木の家に住まう 11(木と水の関係)
◆木と水の関係
山で切ったばかりの木は触っただけで水分を含んでいるのが分かります。
当然ですよね。成長するために根から水分と栄養を吸い上げているのですから。
◆含水率
木が、どの程度水分を含んでいるのかを現すのを含水率で現します。
率なので最大が100%かと思いきや、そうでは無いんです。
水分と言ったら、ものの総量に対する水の量の割合と捉えるのが通常です。たとえば「みかんの80%は水分」といえば、100gのみかんに80gの水分が含まれていることになります。ところが木材の世界は違って、水を一切含んでいない組織の重量を100と考えるのです。乾量基準含水率(全乾法)と呼ばれる表し方で、これに対してみかんの例は湿量基準含水率といいます。
木材の含水率は、下記の計算式から算出します。
含水率(%)=
(木材の乾燥前の重量(g)-乾燥後の重量(g))÷乾燥後の重量(g)×100%
なので含水率が200%と言うこともあり得ます。
◆乾燥
木に多くの水分が含まれていると建築用材として使う時に割れたり、反ったりと色んな問題が起こり易くなります。そのために乾燥させる必要があるのですが、乾燥機など無かった昔は時間を掛けて自然に乾かしていましたので使用できる状態になるまで、かなりの時間を擁していました。今では、そのような乾燥方法を採用されている方は随分と少なくなったそうですが、天然乾燥に拘ってやっておられる方も居ると聞きます。
しかし、今では殆どの場合は乾燥機に入れて強制的に乾燥させ、短い時間で使用できる状態になっています。
◆自由水と結合水
木材に含まれる水分は比較的簡単に抜けやすい、「自由水」と呼ぶ水分と「結合水」と呼ぶ、簡単には抜けない水分が存在し、建築用材として利用するには結合水を如何にコントロール出来るかが鍵と言われています。
但し、乾燥させすぎるとカラカラ過ぎて逆に扱いにくいと大工さんは言います。
◆製材
一般的に建築用材として使用するには丸太の状態では仕事が、し難いために使い易い四角い断面に加工され、これを製材と呼びます。
製材された状態の木には木口(こぐち)と呼ぶ部分が存在します。
丸太を切った切り株に腰を掛けたことは、おありでしょうか?
その腰を掛けている面が製材された後の木の木口(こぐち)となります。
木口には導管と呼ぶ水分や栄養を運ぶ管の切り口が口を開いています。ホースの口のようなイメージです。それが束になって存在する訳ですから、当然木口からは水を吸い易くなる訳です。
又、香りの強い木材の場合、他の面に比べて木口面からの香りは一段と強く感じることが出来ます。
◆木口を見せる
そのような理由で、小口(木の断面)を見せる使い方は大工さんの間では、あまり好まれないようですが、私どもでは、あえて小口を見せて木を使う事があります。
今日の写真がその例です。キッチンカウンターの頂部をそのまま小口を見せて納めています。外部で水が掛かる部分は勿論、小口を見せるべきでは無いと思いますが、そうで無い部分は、このように納めて潔く木を見せることで木の良さをそのままストレートに感じて頂けると思います。
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