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木の家の住まう 14(風呂に木を使う)

■ 風呂に木を使うこと
「風呂に木」と聞いて、温泉や旅館の浴槽を
イメージされるかもしれませんね?
あるいは、「木が傷む」ことを心配される方も
多くいらっしゃると思います。

そして、私どもの住まい手の皆様の中にも
それを要求される方がいらっしゃって、
実際に風呂に木をつかったこともあります。

■ 木のお風呂
今日の写真は、風呂に木を使った実例です。
写真の浴室には、ヒバと呼ぶ木を使ったのですが
板を張った直後は、香り立つと言うよりも
ニオイにむせかえると表現する方が相応しいほど
で、隣の部屋どころか玄関から建物に入った瞬間から
香り立っていました。

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■ どんな香り?
どのような香りか?と言うと桧のツンとした香りを
もっと強くしたような感じです。
工事が進むに従って、その香りは次第に落ち着き
入居の頃には、風呂の戸を開けると、その香りが
隣の部屋などにも漂うほどになります。

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■ 腐らないの?
風呂に木を使うことで一番多い質問が、これです。
答えから申し上げますと、どんな木を使っても
絶対に腐らないことは無いと言うことです。
但し、入浴後の換気やメンテナンスが一番のポイントと
なり、耐久性が違ってきます。

普通にシステムバスを設置されていてもコーキング目地の
部分にカビが生えるように、木の風呂でもカビが生える時は
生えます。

■ 事例
当事務所では、今までに5件ほど木のお風呂を導入された
住まい手さんが、いらっしゃって一番長いお宅では
既に15年ほど経過しています。
丁度、10年目を過ぎた頃にカビが増えてきたので何か対策は無いか?
と言う相談を頂き、アドバイス後は、ご自分で対応されていたのですが
結局、クリーニングの専門の方にお任せすることにしました。
しかし、未だに板を張り替えた訳ではありません。

■ 事前説明
お風呂は湿度や石鹸カス、皮脂汚れなど、カビにとって
繁殖の条件が整いやすい場所でもあり
このようなリスクは伴いますので、
木のお風呂を希望された方には、事前の説明やメンテンスの方法は
説明させて頂いた上で採用するのですが
永久に不朽の物ではないことを
この記事をお読みの方には改めてご理解いただきたいと思います。

何十年後かには張り替えること、若しくは
木以外の物に変更することも視野に入れておかれることを
お勧めいたします。

■ ハーフユニットバスと言う選択
せめてもの対策として、当事務所ではハーフユニットバスと呼ぶ
バスタブや洗い場の一部分がFRPで出来ている製品を採用することを
標準仕様として考えています。
このようにしておくことで、防水対策を保ちながら
浴室の上半分が自由な素材で造れるため
オール造り付けのお風呂よりも耐久性、コスト面で有利であると
言えます。

■ 最終的に
最終的に、お風呂に何を求めるのか?
で採用すべきお風呂の仕様は変わるように思います。
例えば、一番最初に木のお風呂を採用された
ご家族は、旅行が家族の趣味で、予算が許せば
お風呂でもその気分を味わうことが出来たらうれしい
とのことでリスクを説明させて頂いた上で
採用して頂いています。

なので、リスクを上回るメリットを感じて頂ける
ご家族には何事にも代えられないバスタイムを楽しんで
頂けていることと思います。

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