見出し画像

韓国料理#26.昔ながらの居酒屋で食べるユクジョンと卵焼き

 ソウルで外国人が集まる場所といえば、ドラマ『梨泰院クラス(이태원 클라쓰)』でお馴染みの梨泰院(이태원)ですが、こと日本人が多く滞在する地域となると、龍山区(용산구)の二村洞(이촌동)になります。

 先日久しぶりに国立中央博物館(국립중앙박물관)で観たい展示があり、二村までやって来ました。このエリアには他にも、国立ハングル博物館(국립한글박물관)や二村漢江公園(이촌한강공원)、二村総合市場(이촌종합시장)などがあります。

 博物館を楽しんだ後、お昼をいただくのにちょうど良いお店を探していたのですが、ランチ時間が過ぎていたこと、また連休中だったこともあって、ほとんどのお店は休み中でした。

 そんななか出会ったのが、韓国版昭和の居酒屋とでも言うべき佇まいをしたコルモッチブ(골목집)です。


コルモッチブ(골목집)

 地下鉄二村駅(이촌역)の3番出口を出ると、昔ながらの雰囲気を醸し出す二村総合市場が現れます。

 その中の小さな路地にある居酒屋(술집)が今回お邪魔したコルモッチブで、駅からは徒歩6分程度で到着します。

 この、ある意味とても古臭い佇まいは魅力です。

 明るい時間帯の静けさは、主戦場は陽が沈んだ後であると主張しているかのようです。

 入り口の横には、本来の役目を終えて、新たに客寄せの役割を担ったマッコリ(막걸리)のボトルたちが並んでいました。

 よく見ると、どれも違う種類のマッコリのようです。ソウルにある一般的なお店では、専門店でもない限り1,2種類しか置いていないことが多く、こちらのお店で取り扱うマッコリの多さを物語っています。


◆店内

 お邪魔したのは15時近くでしたが、すでにお客さんが数組いて、お料理とお酒を楽しんでいました。

 どうです、この店内! 
 どう見ても、ダサさしかない(注:褒め言葉です)。

 壁に貼られたポスターは居酒屋らしくお酒の広告で、巨大メニューは負けじとばかりに写真付きで存在感を放っています。天井の角を走るライトなんて、見た瞬間に「ザ・昭和!」と叫びたくなるほど(韓国なので昭和はありませんが)。

 何とも言えない懐かしさと温かみを演出しています。

 どこかから切り取って作られたマッコリのメニューには、値段とアルコール度数が書かれています。全国から取り寄せているようで、一つひとつ見るだけでも興味深いです。

 ちなみに個人的には、栗やとうもろこし、またはピーナッツで作ったマッコリが甘くて好きです。

 マッコリだけでなく、もちろんビール(맥주)とソジュ(소주)も置いています。

 ビールもソジュも、ここ数年で一気に種類が増えました。最近のおすすめは、ビールだと俳優のコン・ユさんが宣伝するTERRA(左から3番目の緑色のビール)、ソジュだと眞露(一番左)です。

 眞露の度数は16.5%ですが、ほぼ水です。それくらい澄んだ焼酎で、CMでも謳われている「超さっぱりとした味(초깔끔한 맛)」を、そのまま楽しむことができます。ただ、本当にスッスッと飲めてしまうので、言わずもがな飲み過ぎには注意が必要です。


◆ユクジョン(육전)

 おつまみには、ユクジョン(육전)を注文しました。

 ユクジョンとは、薄切りにした牛肉に卵を付けて、たっぷりの油で焼いたチヂミのことです。庶民の味という印象のチヂミですが、ユクジョンは牛肉を使っていることもあり、高級感があります。

 このお店では、付け合わせとして、玉ねぎの薄切りが盛られていました。玉ねぎには、カラシを使った甘辛くて香ばしいタレが掛かっていました。

 これが、素晴らしい役を果たします。

 肉汁たっぷりの香ばしいユクジョンに、甘い香りと爽やかさが追加され、とにかく美味しかったです。

 無論、ソジュとの相性も抜群です。ソジュはチャミスル(참이슬)のフレッシュを頼みました。


◆名物の卵焼き(계란말이)

 こちらのお店の名物(시그니처 메뉴/シグネチャーメニュー)とも言われる卵焼きも注文しました。

 卵焼きと言うには非常に手の込んだ、見た目も華やかな一品です。

 おそらくですが、まず卵の黄身と白身を分け、白身には細かく刻んだニンジンやニラなどを混ぜて焼き、その外側を黄身で巻いているようでした。

 ソースにはケチャップとマヨネーズ・・・のように見えますが、この白いソースはマヨネーズではなく、果物(イチゴだったかな)の香りがほのかにする甘いソースでした。例えるならば、練乳に近い甘さです。

 卵焼きに合うかと言えば、正直合わないかなと思いました。これならケチャップだけの方が、とも思いましたが、このあたりは好みなんですかねぇ。

◆◆◆


国立中央博物館

 コルモッチブはお酒の品揃いが豊富で、料理もたいへん美味しい居酒屋でした。特にユクジョンはまた食べたいと思わせる味で、今回食べられなかったメニューも気になるところです。

 たまにはこういうお店に来るのも、いいものですね。

この記事が参加している募集

ご当地グルメ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?