に魅力のある建物を見学して来ました。 当然ですが、海外からの観光客とは違って建物を見ることが目的ですので、見ている所は屋根組や柱の胴周り、木組みなどです。 社寺建築の特徴として

          木の家にすまう 13

          木の家に住まう 12(表と裏)

          ◆木表(きおもて)と木裏(きうら) 物事には全て表と裏があると言われますが、同様に木にも表と裏があります。厳密には板には表と裏があるなんですが・・・ 丸太の状態から板材に製材する場合、木の芯に近い面と樹皮に近い面が出来る製材方法を採用されることが多いのですが この場合、樹皮に近い面を木表と呼び、芯に近い面を木裏と呼びます。 鴨居や床材などとして木を用いる場合、一般的には目に触れたり、肌に触れる面に木表を向けることが多くなります。 因みに「鴨居(かもい)」とは引き戸等の枠の上

          木の家に住まう 12(表と裏)

          木の家に住まう 11(木と水の関係)

          ◆木と水の関係 山で切ったばかりの木は触っただけで水分を含んでいるのが分かります。 当然ですよね。成長するために根から水分と栄養を吸い上げているのですから。 ◆含水率 木が、どの程度水分を含んでいるのかを現すのを含水率で現します。 率なので最大が100%かと思いきや、そうでは無いんです。 水分と言ったら、ものの総量に対する水の量の割合と捉えるのが通常です。たとえば「みかんの80%は水分」といえば、100gのみかんに80gの水分が含まれていることになります。ところが木材の世

          木の家に住まう 11(木と水の関係)

          木の家に住まう 10(平屋について)

          平屋について 今回は「平屋」についてです。 敷地にゆとりがあれば、平屋に住みたいと言う方も増えています。 地方では土地も広く伸び伸びとしていて広い敷地も多いので、 その需要が伸びる理由もうなづけます。 平屋は割高か? さて、平屋は割高になるよ、と言う話をお聞きになったこと、おありでしょうか? これ噂ではなくて現実の、お話です。 では、具体的にどのような原因で割高になるのか?と言うことですが、平屋と2階建ての建物を比較する場合、どちらも延べ床面積(2階建ての場合、1階と2階

          木の家に住まう 10(平屋について)

          木の家に住まう9(建築と色 その2)

          前回は建築で使う色は3色までにしましょう、と言うお話でしたね。 何故3色までなの?と思われた方は前回の記事をお読みいただけるとご理解頂けると思います。 さて、今回も「建築と色」の話です。 どんな色にする? 皆さんが、仮に家を建てるとして屋根や外壁の色を自由に決めていいよ と言われたら、どんな色にしますか? お子さんに家の絵を描いて、と言うとどんな絵を描くでしょうか? どんな色を使うでしょうか? 自分の好きな色にしますか? 絵だけなら多分、色んな色があってカラフルで綺麗ね、

          木の家に住まう9(建築と色 その2)

          木の家に住まう 8(建築と色 その1)

          前回は「明るさの感じ方」について書いてみましたので 今回は、「建築と色」の関係について綴ってみます。 今日の写真は、以前にリノベーションさせて頂いた、とある写真館さんの撮影スタジオです。白一色なのは光の回り込みを考えたためで撮影スタジオには必要な設えと言えます。 あなたが好きな色は? あなたが好きな色は何色ですか? 情熱の赤、涼しげな青、自然を意識させる緑など、人によって様々です。 又ひとえに赤と言っても、色幅が大きく色鉛筆で赤系統の色を集めても、物凄い種類に及ぶことが分か

          木の家に住まう 8(建築と色 その1)

          木の家に住まう 7(明るさの感じ方)

          今回は前置きなしで、いきなり本題です。 明るさの感じ方 住宅を新築する場合、明るさや暖かさを考えるには比較対象が難しいですよね。現在のお住まいと、これから出来るお住まいでは確実に違いますが、その程度の差が実感出来ないだけに、悩むのです。 明るさについての感じ方は個人差が非常に大きいのですが、考え方の1つとして必ず部屋の隅々まで明るさで満たす必要は無いと思います。 明るさって利用する部屋の目的や用途に応じて満足していれば事足ります。 隅々まで光で満たされる必要は無い 例え

          木の家に住まう 7(明るさの感じ方)

          木の家に住まう 6

          家は木だけで出来ている訳ではありません。 色んな素材が組み合わさった超ハイブリッドな構造なんです。 そして一番目立たないけども、一番大事と言っても過言ではない基礎についてが今回の内容です。 基礎を考える さて、本題です。 今回の本題は、基礎についてです。 突然ですが「在来軸組工法」(ざいらいじくぐみこうほう)ってご存知ですか? 文字にすると難しい工法のように感じますが現在、国内で広く一般に行われている家づくりの殆どは「在来軸組工法」です。 コンクリートの基礎を造り、その上

          木の家に住まう 6

          木の家に住まう 5

          シルバーウィーク最終日 幸い、連休は好天に恵まれましたね。 車で走っていても、気持ち良さそうにツーリングしているバイクをよく見かけます。紅葉のシーズンには未だ早いけども暑さも峠を越えた感じですね。 さて、この辺りで、そろそろ「木の家に住まう」の片りんを見せておきたいと思いますが色々あるので、どんな内容にしようか迷いながら決めました。 木配りは、気配り 私は、国産材による木の住まいの設計を独立以来ずっと続けているのですが、設計事務所は設計だけをしている訳ではありません。現場

          木の家に住まう 5