あこ

~一生分の恋をしました~ W不倫の結末

あこ

~一生分の恋をしました~ W不倫の結末

最近の記事

41. 不倫相手のパートナー

そして月曜日。 朝から蓮とホテルにこもった。 やってる時もやってない時も片時も蓮から離れなかった。 蓮とくっついていたいのではなく、ただただ不安だった。 浮気相手としては、最悪な感じになってきてる私。 離婚するとかしないとか、自分でも重いしめんどくさいと思う。 「私のこと好き?」 『もちろん』 「どこが好きなの?」 あーぁ、まさか、自分がこんなバカなこと聞く女になるとは…。 でもなぜか、何かが不安で仕方なかった。 ついでに、聞いてみた。 「私と夫がこう

    • 40. 3ヵ月ぶりの夫の帰宅

      土曜日なので逢うことはできないけど、蓮は都合をつけて外出し電話をくれた。 また、夫と一緒に住むことになったこと。 やっぱり離婚できないかもしれないということ。 それを聞いた蓮は『よかった』と言った。 最近少し痩せてきたし、顔色も悪いから心配してたと。 『これでいいんだよ』って言われた。 子供達の為にも私の為にも離婚はしない方がいいと。 私は、黙ってそれを聞いていた。 私が返事をしないことに困ったのだろうか? 蓮は珍しく、変なことを言い出した。 『あこさん、とにかく

      • 39. 降参

        TSUTAYA事件のあった週末のこと。 「ピンポーン」 11時頃インターホンが鳴った。 誰だろとモニターを見に立ち上がった。 え? 1度うつむいて、もう一度よくモニターを見た。 なんで? どんなに目を凝らして見ても、間違いなくそこに写っていたのは私の母親だった。 『あこちゃん、開けて。お母さん。』 まって、なんで急に? 私の母親は夫家族を嫌っていたので、この家には絶対に来なかった。 しかも、何の連絡もなしに、母親が私の家に来るなんて、あり得な

        • 38. はじまり

          とりあえず、蓮には車から降りてもらってそのまま帰ってもらった。 運転席に移り電話を握りしめ、強く長く息を吐いた。そしてTSUTAYAを見ながら、夫に電話をかけた。 ……。 あれ、出ない。 再び、心臓がバクバクし始めた。 最悪の結果しか思い浮かばないんだけど。 自宅まで車で15分ほど。 このまま帰るか、どうしようか。 いずれにしろ、ある程度は覚悟なり心構えなりがあった方がいい。だから、もう一度夫に電話してみた。今度はすぐに電話に出た。 「もしもし?」 『おまえ

        41. 不倫相手のパートナー

          37. W不倫のルール

          W不倫のいいところ。 男女差はあるものの、既婚者同士だからこそ分かりあえることがたくさんあって。 だから、お互いに都合が良くて、 日常のめんどくさい事は一切抜きで、男と女に戻れる。 擬似恋愛を楽める。 それが、私がまだ独身で、相手が既婚者の不倫の時には分からなかった感情。  だって自分が独身だと、決してそれは、疑似じゃなく本気で恋だったから。 不倫は非日常。 帰宅したら日常。 私も最初は、それが、できると思ってた。 しようと思ってた。 しないといけないと思ってた。

          37. W不倫のルール

          36. 私にはできない。

          さらに、1ヶ月ほどたった。 その日は、蓮は半休。 朝からふたりでホテルにいた。 その時だ。 珍しく私の電話が鳴った。 夫だ…。 しばらく携帯を眺めていたが、今は無視できない。 仕方なく、人差し指を口の前に立てて、蓮の顔を見ながら電話に出た。 内容は忘れたが、その時の私の受け答えで、蓮に私が離婚しようとしてることがバレた。 『あこさん、どういうこと?なんで? まさか、オレのせい?』 「オレのせいじゃないよ。オレは、全く関係ないから、安心して。」 『でも……。』

          36. 私にはできない。

          35. 離婚の条件。

          そんなこんなで、夫が出ていってからの1ヶ月。 すっかり蓮と遊び呆けていた私。 慣れというのは恐ろしい。 良心の呵責にさえ、慣れてくるようだ。 私は何食わぬ顔で、夫が出ていったことに安心して、どんどん罪を重ねていった。 『離婚してほしい』と夫に言えたことで満足してしまっていた。 『離婚したい』と、単に気持ちを伝えただけで、全く行動が伴っていなかった。 というか、実のところ、どうしたらいいのか分からないだけだっだ。 そもそも私は何の為に離婚しようとしてるのだろうか。

          35. 離婚の条件。

          34. 最悪な女。

          『ごめん、やっぱ、今日は帰らなあかんわ。嫁、情緒不安定やねんて。』 なんだそれ。 さすがの私もこれにはキレた。 「なんなん?一体。何がしたいの?」 いきなり私の口調が豹変したことに驚く蓮。 「ほんなら最初からまっすぐ家帰ればよかったやん。何しに来たん?私は一体なんなん? 元カノやら嫁やら、私には一切関係ないよね? お互いの家庭には口を挟まない約束で付き合ってるんだよね? お互いいろいろ頑張ってるから、束の間だけでも、男と女になろうって逢ってるんだよね? 確か

          34. 最悪な女。

          33. 嫁に浮気がばれた日。

          ある日のこと。 『あこさん、今日、車出せる?ちょっと行きたいとこがあって…』 頼まれた通り、蓮の職場まで迎えに行った。 その夜は、私の車に乗り込んできた時から 蓮の様子はおかしかった。 『これかけていい?』と、スピッツのCDを渡された。 初期の頃の古いアルバム。 「ねぇ、どこ行くの?」 いままで、通ったことがない道を進んでる。 『この道…今まで避けててん。わざと、通らないようにしてた…。苦しくなるから…』 ん? 『でも、もう、今はあこさんが居てくれるから

          33. 嫁に浮気がばれた日。

          32. 偽装工作。

          離婚話のこと。 友人よりも誰よりも、1番知られたくない相手は、蓮だった。 だからもちろん、夫が出ていったことも一切口にしなかった。 当然何も知らない蓮は、変わりなく仕事帰りに私に会いに来た。 月、火、木、金 週4日。 彼が半休や休みの日で、昼間逢ったとしても、夜も、必ず帰宅前に私に会いに来た。 「奥さん、何も言わないの?」って聞くと、 私と付き合うまでも、まっすぐ家に帰ることはしなかったと言う。 本屋さんだったり、古着屋さんだったり、レンタル屋だったり、、とに

          32. 偽装工作。

          31. 四面楚歌。

          1週間ほど、夫からは何の連絡もなかった。 気になりながらも、少しは準備を始めなきゃ。 まずは習い事。 お迎え時に、今月いっぱいで辞めたいと申請。 「理由は?」 『離婚するので。』 この理由は、一撃だ。 一瞬にして相手の顔を曇らせるし、だれも引き留めない。 自分で決めたとはいえ子供達に申し訳ない。 申し訳なさすぎる。 小学生の長男は、行かされてた感が強かったので、むしろ、もう行かなくていいと言われ、喜んでいた。 その笑顔が余計に突き刺さった。 働かなきゃ。

          31. 四面楚歌。

          30. 「離婚してください。」

          決して、夫との結婚生活すべてが苦痛だったわけではない。 夫が大好きで大好きで仕方ない時もあったし、だれよりも、夫のいいところを知ってるのは私。 なのに、出逢いからこの12年間を振り返った時出てくるのは、マイナスな想いばかり。 あの時、向き合うべきだったとか、 あの時、別れるべきだったとか、 あの時が離婚のタイミングだったのにとか、、 とにかく、別れたかったことしか、思い浮かばない。 夫とふたりで笑ったこと、 子供達とみんなで幸せを感じる瞬間、 楽しかったこと、嬉しか

          30. 「離婚してください。」

          29. 変われなかったのは私。

          2ヵ月ほどかけて、一通り検査をしてもらった。 特に大きな問題はなく、1番シンプルな方法。タイミング法で、私はすぐに妊娠した。 よし。 夫も義両親もとても喜んでくれた。 すぐに、仕事は辞め、妊娠出産の本を買い漁り、私の頭の中は赤ちゃんのことで埋め尽くされた。 10ヵ月に入るとさっさと実家に戻り、母親に立ち会ってもらって無事出産。産後も含め、結局2ヵ月ほど家を開けた。 初めての出産ということもあり、とにかく赤ちゃん一色で、夫のことを思いやる余裕など全くなかった。 家に

          29. 変われなかったのは私。

          28.それでも前へ。

          彼が亡くなって半年ほどすぎた頃、一駅向こうに自社ビルが完成した。 1年ほど前から建設にはいっていたもの。もちろん引っ越しは業者さんだが、私達も連日手伝って、無事、すべてが新社屋に。 フロアのメンバーも分割され、社員も新たに募集。足りない人員は、派遣会社から。つまり、私以外にも、いわゆる派遣さんが増えた。 私は古株として指導にあたり毎日が忙しく、そもそも新しいオフィスなので視界すべてが新しい。 そして、そこには、坂口君を思い出させるものは、何もなくなった。 社員同士でも

          28.それでも前へ。

          27.何かの間違いだよね?

          坂口君と電話で話したのは金曜日の夜のこと。 私は、土日は休みだった。 日曜日の朝。 9時頃、家の電話がなった。 夫も日曜は休みだったので、まだ、ふたりともベッドの中にいた。 寝ぼけまなこのまま、子機をつかんだ。 『あこちゃん、おはよう。お休みのところ、ごめんね。』 主任からだった。 『実は、坂口君、亡くなってん。で、明日、出社した後、みんなで葬儀に参加するから、喪服を持ってくるか、着てくるかしてくれる?』 すごく自然な、まるで業務連絡の一環のように話された。

          27.何かの間違いだよね?

          26. 虫のしらせ。

          新しい年が明けた。 私と坂口君も新しい関係になった。 今はもう、とっくに研修君じゃなくて、同じフロアにいるけど違う仕事をしていた。 私がコピー機を使ってるとさりげなく近づいてくる彼。 書類の間に挟まれた付箋紙。 時間を合わせて、階段室に。 たぶん、今のようにLINEや、SNSがあれば、もっと簡単にもっとすぐに深い関係になれただろう。 でも、まだ、ようやく携帯電話が普及しだした頃のこと。 会社の人に怪しまれたらいけない。 ふたりだけに分かる視線。 ふたりだけ

          26. 虫のしらせ。