【小説】ひとりぼっち記念日
こんな時間にコーヒーなんて飲んだら眠れなくなるかもしれない。そう思いながらも動かしはじめた手は止まらなかった。しばらくすると部屋中に香ばしい匂いが立ち込める。私はこの匂いがたまらなく好きだ。
コポコポと音を立てながら少しずつコーヒーができていくのを何をするでもなく眺める。ゆっくりと、しかし確実に水だった液体がコーヒーになっていく。まるで錬金術みたいだなどと思っている間にマグカップ一杯分のコーヒーが出来上がっていた。
今夜くらい眠らなくてもいいや。どうせ明日も休日だ。予定もな