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【凄絶】北朝鮮の”真実”を描くアニメ映画。強制収容所から決死の脱出を試みた者が語る驚愕の実態:『トゥルーノース』

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凄まじい映画だった。この映画で描かれる「北朝鮮」と同時代に生きているという事実に震撼させられる

この映画を私は「実話」として扱う。

「過去に起こった出来事をそのまま映画にしている」という意味ではない。映画を最後まで観れば、そのドラマチックさ故に、ストーリーそのものはフィクションだと分かるだろう。

しかし重要なことは、「この映画で描かれている世界が、私たちが生きているのと同時代にこの地球上に存在している」ということだ。そして、その点においてこの映画は紛れもなく「実話」なのだと思う。エンドロールでは、この映画の制作に協力しただろう脱北者たちの名前が表示され、名前を明かせない人も含め、その勇敢さが讃えられていた。彼らの存在もまた、この映画の「リアル」を担保すると言っていいだろう。

こんなクソみたいな世界を、私たちは「知らない」か「無視している」かのどちらかなのだ。もちろん知ったところで、具体的に何かできるのかと言えば、なかなか難しい。しかし、「関心を持ち、広め、世界全体の声として増幅させる」というその一端を担うことはできるはずだ。

私もそういう1人でありたいものだと切に思う。

映画の内容紹介

北朝鮮の首都・平壌で何不自由なく暮らす、恐らく一般の北朝鮮人よりも裕福な生活を送っていた少年・ヨハン。両親と妹のミヒの4人家族で、父親は日系人だ。父親は、家族に隠れて国家や党に歯向かう計画を仲間たちと推し進めているのだが、そんなことヨハンには知る由もなかった。

しばらくして、父親の行方が分からなくなる。母に聞いても知らないという。すると突然、自宅に党の人間が大挙して押しかけ、父親が裏切り行為を犯したと通告、そのまま家宅捜索が始まった。そして3人は最低限の荷物だけまとめ、行き先も分からないままトラックに乗せられてしまう。

長く揺られた果てにたどり着いたのが、政治犯とその家族を押し込める強制収容所だ。幼いヨハンは、父の言葉を思い出し、母と妹を守る決意をするのだが……。

強制収容所の凄絶な現実

上述の内容紹介は、映画の冒頭に過ぎない。映画のほとんどが、強制収容所内のクソみたいな現実を描き出すことに費やされていると言っていいだろう。

強制収容所は、「人間はここまで醜悪になれるものだろうか」と嘆息したくなるほどの酷さに満ち溢れている。

看守は囚人に、日々厳しい労働を課す。囚人は「労働によってのみその罪が贖える」と言われ、苛烈な労働にひたすら従事させられるのだ。病気になっても薬は与えられず、食事は最低限しか提供されない。死んでも、遺体は適当な場所に放り投げられてお終いだ。

一方、「国家に歯向かう政治犯」を閉じ込めておく強制収容所の看守は、南朝鮮(韓国)のアイドルの映像を見て饗宴にふける。南朝鮮の文化に触れることは罪になるが、看守は「自分たちはいい」とばかりに楽しんでいるのだ。

さらに酷いのは、看守が「気に入った囚人」を見繕って犯すこと。当然避妊などしないが、看守のレイプで子どもを身籠った場合、女性の側が罰として射殺されてしまう。

クズとしか言いようがない。

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