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木の家に住まう9(建築と色 その2)

前回は建築で使う色は3色までにしましょう、と言うお話でしたね。
何故3色までなの?と思われた方は前回の記事をお読みいただけるとご理解頂けると思います。

さて、今回も「建築と色」の話です。

どんな色にする?
皆さんが、仮に家を建てるとして屋根や外壁の色を自由に決めていいよ
と言われたら、どんな色にしますか?
お子さんに家の絵を描いて、と言うとどんな絵を描くでしょうか?
どんな色を使うでしょうか?
自分の好きな色にしますか?
絵だけなら多分、色んな色があってカラフルで綺麗ね、で済むとは思います。

ファッションと建築は違う
しかし、現実はどうでしょうか?あなたの周りを見渡してみると、そんなにカラフルな色の家って無いと思いませんか?某漫画家さんの家が赤白のボーダーで物議を醸したことはありましたが、一般的に国内では、そんな物議を醸すほどの個性的な家って少ないですよね。洋服の世界には流行りの色はあるけども、建築では流行りの色って無いように思います。

選択肢
一つには、家に使われる外壁や屋根の既製品の建材には、そんなにカラフルな選択肢は無いと言うことが言えると思います。これは、家づくりに使われてきた素材は元々自然の素材であったことが理由ではないか?と想像します。今で言う建材も何もない、その昔は木や草や土などが素材でした。

彩度とは
国内限定の話ですが、漆喰の白、藁や土の黄土色、瓦のようないぶし色、たまに朱や橙と言った感じで素材そのものの色は、そんなに鮮やかではないんですよね。色の鮮やかさを彩度(さいど)と言いますが、彩度の高い色を建築で使う事は珍しいことと言えます。

好きな色と使っていい色は別
調和を重んじる日本では、風致地区と呼ぶ地区を設け、建物の色にまで規制が掛かることもあります。
そう、自分の好きな色を建築に使う事は少し意味が違うように思います。
どう違うのか?と問われると難しいですが、私は建物の外観は社会資本でもあると考えます。であるので自分の家だから好きな色にさせてくれとは言い難いのでは無いか?と思います。街の景観を意識して、そこにある程度馴染む必要があるのではないでしょうか?

面積が広がると色の感じ方は変わる
又、色は塗装面積が広がると見た目の色密度が分散され、小さなサンプルで観ていた時よりも薄まって感じられる傾向にあるのではないか?と言うのが個人的な見解です。ですので、私は外壁などの色を選ぶ場合、小さな色サンプルで決めた色よりも2段階くらい濃い色を選んでおくと、出来上がった時に丁度イメージ通りの色に仕上がるよ、とアドバイスしています。

サンプルで決めた通りの色で実際に仕上がった時に感じるのは、「あれ、こんな薄い色を選んだかな?」です。そう、先ほど申し上げた見た目の色密度が分散するとは、このことなんです。

今日の1枚
今日の1枚は「街並みの家」と名付けた住まいの外観です。
数は少なくなりましたが、文化財級の古い建物が通り沿いに幾つか残る場所において、屋根の形状や外壁の色など調和を意識し、目隠し効果とアクセントで設けた縦格子が特徴の住まいです。


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