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韓国佛教#12.曹渓寺〜ソウルの市街地に位置する曹渓宗の総本山〜

 今回は、韓国仏教最大宗派である曹渓宗チョゲジョン(조계종)の総本山、曹渓寺チョゲサ(조계사)をご紹介したいと思います。

 韓国の仏教寺院といえば山中や高台に建てられることが多い中、曹溪寺はソウル市街地に建立されました。外国人にとってもアクセスしやすいため、おすすめの観光スポットです。


曹渓寺(조계사)

<アクセス方法>

 曹溪寺はソウル市鐘路区ジョンノグ(종로구)に位置します。

 最寄り駅は3号線の安国駅(안국역)で、6番出口からは徒歩5分で到着します。3号線以外だと1号線鐘閣駅(종각역)と5号線光化門駅(광화문역)からもアクセス可能です。

 また、書道や骨董品、伝統工芸品のお店や伝統茶カフェが建ち並ぶ観光地の仁寺洞インサドン(인사동)からも歩いてすぐの場所にあるため、セットで訪れるのがおすすめです。


<歴史>

 曹渓寺は、韓国仏教の最大宗派である曹渓宗の総本山です。1395年の創建から600年以上の歴史を誇り、現在も韓国仏教の中心地として、一年を通して様々な仏教儀式が執り行われています。

 現在の曹渓寺は、大日本帝国統治下の1910年に朝鮮仏教の自主化と民族の誇りの回復を祈願する僧侶らによって設立された覚皇寺カッファンサ(각황사)が母体となっています。当時、覚皇寺は近代韓国仏教の総本山で、近代韓国仏教初の布教堂、そして日本統治下初の布教堂であり、ソウル四大門(※)の中に最初に設立された寺院でもありました。

※ソウルにあった4つの門で、現在は東大門と南大門が残っています。

 その後1937年には現在の鐘路区へ移転を開始し、翌年には三角山にあった太古寺テゴサ(태고사)を移転する形で名称も「太古寺」へと改称します。

 1954年には日帝統治時代に朝鮮半島へ伝わった文化や建物は排斥すべきという運動が高まり、それにより宗教においても仏教浄化運動が起き、太古寺は現在の「曹渓寺」へと改称され、今日の姿に至りました。

<文化財と天然記念物>

 釈迦牟尼仏と阿弥陀仏、薬師如来仏の3体の大仏が鎮座する大雄殿(대웅전)は、2000年9月にソウル市有形文化財第127号に指定されています。

 また境内にある樹齢500年にもなる白松は、天然記念物第9号として登録されています。白松という名は、年月とともに樹の色が白くなったことから付けられたそうです(残念ながら今回写真はございません)。


◆一柱門(일주문)

この日は灌仏会(부처님 오신 날)の翌日だったので、装飾がそのまま残っていました。
門の手前には、生まれたばかりのお釈迦様がいました。
誕生してすぐに自らの足で7歩歩き、一方の手で天を、もう一方の手で地を指しながら「天上天下唯我独尊」と言ったというその姿を表しています。
本来であれば「大韓佛教総本山曹溪寺」という字が見えるところ、色鮮やかな提灯に覆われて隠れていました。
一柱門の下には左右それぞれ2体の像が並んでいます。
なかなかかっこいい。

◆大雄殿(대웅전)

境内で最も大きいこの建物が大雄殿です。
中央には釈迦牟尼仏、向かって右側には医術の仏である薬師如来、そして左側には西方浄土の仏である阿弥陀仏が奉安されています。
大仏から伝わる荘厳さは圧巻で、毎日多くの参拝客が訪れて祈りを捧げています。

◆エンジュの木(회화나무)

大雄殿の前で厳粛な雰囲気とともに静かに佇むのは、樹齢450年以上に及ぶとされるエンジュの木です。
境内の主人であるような存在感で、参拝者を迎えます。

◆天眞佛(천진불)

天真仏は、幼い頃のお釈迦様の天真爛漫な姿を表しています。韓国仏教総本山の曹渓寺で、幼い子たちが遊びながら仏法に親しめるようにとの願いから造られました。

◆極楽殿(극락전)

大雄殿から向かって右側にある2階建ての建物が極楽殿です。阿弥陀仏を中心に、その左右には観世音菩薩と地蔵菩薩が祀られています。大雄殿の豪壮で厳粛な様とは異なり、極楽殿の中はとても静かで温かく、穏やか雰囲気に包まれています。
(写真は数年前のものを使用)

◆梵鐘楼(범종루)

法鼓(仏教行事で使用する太鼓)、雲版(合図のために使用される楽器)、木魚、梵鐘などの梵音具を納めている場所です。毎朝午前4時ごろと夕方6時ごろに行われる礼仏、そして特別な行事の際に使用されます。
(写真は数年前のものを使用)

◆舎利塔碑(부처님진신사리탑)

1913年にスリランカの僧侶から寄贈された舎利(火葬されたお釈迦様の骨)が奉納されています。以前の舎利塔は7層でしたが、日帝統治下に建立されたため韓国の伝統様式に合わず、倭色を帯びているという指摘を受けてきました。 そのため2009年10月に八正道と十禅法を象徴する八角十層の様式に再建され、現在の姿に至ります。
(写真は数年前のものを使用)


秋の曹溪寺

 以下の写真は3年ほど前の秋に撮影しました。

 個人的には、韓国で最も頻繁に訪れている寺院がこの曹溪寺です。1年を通して行事や季節ごとに変化するその姿に飽きることはなく、毎回爽やかで新鮮な気持ちで寺院を後にしています。

 なかでも一段と鮮やかに装飾され、参拝者を楽しませてくれたのがこの日でした。

◆燦たる花々に囲まれた大雄殿

◆赤い玉を咥えた龍の共演

◆エンジュの木もおめかしします

◆仏様と僧侶たちがにぎやかに大集合

◆秋っぽいおまけ

◆◆◆


 季節によって姿を変える曹溪寺は、都会の中心にあるオアシスのようでもあります。

 外国人案内所もありますし、テンプルステイも行われていますので、興味のある方は、ぜひ一度訪れてみてください。


<参考サイト>

◆韓国語ページ

◆英語ページ

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