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済州島旅行#05.おそらく最初で最後の馬肉コース料理

 済州島は古くから馬の産地として有名です。

 島の固有種であるポニーの済州馬は、国の天然記念物第347号に登録されており、古くは1073年と1258年に高麗王朝へ献上されたという記録が残っています。

 馬の生産が本格化したのは、済州島が「耽羅」と呼ばれていた時代の13世紀。耽羅は13世紀から約1世紀に亘ってモンゴル帝国・元の支配下に置かれますが、その際にモンゴル馬を放牧するため、大規模な牧場が設けられました。その後も、馬の生産は国を豊かにすると考えた李氏朝鮮王朝により、済州島には多くの牧場が設置されます。

 このような流れの中で、馬肉食の文化も発展しました。

 日本では熊本や長野など、馬肉を食べる文化がいくつかの地域で見られますが、韓国では済州島だけ。折角なので、この旅では様々な調理法を用いたコース料理を頂くことにしました。

 ただ、馬肉といえば馬刺し以外に食べたことのない私。

 馬肉料理には独特のクセや臭みがあるのではないかと多少身構えていましたが、実際に食してみると思っていた以上にあっさりとしていて、後味もすっきり、非常に食べやすかったです。

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馬肉コース料理

◆エキス

 コースの最初に運ばれて来たのは、真っ黒でとろとろの、濃密な馬エキスです。

 「身体にとっても良いですよ」

お店のアジュンマ

 そう言われたとて、どこか勇気のいるこの見た目。空っぽの胃に入れて、刺激が強すぎはしないかい。強烈な漢方の匂いが口いっぱいに広がるのだろうと覚悟して、ひと口――。

 お。

 意外にいけます。苦みはあるものの、思っていた以上に飲みやすく、ぐいぐいっと飲み干しました。

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◆馬刺しとユッケ

 次に、馬刺しユッケの盛り合わせが運ばれてきました。

 実は馬刺しとユッケが大好物の私。心待ちにしていたメニューです。

 こちらのお店では毎日馬をまるまる1頭仕入れているそうで、部位の異なる刺し盛り5種に臭みは一切なく、それぞれの食感と香りの違いを楽しめる貴重な逸品でした。

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◆マンドゥ

 こちらは、馬肉を使った餃子のマンドゥ

 普段食べるマンドゥとは少し香りが違うかなという印象を持ちましたが、馬肉を使っているという先入観からかも知れません。こちらも臭みはなく、違和感なく頂けました。

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◆カルビタン

 馬肉を使ったカルビタンです。

 見た目は牛肉のカルビタンと全く変わりません。醤油ベースであっさりとしたコクのあるスープに、漢方の香りがほのかに広がります。青唐辛子が入っているので少しピリッと、でも後味はスッキリ。長時間煮込まれた馬肉がたっぷり入っていました。

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◆ステーキ

 そして、メインのステーキです。

 こちらも3、4種類の異なる部位を使っていました。

 最初は脂をジュワーッと焼き、次は赤身。生でも頂ける新鮮な馬肉を、お店のアジュンマが慣れた手つきで素早く焼いてくれます。脂の少ない馬肉はすぐに硬くなってしまうため、焼き過ぎは禁物。脂と赤身を一緒に食べるのがポイントで、馬肉の脂は牛脂のようにしつこくなく、コクがあってうまみもたっぷり、非常においしかったです。

「馬の油は身体にもいいけど、お肌に塗ってもいいのよ」

お店のアジュンマ

 そうだった。アジュンマのその一言で、昔、祖母が顔に馬油を塗っているのを思い出しました。

 「塗ってみんね。肌によかよ~!」

 ばーちゃん、そちらの世界でも元気にしてますか?

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◆しゃぶしゃぶ

 ここまででもある程度お腹は膨れているのですが、最後にしゃぶしゃぶの登場です。

 きれいに並べられた色鮮やかな薄切り馬肉。こちらも臭みは一切ありません。牛肉よりもあっさりとした淡白な味わいでした。

 シメには乾麺のラーメンを頂きました(お腹は限界に近し)。

 透明のスープにラーメンって合うのかな・・・。

 なんて、愚問だったようです。しっかりと出汁の効いたスープは麺ともよく絡み、ちょうどいい味わいでした。

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ソジュはハンラ山

 馬肉のコース料理を頂ける機会はそうないので、貴重な経験でした。

 ただ2度目はいいかなという感じ。量が多いのでね。それでも、馬刺しの各種盛り合わせはまた頂きたいです。

済州らしくみかんをあしらえたお猪口の柄
かわゆくて好き

 記事の締めくくりに、ソジュ(焼酎)をご紹介したいと思います。

 済州島のソジュといえば、漢拏山(ハンラサン)

 いくつか種類があり、オリジナルのアルコール度数は21度ですが、今回はそれよりも低い16度を飲みました(さすがに21度は無理だな)。あっさりとして後味の切れもよく、チャミスルやチョウムチョロムなどのソジュよりも飲みやすかったように思います。

 お酒がお好きな方は、ぜひ一度お試しを。

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