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不健康の同調圧力 「みんな体壊してるのが普通」と言われて。

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・はじめに

こんばんは!今日の『多様性潜入調査125日』の担当インターンはジュンです!

このnote企画が始まってから何本か記事を出させていただいているためなんとなく私のことを知っている方もいるかも知れませんが、再び簡単な自己紹介をしたいと思います。

出身は茨城県。今は上京して東京に住んでます。
某芸術系大学(※)に所属しており、去年まで学生劇団に入っていたり舞台の手伝いをしたりしていました(関東公演で仕込み参加していたのもその経験から)。おまけにバイト先まで公共劇場。
これだけ見ると、今までずっと演劇が大好きでキラキラと前向きに頑張ってきたんだろうなという印象を受けるかも知れません。

※某芸術系大学と濁しているのは、今回の記事の中で学内についての話が軽くあるためです。私がした個人的な話の目的が曲解されて拡散された場合、現在学校に通われている方に迷惑がかかる可能性もあるかもしれないと判断しこのような表記にさせていただいています。もし学校名がわかった方はそっとしておいてもらえると助かります。

でも「演劇つらい、辞めたい」と思っていた時期もありました笑
どうしてか?
それは、めちゃくちゃ体調を崩してしまった経験があるからです。
これが創作現場のウェルビーイングを考えることになった理由でもあり、コモンビートに出会ったきっかけでもあります。

私は今までの経験から創作の場のウェルビーイングを話しますが、みなさんはご自身の職場環境などに照らし合わせてみてください。
やっていることが異なれど、「いろんな人と関わる一つの社会にいる」という意味ではどちらも同じなのですから。

※ブラックな職場で嫌な思い出がある方はそれを想起させてしまうかもしれません。

では、本題へ。


⒈「この社会ではこれが普通なんですか?」

時は遡って2019年春。
私は大学に入って早々、学科の「暗黙のルール」みたいなものを知りました。

・廊下で先輩を見かけたら必ずこちらから挨拶をすること。しないと後で呼び出されて怒られる。
・LINEで話す時は敬語を使うこと。「ありがとうございます」ではなく「有難う御座います」
・5分前行動。10分前だとなお良い。もちろんこれもできないと怒られる。
・春の新入生歓迎合宿はインフルエンザや冠婚葬祭ではない限り絶対参加。
・とにかく先輩に仕事や飲み会に誘われたら断らないこと。
・嫌いな先生でもごまをすって大きい舞台に関わらせてもらえ。
・作品作りたかったらとにかくみんなと仲良くしておいてスタッフや客を集めろ。
・多少のセクハラ、パワハラは仕方がない。盛り上げるためや指導するためには必要なこと。
(現在ではこのような生徒間での風潮はもちろんありません)

ざっと挙げただけでも、ここはブラック企業かと錯覚してしまいますね。
なんでそんなことしなきゃならないのかと同期に言うと
「人付き合いをうまくやらないと演劇はやっていけないからね。」
「そういうもんだよ、嫌だけど我慢しなきゃ。」
という諦めに近い返事が返ってくるばかり。

でもその当時は、「そっか、そういうもんなのか。とりあえず頑張らなきゃ!」とその環境に適応しようと必死になる毎日でした。

この時点で「なんかやばくないか」と察している人もいるかと思いますが、やばいのはまだまだこれから。
その後、アフターコロナになるとそのような悪習は徐々になくなっていきましたが演劇に携わる全員が変わっていったわけではありません。

中には経済的な理由で活動を辞めたり、心身の健康に問題が出て休む人もいましたが、
「そんなのはそいつが弱かったんだ。」
「しょせんその程度だったんだ。」
「そうやって甘えちゃいけない。」
と、去っていく人の背中に石を投げるような言葉も見ました。

「そんなこと言い合ってるからいつまでも環境が良くならないんだろ!」と叫びたくても、自分自身だってすぐには変われなかったうちの一人。

頑張るのが当たり前、それができないなら降りるしかない。

ずっとそう思っていましたが、そんな価値観が吹っ切れる出来事がこの後起こります。

⒉「誰かの“普通“で私の寿命が縮んでいく。」

2020年夏から2021年秋まで、ありがたいことに私にはコンスタントに創作に携わる仕事がある状況でした。
気がつくと私のあだ名は「馬車馬」笑
毎日何か新しいことをしていて、大変なこともあるけど充実していました。

と言っても不健康なのは変わらず、昼夜逆転、日々の不眠、過度なアルコールの摂取、追ってくる納期、休めない役割、相談できない環境、病んでいく心身。
この不健康な7つの大罪を解決する余裕なんてない毎日。
(後日病院へ行くとγGTP※の数値が通常の60倍になっていました笑)

※γGTP(ガンマジーティーピー)とは
胆道から分泌され、肝臓の解毒作用に関わっている酵素。
これが高くなると肝臓、胆道になんらかの障害が起こっている可能性がある。
(みなさんも気をつけて!)

しかし、そんな毎日を終わらせる出来事が起こります。

劇場の下見に行く予定が入っていた日、私は寝坊してしまいました。
普段ならこんなこと絶対しないのに。
しかも時間を見ると夜の8時。LINEには大量の通知。

やっちまった。
とりあえず連絡しないと。

あれ・・・

うそ・・・

「身体がベッドから動かせない!!!」

数日後。
親を呼んで実家へ運んでもらい、しばらく休むことに。
とある仕事仲間にそんな自分の健康状態を説明すると、

「あー、みんな体壊してるのが普通だよね」

続けて、

「大丈夫、これからも頑張れるよ!」

最後に、

「だって今までそうして来たじゃん?」

・・・。

この瞬間、私の中で何かが切れました。
それは根性論を良しとする文化への堪忍袋の緒だったかもしれないし、しんどさを見て見ぬふりをする人たちとの縁だったかもしれません。

⒊「社会も、普通も、一歩外に出ればいくらでもある」

読んでいてここまで長く感じましたよね。
そのくらい長い間、不健康に過ごしていたわけです笑
でも、それをただの思い出にしてしまったら今までと何も変わらない。
私にできる創作現場でのアクションはなんだろうか・・・

そうして、2022年の年明け。
このNPO法人コモンビートを見つけました。

同じ作品を作るために同じ稽古場にいても、やっているのは同じ人間じゃない。
みんなそれぞれ肉体的にも精神的にも「違う」。
そんな異なる個人個人を“普通“という言葉で覆い隠そうとする場所に創造性があるとは思いません。

演劇とは、社会性をとても必要とする創作活動・表現方法です。
当然、そこには居心地の良い社会と居心地の悪い社会があるし、それを自分で選んだり作ったりすることもできる。
新しい場で色んなことをしようとすると、色んな失敗が付いてくる。
いつも元気な自分でいられるわけではないし、正しい自分でいられるわけでもない。

それらを理解して認めていくことが今の自分にできることであり、コモンビートで学べることだと考えています。

ここまで真面目にお話して来ましたが、まあ要するに

「この世は舞台、人は皆役者」

シェイクスピア『お気に召すまま』


なーんて言うけど、私たちは物語の役者の前に生身の人間ですからね笑
もちろん、これまでの経験の中で似たような価値観を持っている人や、どうにか環境を変えようとする人、自分に寄り添ってくれる人もたくさんいました。
しかし、自分がそういう人たちに対して何かをしてあげられたことはそんなに無かったのではと疑問に思います。
そんな悔しさを感じる生身の人間の私にも何ができるのか・・・

【次回】
創作現場のウェルビーイングを考える
 コモンビートの文化を見てみて

に続きます!



☆関西公演情報☆

【ミュージカル「A COMMON BEAT」再開記念シリーズ 関西公演】

▼日程
2022年10月2日(日)
初公演:開場 12:30 開演13:00
千秋楽:開場 17:00 開演17:30 ★オンライン配信あり

▼会場
吹田メイシアター 大ホール

▼詳細


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